「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

人工知能が診断する時代になったら

1.患者の所見、検査データ、服薬情報(実際は処方データであり、飲んだかどうかの情報蓄積をどうするのかが課題)を基に予測される病態をAIが準備する(各種論文や症例報告などのデータを基に)

2.その情報を基に、当日の患者の様子をみて、医師がAIの出した判断を基に診断する(もちろん、医師がAIの想定していない答えを出す選択肢も存在する。これが勘である。)

医師の想定していないAIによる判断と、AIの想定していない医師による判断が入る。

 1.の準備の部分を効率化するのがAI導入の目的と思われる。問題はある。診察した内容のインプットだ。この部分をどうやって効率化させるかが課題となってくる。この部分を効率化させるだけで、医師の仕事での負担が軽減されるのではないだろうか。 

訴訟になった時に、誰を被告とすればいいのかがAIによる診断の課題だ。AIを被告とする場合、賠償金をどのように支払うのか。

 

 感情的にややこしくなった場合、間にAIが入って、とにかく淡々と説明すれば「AIの決めたことだから」と納得できるだろうか?

 人の感情の、もしかしたら自分ですら意識していない本音部分をその周辺ごとすくいあげて解決策を出してくれるAIが生まれたら、人間による仲介は必要なくなってくるかもしれない。自分の感情でありながらも、顕在化させることなく、こっそり解決する。(顕在化すると、自分の美しくない本音に耐えられなくなる人もいる)

 ただ、訴訟による責任のとり方が変わらない限り、人間の医師は必要なので、医師という職業はなくならないと考える。

 

 これは医師だけに限らない。医療職だけに限らない。

 それと、対人業務において複雑な対応を必要とする人に人間の業務を充てるために、定型的な対応で済んだり、経過を見るだけでいい人の対応についてはAIに任せる方向に向かうのではないか。持つものが増え、するべき仕事が増えているけれど生産年齢人口が減少している中で、限られた資源(人も資源ですよ)を必要な人に届けるためにはこのような効率化が必要だ。

 しかし、対応に難がある人に接するのは非常に疲れる。そのために対人業務を担う人が疲弊してしまってはこれまた人という貴重な資源を失うことになる。ゆえに、クレーマーのような人は顧客として扱わないという方向性も必要になる。これは、医療でも例外ではないと考える、

 

 

 

 

 

 

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書評「65歳からは検診・薬をやめるに限る! 高血圧・糖尿病・がんはこわくない」

www.sakurasha.com

 

 2週間に1回しか更新しませんと言っておきながら、臨時の記事は書くのでよろしくお願いします。

 

 本日は、名郷直樹先生の「65歳からは検診・薬をやめるに限る!高血圧・糖尿病・がんはこわくない」を紹介します。

 

 タイトルを見ただけで「反医療本」のように見えますが、違います。(「違います」は青山繁晴さんの口調で)

 医療に対しては敵でも味方でもなく、人生を楽しく生きるために利用するエッセンスという立場です。批判的吟味をもって検証しましょうという立場です。

 

 「一番有効な医療はワクチンである」と言い切っています。

 「薬にはない、他の人が病気になるリスクも下げる効果がある」とも。

 

 一般の方向けの書籍なので、名郷先生の文章は非常に優しい言葉です。科学的な視点を持つことを勧めながらも、人(ここでは読者)の生き方にも配慮しています。65歳になったら検診をやめましょう、という主張であっても、「子供が自立するまで」とか「親を看取るまで」という風に自分のタイミングでいいと書いています。

 科学的根拠を持って書いた文章をここまで優しい文章にできるのが本書最大の魅力です。

 

 

 何のために健康でいるの?

 

 自分と向き合って、考えてみましょう。

 

 「とにかく、健康が一番」で思考停止していませんか?

  

 健康じゃないと生きてはいけませんか? 

