「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ(3)

今回は2019/3/20号の記事を掲載します。

 

こんにちは!これから数回、現場の薬剤師がどのようにTwitterを活用しているのかに分けてお伝えします。

 

<Twitterをよく知らない方へ>

交流というよりは独り言、文章の短いブログ(一つの投稿に全角140文字まで)

画像を貼り付けて投稿できる

他のサイトへのリンクを掲載することができる

自分の投稿をフォローされている人以外に見せないこともできるし、公開もできる。

必ずしも実名でなくても良い

 

企業が行っている広報活動では、簡潔な広報タイトルとプレスリリースへのリンクを貼って、フォローしている人やアカウントの投稿を見ている人に広くお知らせし、詳しいことはリンク先を読むよう伝える仕組みになっています。

 

 企業のホームページを検索する時間がない人でも、Twitterを入り口にすることで簡単に発信源のはっきりした情報を得ることができます。

 

 最近では、「仕事の情報収集用」「趣味用」とアカウントを分けている人も少なくありません。仕事に必要な情報源のみをまとめてフォローし、効率的に情報収集をしています。また、薬剤師の中には、自分が得た医薬品情報や自分が学んだことを発信するだけのアカウントを持っている人もいます。個人的なことは別のアカウントにして話題ごとにテーマごとにアカウントを切り替えています、これは、見たい情報だけを効率的に集めたい人がフォローしやすくなるからです。Twitterは主に短文で自分の欲しい情報だけを短時間で集めるのには向いています。

 

 

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非常にざっくり解説する!「論文の形式」

「論文を読めるようにと言われるけれど、時間がない」

「論文って何が書いてあるの?」

という方にお伝えするための記事です。

 今回はこちらの論文を用いて大体の流れをざっくり紹介します。

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov

同じ論文で上はAbstract(要約部分)のみ、下は全文掲載です。

<論文の構成>

とりあえず赤文字の単語を探すことが基礎です。

論文のタイトル

著者(著者の所属する組織)

Abstract(要約)

忙しい時はここをざっくり読んで、どんな内容が書いてあるか、単なる報告ではないか判断します。読み進める価値がある場合は本文を読むようにしてもいいです。

ここの中に、実験の目的、方法、結果、考察、結果に対する評価、今後どうするかについてがまとめられています。

Introduction(導入)

この論文を書くに至った背景、問題となっていることが書かれています。

 

Main text(主文)

どんな方法で試験を行ったのか→ Methods(方法)

どういう結果が出たか → Result(結果)

結果から考えられること→ Discussion(考察)

考察して得られたこと → Conclusions (結論)

参考文献 → References

それ以外にも、スポンサーとなった企業及び団体、謝辞、出版バイアスなど書かれております。

 

非常にざっくりさせたのはペラもしくは一つの画面で読めるようにしたためです。

試験の方法などは、日本語の書籍や医療従事者向けのサイト(医師向けに論文の書き方を紹介したサイトなどがあります)を読んで学習し、英語ではどのような単語で記載するのか学習していくといいと思います。

 

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薬剤師フィールドリサーチ(2) 2019/2/27発行

 今回は、現場の薬剤師がどんな職場環境で働いているのかについてお伝えします。

薬局新聞2019/2/27号の掲載記事です。 

 

 

2016年の薬剤師調査によると

薬剤師総数30.1万人(男性11.7万人、女性18.4万人)

経営者ではない薬剤師、すなわち勤務薬剤師の人数は約21.3万人(薬局勤務:15.4万人、病院勤務:5.8万人)

です。先日の薬局新聞での報道にもありましたとおり、開設者自らが管理する薬局は約4800軒ですから、大多数が勤務薬剤師のみによる運営の薬局になっています。

 また、衛生行政報告例による2016年度末の薬局数が5.8万軒ですので、薬剤師の人数が1人や2人の所も多いと推測されます。(常勤薬剤師の数が1名の薬局が48%と示す資料もあり)

 

 多くの薬剤師が、薬局では一人で格闘している姿が想像できます。一人しかいないのでは、居宅療養に関することや地域活動への参加は時間的制約がありますね。研修会や、行政の指導に参加するときの人の手配も大変です。わからないことがあったときの知識の共有もままなりません。連携をしようにも、薬局を空けて会議に参加するのも難しいです。

 また、会社という組織に所属している以上、薬剤師としての責任だけではなくその企業の顔でもあります。それを医療人らしくないと言われるのでしょうが、薬剤師であり〇〇社の社員という目で利用する方からは見られます。

 

そんな勤務薬剤師の中には、業務を離れて、業務でも使うインターネットを活用して薬剤師らしさを発揮している例もあります。<続く>

 

<本文に関連した補足です>

※常勤薬剤師数についての資料

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2017/08seisakukadai14-7.pdf

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医師だからって何でも治療できるわけではないし、何でも処方できるわけではない

今回は、時折見られる誤解についてお答えします。

「お医者さんって、なんでも診られるんですよね?」

これについてお答えします。

答えは

「資格としては可能だが、技術としては難しいので、専門の医師の紹介される可能性がある。」

です。

 

これを以下の3つの視点で解説します。

専門領域の視点から

処方するのに資格のある薬がある!

