「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬に対する興味関心の薄い人の事例報告

 

 先日、私の家族が処方された薬を調剤してもらった時のことを報告します。

 

 当人は基本的にものぐさです。

 当然のごとく、お薬手帳は持っていってません。多分説明は受けたと思うのですが、その記憶は一切残っていません。ただし、ジェネリックにするかどうか聞かれて

 「安い方がいい」

と言って変更したのだけは覚えていたそうです。この時の当人の受け答えもかなり表面的だった模様です。どうも話をきちんと聞いていない様子。

 そして、帰るなり薬袋から薬を出して処方された薬をすべて一つの袋にまとめました。用法関係なしに。 もう飲み方わからなくなってしまいました。本人も飲み方を覚えていません。チャック付きポリ袋に用法、薬効、用量、調剤した薬局および薬剤師の名前と調剤した日が書いてある紙が入っているのですが、それを袋から出してしまいました。

(もう、一包化デフォでないと飲まないレベル・・・)

 当然、どの薬がどの薬効なのかも、副作用がどんなものかも関心がありません。 

 いちいち飲むたびに薬効を調剤したわけでもない私に質問します。

 

 気付かされました。

 

 その場で興味関心があることにしか注意をはらわないことを。そして、その興味関心もその場のみ。

 情報の非対称性。頭に入る情報の量にも差があるということも。

 

 体調が悪くなっても、それが有害事象であることも気づかないかもしれません。薬を飲んで有害事象が起こるという概念すら認識していない可能性があります(副作用とは思いもよらなかった、という発言はここから来る)実際に体調が悪くなっても、それが薬の副作用であることを認識せぬまま、この先生きていくことも珍しくないと。医師も副作用であると認識せぬまま治療を続け、なかったことにされる副作用も多いのではないかと。

 

 医療従事者はしっかり個別の情報を口頭で伝えているのですが、患者さんの興味関心を引きつける伝え方が十分でなかったり、そもそも患者さんは治療に関心を持つ時期ではなかったという可能性もあります。

 それと、医療従事者と患者では医療に関する基礎知識の量に大きな差があります。そのため、詳しく説明しても正確に頭に入らないかもしれません。

 そこで、薬袋やお薬手帳などに手書きで個別化された情報や服用時間の設定などを記載します。いつか、興味関心を持った時に読んでくれるように。(このように手帳を持っていかず、袋を捨ててしまう人には無意味なのです・・・)

 もしかしたら、興味関心を持った時にその場で対応してくれるのが一番なのかもしれませんが、全員が全員それだと医療従事者の生活が成立しなくなります。医療従事者の生活が崩壊せず(絶えず患者さんからの問い合わせが来る切迫感に追われなくて済む)、患者さんに対し個別化された医療従事者による回答がうまく伝わるのか。このバランスを探す日々が続きます。どこで落とし所を見つけるのか。

 指導内容をすべてその場で記録できるAIが生まれれば、コールセンターからの対応ができるでしょうし、コールセンターも人手でなくてもよくなるとなったらどうなるんでしょう。

 その場その場での興味で生きるのではなく、もう少し先のことを考えて生きてほしいのです・・・

 

補足

次回受診予定日をブッチしました・・・・・(現時点でも病院には行っていません)

 

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