 健康でなくても生きていけますよ

 世の中には病気や障害を持っていても生きている人がいる

 老化を受け入れよう

 健康でない期間は必ずある。それを申し訳ないと思う必要はない。

 

「健康が一番」も疑ってみよう。それは必ずしも正しくない。

 

 私自身も、「親が死んだらもう好きにしてもいいよね」と考え、親の健康問題が浮上してきた現在では無駄に不摂生にしなくてもいいいけどがむしゃらに健康を追求する必要もないと思うようになってきました。ただ、献血ができるほどの健康は維持したいと思います。趣味が減りますので。

 老化が来るのは避けられないので、なるべくやりたいことはできる年齢、その場でやっておいたほうがいいですね。悔いは残りません。

 本書には書いていませんが、高齢になると内科的な疾患よりも、目や耳や歯、整形外科のメンテナンスをして楽しい人生を送れるようにした方がいいのではないかとも思います。もう食べられるものを好きに食べても寿命が変わるわけではないのならば。

 もちろん、事故に遭わないよう気をつけることや無茶な行動をしないことは高齢でも大切です。

 

 本書は一般の方向けの書籍です。すべての国民が読んでほしいです。医療従事者も、一般の方に科学的根拠を持って伝える場合の言葉の選び方の教科書として読んでほしいです。

 

 一つ注文をつけるならば、紹介された研究データの出典を巻末にでも書いてほしかったです。そうなると高くなるのでしょうが。(医療従事者向けとして別に出版してもいい)

 

 そして、いきつけの美容室には反医療本と反医療本を否定する本両方があるので、この本もおいてもらおうと思います。(*´∀`*)

 

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連続テレビ小説「べっぴんさん」で描かれる「丁寧さ」への回帰(薬局・薬剤師編)

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 こちらは「べっぴんさん」で登場する「キアリス」が創業の地・神戸・元町にある元町駅交番です。

 

 先日終わった朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」。この作品では「地道に、焦らず、子供たちにとって最適なものをつくる」ことにこだわったことがメインとなります。企業の規模を大きくしたり、生産性を高めたりと意識高いことがもてはやされる中で、ものを買う人は何を求めているのか、そのために作り手は何をすればいいのか。その場の気分に惑わされず、いちばん大切な基本的な部分を決して踏み外さないことが大切だと伝えています。

 キアリスの基本は「赤ちゃんが喜ぶもの」。赤ちゃんが喜べば、母親も喜ぶ。主人公たちはここを決して踏み外すことをしませんでした。根回しや家族間の意思疎通が必要以上になされなかった印象があります。そこを説明する時間がなかったのでしょう(と思いたい)

 

 そこで、私達の業務も何がいちばん大切で、踏み外してはいけないのか考えなければなりません。やれ在宅だICTだと言っていますが、いちばん大切なのは、国民の衛生的な生活ではないでしょうか。それを医薬品や衛生材料や食品などの視点から見るのが薬剤師の仕事といえます。

 薬を飲まない方が健康的衛生的な生活を送れるのであれば、薬剤師はそれを販売しないことを国民に伝えます、伝えなければなりません。処方通りの薬を飲んだら体調が悪くなるのであれば、薬を飲まないことを医師に疑義照会しなければなりません。

 正しい薬を早く渡すのが自分たちの仕事でしょうか。

 患者さんの好きにさせるのが国家資格の薬剤師の仕事でしょうか。

 基本に忠実に、丁寧に。

 五十八さんも、潔さんも言ってましたが、焦らず、信用が大事。

 

 

 

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お知らせ

 当ブログ「くすりや」の「現場」を1年なんとか毎週更新できてホッとしています。

 今まで、何度もブログを作っては更新できなかった自分としてはよくやったという気分です。最初1年はまめに更新して読者を増やそうという思いでやってきました。予約投稿機能は非常に素晴らしいです。最初にスパートをかけて尻切れトンボになるまいどのパターンを防いでくれるのですから。

 

来年度からは隔週月曜日21時更新を基本として、記事の充実及びネタ切れ防止に励みたい所存です。(更新しない週に時事ネタを挟み込みやすくなる利点もあります)

