「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

肥満症治療薬「ウゴービ」

肥満症治療薬「ウゴービ」が世に出ます。これ、何もしなくても痩せられる薬という認識でメディアに取り上げられそうなので、そうではないことを申し伝えておきます、 肥満と肥満症は異なります。端的に説明すると、肥満が元ですでに別の病気を併発している状…

薬剤師フィールドリサーチ(134)「現場に求められるのは倫理観」

今回は2024/2/28発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 先日訪れた市販薬の売り場、商品POPに「お一人様1点まで」「服用者の年齢を確認」といった記載がありました。購入者に対し注意喚起を行うと同時に販売する側への引き締めに…

在宅専門薬局はありかなしか

結論から言えば「ありだが、特定のスーパーマンだけで回っていると運営が危うい」です。 今回は「在宅専門薬局」について解説します、 この世には、自宅で療養していて、通院が難しい方がいます、 入院するほどではないが、疾患自体は重い、もしくは老化など…

薬剤師フィールドリサーチ(133)「お薬手帳に市販薬の情報を」

今回は2024/2/14発行の薬局新聞掲載「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 先日、SNSで「服用した市販薬の包装と成分を記載したものを貼っているお薬手帳」を掲載された方がいました。それはいい方法と多くの方の称賛のコメントと他の人も真似て…

薬局機能情報の入力が面倒

厚生労働省の提供する医療情報システムG-mis。2024年2月現在、薬局機能情報を入力している方が多いと思います。 詳細すぎて誰が見るのか、しんどい時には見たくないぐらいの情報量です。 「禁煙」「高齢者」「栄養」など、相談内容ごとに回答できるかどうか…

たとえ重大事件の容疑者であっても

とある重大事件の容疑者が瀕死の重症でした。助かる可能性はごくわずかでしたが、必死の治療の結果、なんとか一命はとりとめました。そして、裁判の結果、死刑判決が出ました。 裁判する前に死ぬのと、判決が出て死刑になる。被害者やその家族、被告だけでな…

薬剤師フィールドリサーチ(132)「インターネット販売とネット電話利用による販売は違う」

今回は2024年1月24日発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 「有資格者によるネット電話での説明を条件に一部の薬の直接対面販売を義務としない」 メディアでは「医薬品のネット販売全面回解禁」と書くのはミスリードではないでし…

緊急避妊薬、単なるOTC化でいいのか

全国で緊急避妊薬の試験販売が行われていますが、ただ単に市販薬でいいのかという疑問が湧いてきました。 性加害の問題です。 ただ単に販売しただけだと、背後にいる性加害やDV・不適切な男女間の関係・や反社会的勢力の問題への追及が断ち切られてしまうの…

薬剤師フィールドリサーチ(131)「新春SP 盛況!医療者BAR」

今回は薬局新聞2024/1/10発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 新年あけましておめでとうございます!2023年、大阪・梅田に開店したBAR「看護師と薬剤師がつくったBat Medista」。連日盛況です。今回は、昼間は訪問看護ステーション、…

災害対応と残薬

2024年は正月から地震に見舞われて大変な年明けとなっております。災害時に薬を切らさないためのライフハックを紹介します。 1.お薬手帳を常時携帯する お薬手帳は災害で処方元ととの連絡がつかなくなった場合に処方箋のかわりとなる可能性があります。熊本…

薬剤師フィールドリサーチ(130)「今こそセルフメディケーションの推進を」

今回は2023/12/20発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 家族が痰の絡んだ咳が出るとのことで、出医療用医薬品が供給不安定だしいい市販薬はないかとドラッグストアに行きました。ここで勧められたのが去痰剤だけの薬。こっちも薬…

薬剤師フィールドリサーチ(129)「濫用のおそれのある医薬品の扱い」

今回は2023/12/6発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 濫用の恐れのある市販用医薬品について、一人あたりの販売数を制限がなされています。さらなる規制として該当成分を含む市販薬の販売中止が囁かれています。しかし、その前…

むしろマイナ保険証を推進すべき

www3.nhk.or.jp 「マイナンバーとひも付けの保険証情報 台帳と不一致 約139万件」とあります通り、 住民基本台帳の記載(住民票や戸籍の記載:こっちが役所が管理している情報)と 保険証記載の情報(本人や会社による手書き申請書を保険組合が手打ちで入力…

 医薬品増産は手間がかかる

医薬品の増産にはそう簡単にはできません。 例えるならば、「衛生管理とレシピがガチガチに決まった家庭用の調理」です。 どれぐらいレシピが厳重かというと、食材の入手経路まで事前に届け出る必要があります。その基準を満たしていない場合、製造すること…

薬剤師フィールドリサーチ(128)「コロナ治療薬有料化で起きたこと」

今回は2023/11/22発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 2023年10月以降、抗SARS-CoV2薬が有料化されました。主に高齢者施設からあったこれらの薬の処方がほぼ止まりました。コロナ患者さん自体も減っている印象があります、お金…