調剤するのに資格の要る薬もある!

 

 

専門領域の視点から

  医師免許は人間の病気の治療をする技能を持っているとみなされる資格なので、他の診療科の診察をすることは可能です。しかし、現代の医療は高度化→細分化・専門化が進んでいますので、自分よりも他の医師が診察したほうが患者が確実に良くなる場合は他の医師に紹介します。

 例えば、耳鼻科で高血圧の薬を出してくれと言われても、その高血圧がどんな原因で起こっているか、その患者がどんな体質かなど様々な理由で治療方法が大きく変わってきます。その理由を調べるための機械が揃っていないこともありますし、普段は耳や鼻や喉の細かい変化ばかりを見ている人ですから、循環器の状況も自分以上に細かく調べないといけないと想像できます。ゆえに、耳鼻科で降圧剤を出すことがあっても、内科を紹介されることが多いでしょう。餅は餅屋です。

 

 

処方するのに資格のある薬がある!

 最近では、「治療について熟知した医師により処方されること」が前提となる薬も増えています。事前にeラーニングをして登録された医師でないと処方できないようになっているものもあります。また、医薬品を発注した場合、「どの先生が出しますか?」と卸から問い合わせのくる(専門の医師かどうか確認する)薬もあります。

 また、薬剤師が調剤する場合も、処方した医師が登録された医師かどうか確認した跡でナイト調剤できないものもあります。

 例:ノルスパンテープ(オピオイド系の鎮痛貼付剤)

 

調剤するのに資格の要る薬もある!

 登録された医師でないと処方できない薬は、多くの場合登録された薬局でないと調剤できません。メーカーに書類を書いたのち調剤できます。しかし、薬局の場合は一定期間調剤がないと登録を取り消され、再度登録する必要があるものもあります。

 

 いかがでしたか?

これらは、確実な診療と安全な流通管理のために行われています。

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(1) 2019/2/13発行

 こちらのブログでも、薬局新聞社連載の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。諸事情(主に筆者のやる気)により新聞の発刊日よりだいぶ遅れるのでご了承ください。

 

 

 はじめまして!今回から「薬剤師フィールドリサーチ」というコラムを担当いたします。この度、ご縁がありまして薬局新聞で記事を書くことになりました。

1996年に大学卒業後、約20年間働く場所を変えつつもずっと薬局で勤務しています。薬局カウンターでの薬の説明に始まり、市販薬の販売や在宅にも携わっています。現在は、大阪の薬局で働いている、そろそろベテランの域に入る薬剤師です。
同時に、薬剤師として働いているのと同じぐらいのインターネット歴があります。個人で作るホームページや掲示板から、今のSNSへ、個人が発信・意思疎通できる手段が変化していく時の流れとともに過ごしてきました。
私も、現在は「『くすりや』の『現場』」(http://miyaq.hatenablog.com/)というブログを運営しています。こちらは、薬局や薬剤師、薬や医療について現場にかかわることを医療関係者ではない方にもなるべくわかりやすい言葉で解説するのを目的としています。過去には、第48回日本薬剤師学術大会のシンポジウム「ICTによる情報の共有と活用」のツイキャス配信、昨年の同学術大会でも医療従事者による情報発信の発表に携わっています。
当コラムでは、働く薬剤師の現場で起こっていることや素朴な疑問、薬剤師による情報発信についてお伝えしたいと考えています。現場の薬剤師による、現場の薬剤師の生の声をゆるくお届けしますので、よろしくお願いします!

 

 

 

 

 

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ルテインって効果あり?

 先日、眼科に行った時にこのようなサプリメントのパンフを目撃しました。

サンテルタックス20+ビタミン&ミネラル | ルテインのサプリメント「サンテルタックス」|参天製薬

 一般の店舗には置いていない、サプリメントでした。製薬メーカーも大変です。

こちらの、「ルテイン」と「ゼアキサンチン」の効果についての論文(栄養補助食品として消費者庁に認められた際に科学的根拠として用いられた)を見ました。

www.ncbi.nlm.nih.gov

ルテインの機能性の科学的根拠に関する点検表(こちらは他のルテイン含有食品の資料です)

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A150-kinou.pdf

 先の論文、

健康なアメリカの大学生対象にルテイン+ゼアキサンチンのサプリメントを服用させて、プラセボを服用した人と「黄斑色素光学濃度」「血清ルテイン濃度」「色覚コントラスト」「光ストレス回復時間」「グレア障害」を比較。前者4つは有意差あり。150人の学生が参加し、109人が最後まで試験に参加。(卒業したため)

 この結果を、日本の中高年にそのままスライドさせることはできるだろうか?