 現場で考え、見てきたことを伝えたり、自身の仕事や医療について一般の人に伝えるという活動は続けていこうと考えます。

 

  

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お得・簡単・基本に忠実。主婦パート薬剤師におすすめの「薬局で使える 実践薬学」

  • 各所で評判の通称「鈍器」A4版448ページ:「ポリファーマシー解決!虎の巻」の倍のページ数)こと
  • 「薬局で使える 実践薬学」を紹介します。

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  床を掃除していないという指摘は受け付けません。

 厚さ約3cm重さ約1kgでダンベルにも撲殺用にも使えます(汗)

 こちらからも購入できます。↓

ec.nikkeibp.co.jp

 著者の山本雄一郎さんにに「レビュー書きます」と言った以上、書かない訳にはいきません。(ヲイ)しかし、普通のレビューでは面白くないので、何かテーマを考えましょう。

 

 あ、そうそう。私、今年からファーマトリビューン(Web版)にコラム書いてます。

一般の方も会員登録なしに読めますのでよろしくお願いします。

ptweb.jp

 こちらのコラムでも題材にしている「家事や子育てに忙しい女性薬剤師が本書を活用する方法」の提案をしましょうか。現場で働いている半分の薬剤師は家事と子育と両立している主婦ですからね!

 お金・時間・環境(家族が突然用事を言いつけてくる、PC使えない、書店遠いなど)に制限のある状況でどこまで活用できる書籍かどうかで、真の「実践薬学」と言えましょう。

 本書の値段は5800円(消費税抜き)。彼女たちには簡単に出せる額ではないかもしれません。ただし、これぐらいの額だとどこのショッピングサイトでも送料無料(少なくとも日経BP書店は送料無料)で買えるので、専門書を買いに行くのが地理的に厳しい方でも入手はしやすいかもしれません。書店が近くにある場合は書店取り置きもお薦めです。むしろ書店存続のためにじゃんじゃん取り置きしてもらいましょう!

 

1.時間がないけどどうやって読もう?

 約3センチと非常に分厚い書籍ですが、実は12ヶ月の大項目と数ページのまとまりで構成されています。しかも、一つ一つの文章のテンポが良く、頭に言葉がスラスラ入ってきます。マニュアルではなく読み物としての構成なのがいいですね。マニュアルだとそれぞれの文字の羅列を覚えていく学習になってしまい、却って頭に入りません。

 

 よほどご自身が読みたいテーマがある場合を除いて、著者も言及していますが、最初に一冊通しで読むのであれば最初のページから読んでみてはどうでしょう。集中して読んだほうがいいのですが、家族の事情で集中していても妨害されるかもしれません。そんな状況でも内容が頭に入る仕組みは評価するところです。毎日学習できる時間がない方でも、前の項目をざっと見返してから学習できる構成です。

 

 書籍なので、パソコンやスマートフォンが使えない状況でも読めます。わからない単語を検索しながら読む必要性も感じませんでした。家族との関係上、親もスマートフォンやパソコンの使用を制限されることがあっても学習できます。

 もしあれば更に楽しめるのが、「書籍に登場する医薬品の添付文書」です。職場で余っていれば持ち帰ってもいいですし、職場のPCでPMDAのサイトから検索してはどうでしょうか。

www.pmda.go.jp

を覚えておくと、書籍内に登場する「審査報告書」もダウンロードできます。もちろん職場はPMDAメディナビに登録しているよね?

 紙ベースで学ぶので、PCの利用に制約がある方でも学習できますし、どんな場所でも学習できます。

 

2.本当に業務に役に立つの?

 役立ちます。

 薬物動態、薬剤学、化学構造式・・・薬学部でそれぞれ独立した学問として学んでいた事柄が、読んでいるうちに頭の中で自然にスイッチしていきます。「今は動態をやっている」「今は薬理をやっている」と簡単に切り替わります。わざわざそれぞれの学問の解説書(だいたい1冊3000から5000円程度)を買わなくていいので非常にお買い得ですね!