リフィル処方箋には患者も責任が伴う

医療費削減にはリフィル処方箋を活用する案が出されていますが、リフィルが適応される場面って思ったよりも少ないと考えていますし、患者が負うリスクや責任が増えるというのは大きく広報スべきと考えています。 例えば 毎日血圧を測って記録し 受診も定期的…

薬剤師フィールドリサーチ(127)「医薬品卸と門前薬局の価値」

今回は2023/11/8発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 よく言われる「門前薬局は医薬分業の理念に則っていない」などといった門前薬局悪者論ですが、医薬品供給が不安定になっている昨今では、医薬品の安定供給に役立っているよ…

門前薬局の利点

医療業界内ではよく言われる「門前薬局不要論」しかし、医薬品供給の効率化という点ではいい役割を果たしているのではないでしょうか。 通常、医療用医薬品は100錠とか500錠、1000場といった包装単位で入ってきます。その箱から処方箋に書かれている量(処方…

インチキ治療が意外と訴えられないのは

いわゆる「インチキ治療」ですが、意外と訴訟されていない印象があります。 がんにまつわるものの場合、患者が亡くなっていることが珍しくありません。インチキに気づいたところで、治療を受けた人は帰ってきません。 遺族が裁判する気力がないというのもあ…

薬剤師フィールドリサーチ(126)「そもそも敷地内薬局は必要か」

今回は2023/10/11発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 敷地内薬局建設をめぐり、病院経営幹部と薬局企業経営幹部の癒着による贈収賄事件が報道されました。一般国民からしたら、どう影響するのか分かりづらいこの事件、世間の反…

原稿を書いて解説する人は想像より儲けていない

論文などの一次資料を調べて解説してくださっている医療従事者がいます。こういう方はさぞお金を儲けているのでしょうと思われていますが、意外と支出も多いし身を削っているということを軽く書いてみます。 自分の調べたことをまとめて医療情報として提供す…

薬剤師フィールドrリサーチ(125)「零売は本当に悪か」

今回は2023・9・27発行の薬局新聞掲載の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 第8回医薬品の販売制度に関する検討会でまあいろいろあったようです。医療用医薬品はすべて医師の指示のもとに置きたい医師側の発言に「まずは現場で患者から出ている…

とあるタグに内包されるいくつかの闇

タグの名前紹介しないんですけど、処方薬をSNSを利用して販売している人らがおります。 もちろん犯罪ですし、薬の種類によっては罪名が加算されてさらに闇落ちしてしまうリスクがあります。 すべての医薬品 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確…

薬剤師フィールドリサーチ(124)「COVID-19第9波とセルメの可能性」

今回は2023/9/13発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 世間では「COVID-19第9波、患者数増加」の報道がようやくなされるようになってきました。私の勤務する薬局でも患者数は増えている印象ですが、配達することがほとんどないた…

処方箋の指示は誰に向けて?

ちょっと前だったか、処方箋に使用部位を書く必要があるのか?という趣旨の発言をSNSでされていた医師の方がいました。 そもそも処方箋記載の指示は誰に向けてのものなのか、そのことに立ち返って考えてみましょう。 処方箋に対する定義 医師法 [ 処方せんの…

とはいえ支える人が減ってはいないか

零売を利用する理由「医療機関が開いていないから」 一般的なサラリーマンが医療機関をかかれるのは土曜日しかありません。実際に体調が悪いならともかく、継続してかかっている疾患の治療に毎度有給休暇を使うのは現実的ではありません。通院だけですべての…

薬剤師フィールドリサーチ(123)「零売を医薬品安全供給の手段に」

今回は薬局新聞2023/8/23発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 第7回医薬品の販売制度に関する検討会で医療用医薬品のうち処方箋医薬品以外のものを最小限販売するいわゆる零売について議論されました。この内容が「きちんと安全に供給…

薬剤師フィールドリサーチ(122)「薬局淘汰の波?」

今回は2023/8/9発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 職場近所の薬局が閉店することになりました。門前の医療機関がしまるわけでもないのに。他にも近くに薬局は複数あり患者さんは行きたい薬局に行けば済むのですが、近隣で働く…

もし統合医療をしたくなったら

ヨガ、鍼灸、サプリメント・・・これらのことをしたくなったら、まずは参考にするサイトがあります。 厚生労働省が統合医療に関するサイトを開設しています。 www.ejim.ncgg.go.jp 情報の見極め方や、統合医療とは何か、についてわかりやすく(ときには動画…

薬剤師フィールドリサーチ(121)「薬剤師・登録販売者の副業」

今回は2023/7/26 発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 昨今、サラリーマン界隈では副業の話題が出てくる機会も増えました。 そして、自分が経営者ではない、雇われる側の薬剤師・登録販売者が増えました。もはや多数派ですね。…