 

今度は、加齢黄斑変性症になるリスクの高い、アメリカの中高年から高齢者を対象とした試験です。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 こちらはしっかりとした研究を行っています。

加齢黄斑変性症のリスクの高い50-85歳の人(4000人以上の試験)を対象に、

 5年間観察されたものです。

www.ncbi.nlm.nih.gov

こちらはAREDSサプリメントの効果に関する試験。

この結果アメリカではAREDSサプリメントが推奨されるようになりました。

その成分は

ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、βカロテン

 

AREDSサプリメントを服用した上で

1つめの試験

プラセボ

ルテイン+ゼアキサンチンを追加したもの

DHA+EPAを追加したもの

ルテイン+ゼアキサンチン+DHA+EPAを追加したもの

で観察

2つめの試験

1つめの組み合わせで

AREDサプリメントの成分に工夫をした試験を行った。

 

AREDサプリメントのまま

βカロテンを除いたもの

亜鉛を減らしたもの

βカロテンと除き、亜鉛を減らしたもの

 

結果、AREDサプリメントからβカロテンを除いて、ルテイン+ゼアキサンチンを追加したものとAREDサプリメントの間で、加齢黄斑変性への進行リスクの抑制が確認された。(それ以外の比較では有意差なし)

 

  アメリカで推奨される加齢黄斑変性対策のサプリメントはこの成分の組み合わせです。

 ルテイン(10mg)

 ゼアキサンチン(2mg)

  ビタミンC(500㎎)

 ビタミンE(267mg)

 亜鉛(80mg)

  銅(2mg)

というわけで、上記のサプリメント服用は加齢黄斑変性へのリスクを軽減させると示唆されます。(日本人でのデータがないためこのような表現にしました。)

 最初に登場した、サンテルタックス+ビタミン+ミネラルはルテインとゼアキサンチンは上記のサプリメントとほぼ同じ量ですが、他は少なめです。食事で摂る量を勘案したものと思われます。(70歳以上の女性で上限はビタミンE650mg、亜鉛35mg、銅10mg)

 

 

 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要(pdf)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

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ガイドラインってなんぞ?

 

 

 

 

 本日の記事は主に薬剤師向けです。

 よく、治療で「ガイドライン」と言われます。

それってなんでしょう?

ガイドラインとは:[国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者の方へ]

 こちらは医療従事者向けのサイトですが、こちらを噛み砕いて説明したいと思います。

ガイドラインの定義

「エビデンスのシステマティックレビューと複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて、患者ケアを最適化するための推奨を含む文書」(米国医学研究所:Institute of Medicine 2011)

 

「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量し、最善の患者アウトカムを目指した推奨を提示することで、患者と医療者の意思決定を支援する文書」(Minds 2016)

つまり、患者さんの治療を最適なものにするために 治療方法についてきっちり評価を行って、医療者側が根拠をもって治療方法を提案できるようにまとめた文書です。治療方法が1つとも限りません。

 しかもガイドラインは「やらなければいけない」ものではなく、「おすすめします」という運用方法です。「裏付けがある治療法なので、やってみませんか」というものです。治療方法を決めるのは患者と医療者の総意であるという表現にもなっています。

 診断方法、治療方法に裏付けがある治療を提案しています。

  「確実に診断する道筋」

 →「患者の疾患、状況(年齢、体質、他の疾患など)に合わせた治療を行う」

の流れです。(勿論、治療しながら診断することもあります)

 

 ガイドラインには以下の効果があります。

1.ひろく良質な治療が行われる。

 ガイドラインがあれば、良い治療に早く簡単にたどり着ける可能性が高くなる。

2.治療法の共通化がなされる。

 治療の道筋がわかりやすくなるので、患者さんが「今どんなことをされているんだろう」という不安が解消されやすくなります。他の医療者、専門以外の医師、患者家族、介護者にも共有されることで患者さんがどういう状態か把握しやすくなりますし、治療に対する疑問を自分で、もしくは他の医療者で解決しやすくなります。

 ガイドラインの中には「患者向け」のものがあります。それを読むことで、自分が今何をしているのかわかる安心感があります。

 

 ガイドラインは日々進化する。

「治療の最適化」がなされるより良い(確実、手技が簡単、患者の負担が少ない)方法が開発されていきます。その治療法が広い範囲で適応されていけばガイドラインに掲載されていきます。

 ガイドラインは強制ではない

現場において医療者と患者が参考にしながら診療方針を考えていくもの、いわば診療の「出発点」であって「到達点」ではないことに注意が必要である。そもそも言葉の定義として、「ガイドライン」とは対象となる患者の60~95%に当てはまることがらを示すものであるという意見もある

解決方法の道筋がわかりやすくなるものである、とこのサイトでは何度も書いています。

 

 ガイドラインにはたくさんの根拠となる文献がある。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版 日本皮膚科学会

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf

 ガイドラインの立ち位置についても書いています。

www.dermatol.or.jp

 ガイドラインを作るのには非常に多くの裏付け、裏付けを作るための臨床研究が存在します。いろいろな場所で行われた研究をまとめて、多くの人の治療に当てはまるようにして、より多くの患者がよりよい治療を受けられるようにしたものです。

 

 一つ一つの論文を読む時間がなくても、ガイドラインがあるものを読めば、患者さんの不安に応えられるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

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