 

 基本は添付文書との主張通り、添付文書を基にどこを読めばどんな情報が得られるのかストーリー形式で書かれています。現場で働いているならば、職場から添付文書を持ち帰ることが出きます。紙ベースの添付文書ならば書き込みも可能です。

 

 また、応用としてPMDAのサイトの活用も提唱しています。無料で薬に関する基礎的な情報は得られます。すぐに検索できることから、大切な情報を得る方法も説明しています。

www.pmda.go.jp

 薬のことで調べたいことがあればまず添付文書を読むでしょう。そこから何がわかるのか解説し、わからなければどの資料を調べればいいのかも書かれています。このあたりが非常に実践的です。他の薬でわからないことがあれば、本書で行われていることのまねをすれば、確実に答えにたどり着く仕組みになっています。いきなり論文を調べろPubMed検索しろではないので業務が忙しい店舗でも活用できます。

  薬局や病院で働いていれば、添付文書を紙ベースで手に入れるのは簡単です。

 

3.思考をまねよう

 家事や子育てをしながら仕事をしている方は、もともと非常に真面目な性格という印象があります。本書の内容を真面目に一語一語覚えようと考えるかもしれません。しかし、ここでマスターするのは「思考法」です。書籍で紹介されているのと同じ症例が目の前に現れるなんてことはありません。

 

 本書において、著者は自身の思考を言語化(まずここが難しい)して、他人にわかりやすいように伝えるという非常に難しいことをしています。

 

 現在起こっている問題に対し、患者さんにとって最も適した答えを導き出せるか。どの思考プロセスの型を身につけるのが本書の目的と考えます。薬歴も薬剤師が見たこと聞いたことと、それを見て薬剤師がどのように思考し判断し実行したか(次回以降の観察や確認ポイントも含める)を記録するものです。

 

 読みながら、今自分が何を考えているのか意識し言語化する(服薬指導シミュレーションにもなる)ことで、服薬指導や薬歴の質が大きく上がると思われます。

 応用として、自分が今何を考えているのかだけでなく何を思っているのか頭の中で意識することで自分を俯瞰して見ることができるので冷静でいられる手段ではあります。ただし、感情があまりにも溢れるタイプの人は思考を言語化するところまででとどめておいたほうがいいと思います。感情に巻き込まれて自分が潰れてしまいますので。

 

 思考の型を身につければ、さまざまなことに応用できます。調べる項目と適した資料、確認する箇所を押さえる技術も同時に身についています。

 

 

 薬剤師、薬学生。それぞれの知識を統合してく初めての書籍のような気がします。(特に、薬学生のうちに読むと自分が学んだ学問がどう実践で使われるのが知ることができ、学ぶモチベーションが保たれます)

 

4.(経済性)これ一冊で大丈夫? 

ほぼ大丈夫です。

 添付文書の構成がわかっていれば、問題なく読むことができます。

略語の意味がわからない場合は検索して調べましょう。(ただし、最初に略語は書いてある)薬学部で学んだことがあれば、一度は聞いたことのある言葉ばかりです。ブランクのある方も、本書を読んで意味がわかれば現場復帰はできると考えていいです。

 むしろ、同じ時間を消費するならば、各論を話すだけの研修会に行くよりは、本書の「○月」の項目を一気に読んだほうが実力がつくと考えます。薬の情報の扱い方を総論的に書いた書籍だからです。バラバラになった各論よりも、その各論をどう扱えば飲む人(患者さん)、処方する人(医師)の利益になるのか理解できる方が薬剤師としての(薬剤師独自の)実力はつきます。

 

 薬物動態学、薬剤学、化学構造式、薬理学・・・大学ではそれぞれの教員がバラバラ教えていたのを書籍を読みながらにしてそれぞれの学問がつながるすぐれものです。しかも、読んでいくうちにそれぞれの学問への視点が自然に切り替わるようになります。

 そう考えると、本書の副読本は薬学部時代の教科書とも言えそうです。ただし、利用範囲も単語の定義を調べるぐらいで済みそうなので、ネット検索できそうならば調べればいいでしょう→追加で購入する書籍はいりません。追加料金不要です。

 

 消費税(8%)込み6264円ですので、研修会の参加費用と交通費を考えるとむしろ安いのではないでしょうか。(少なくとも座学の研修会12回分と考えると)

 休みの日に一人で出かけるのにも家族のお伺いを立てる必要があるストレスからも解放されます!

 配偶者が子供を見る約束をすっぽかして予定を入れるリスクも避けられます!

 お子さんが小学生だと習い事の補助で土日も外出ばかりで働けない場合がありますからね!

 午後に研修会に行ったらそのぶん普段仕事でやり残している家事も溜まって疲れますから、その分本を読む時間に充てると有効です!

親御さんが本を読んでいるのを見て、子供が本を読み出すかもしれません。

子供は親の言うことを聞きません、親そっくりの子になります。

 

 本書をほしいと思うかどうかで、働く意識が見えてくるのではないでしょうか。

 本書を買いたいと思わない、買うのがもったいないという時期は買わないでもいいと思います。多分、今は薬剤師として働くよりも母親としての気持ちが強いのではないでしょうか。本書は薬剤師として働きたいか気持ちを測る分水嶺でもあると感じます。

 

 

5.最後に

 

 著者と一般読者の距離感がいいです!

 この手の書籍は何かしら著者と読者に距離が生まれがちです。

「こんなことができるのは特別な人達だけだ」という思いが生まれるのでしょう。本書に関しては、現場で実践できることに視点を合わせている上に、著者にかしこぶったり、上から物を見る姿勢が見られません。

 一緒にやりませんか、というほどほどの熱さです。(熱すぎるとやはり引いてしまう、ひねくれた目で見る人がいるのも計算されているのでしょう。非常にフラットです。)そういう意味でもとっつきやすい書籍といえます。哲学的なのにとっつきやすいスマートさ。書籍の厚さはスマートではありませんが。

 また、素晴らしいのは構成とレイアウト。非常にまとまった図表。これを編集した方も非常に血のにじむ努力をしたと想像されます。

 

 一冊で何役も!学んだことが明日すぐに役に立つ!って可処分所得の少ない主婦パートの薬剤師にとっては願ったり叶ったりです。まどろっこしいと敬遠されがちな哲学や概念と言ったところも読み物にすることで説教臭くなく身につくのも長所です。どうしても最短距離で学びたいと各論から入りがちですが、思考の基本骨格を先に身に着けたほうが効率がいいのです。

 

 何日も、何ヶ月も、何年もかけていいので一冊読み切ったら業務能力が格段に上がっていると思います。例えば「1ヶ月」を本当に1ヶ月かけて熟読してもいいです。書籍に書き込みをしてもいいです。添付文書に書き込みをしてもいいです。どのようにして添付文書を読み、どういうデータを導き出せるか。目の前の人と会話観察してどのような問題があって、それに対するアセスメントをして、患者さんにフィットした言葉を選べるか。これが薬剤師の対人仕事の骨組みになると考えます。

 

追伸

3月に出たのが厳しいなあ~

(薬学生だと適しているのだが、卒業入学進級で物入りなのですぐには手が出ないかもしれません)

もし、この値段がネックの場合は、今から月2000円でいいので貯めて、3ヶ月後に買いましょう!

 

 

 

 

 

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技術にお金を払う

 先日、我が家のガス機器が故障した。

日曜日の深夜ということで、これどうしたことかとガス会社に電話したところ、当日中の修理となった。その時点で、出張料と技術料が休日料金で3割増になりますがよろしいですかというお伺いがあった。もちろん、そんな誰もが休みたい日曜日に働いているのだから拒否する理由もない。了承した。

 朝になってメンテナンス業者より電話が入った。修理の時間をもう少し早めてもいいですか、というものだった。多分業者の都合だと思われるが、早く直るのに越したことはないのでお願いした。

 業者の方が来た。手早い作業で修理箇所を見つけ、ぱぱっと直していった。

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 明朗会計。部品の費用よりも技術料のほうが高い。当たり前だ。

どこの故障なのか見極め

正確に部品を取り付け

直ったかどうか確認する

これだけの技術を身に付けていることこそ価値がある。さらに言えば、修理体制を作っておくための費用もしっかり基本料として請求している。

 

 薬剤師もそうだ。部品である薬を取り揃えるよりも、

 その部品が正常に使える使用量かどうか見極め

 ユーザーが使用しやすいように工夫し

 継続したサポートができるように使用方法やその背景についてのやりとりを記録し、

薬品を供給できる施設としての体制を作る

方が遥かに手間がかかる。薬局という建物がなければ、医療用医薬品を購入することはできない(本人確認の代わりとなる)買った医薬品を全部使い切るとは限らない。(100錠包装の薬を買って、14錠しか使わないなんてことはザラだ。それだと完全に医薬品として赤字だ。)

 そういう技術を評価し、適当な対価を支払うことを自然と行える人が大多数になることを願ってる。

 

 

 余談

後日、メンテナンス業者よりその後の様子のお伺いの手紙が届いた。こちらは返事しなくていいらしい。まあ、故障はあれば再度連絡するのだけれども。これぐらいのフォローも薬局としてはあってもいい。

 

 しかし、メンテナンス業者の方

 宛名に書いた名字が間違っているんですが・・・・

 

 

 

 

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入学しても卒業できるとは限らない

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写真と本文はほんとうに一切関係ありません。

 

文部科学省が出した、薬学部入学者の修学状況についての資料です。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/09/28/1361519_1.pdf

 これには、平成22年度から24年度までの学生がどのような修学状況か大学ごとに書かれています。

 平成22年入学生 5年次進学率、実習修了率、卒業率

 平成23年入学生 5年次進学率、実習修了率

 平成24年入学生 5年次進学率

 

大学の設置母体ごとで見事に分かれました。

 一括募集で、入学後に進路を決められる大学はこの表ではデータがでません。

 

 国公立の場合は進学率9割前後がほとんどです。薬学部に限らず、途中で進路変更をすることはありますので、問題となる数字ではないでしょう。もともと定員が少ないので、5年に進学しなかったり、ストレートで卒業していない人数は片手で数えられるほど、少ないところでは「全員5年に進級できた(京都大学 平成22,23,24年度、広島大学と九州大学の平成24年度)」という例もあります。入ったらほぼ卒業できる(できない場合は本人の学業不振)と思っていいでしょう。しかも、国家試験もほぼ合格しています。

 

 私立大学はいろいろです。

 そもそも入試の時点で入学定員を半分以上満たしていない大学

 (あまりに定員を満たさないので募集人員を減らした大学もある)

 5年次進学時点で半分が進級できていない

 実習は修了できても2-3割は卒業はできてない

 (5年に上がれたけど実習を終了できなかったという学生はどこの大学もあまりいません)

 卒業はしたけど半分ぐらい国家試験を受けていない

 6年ストレートで上がれて、国家試験を受けたのは入学時の1/4程度の人数

 卒業生の殆どが過年度入学生で、入学年度を遡るほどその人数が増える(しかし国家試験を受けていないものが多く存在する)

 

 というところもあります。

(そういう事例は特定の大学に集中しています)

 

 地域によって薬学部の数が偏っているのと、上記の私立大学のような大学を減らしたほうがいいのではないかと考えます。

 

 誰も彼も大学に行く必要はないですし、形だけ大学に行かせたのがミエミエの大学だとそもそも企業も採用しないですし、形だけ大学に行かせるため一千万円払って奨学金という名前のローンを背負わせるのはどうかと考えます。

 

 

 

 

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