「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬やサプリメントにおける添加物の役割

 「添加物が入ってるから危険」

 サプリを紹介するサイトでよく見られる表現です。他の商品の評価を下げる表現です。

 

1.主成分だけで作れるか?

 例えば、微量元素の場合

 妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月までにサプリメントで摂ることを勧められている葉酸の量は400μg=0.4mg=0.0004g。

 この場合、正確な量を確実に飲めるようにするにはどうしても他の物質が必要です。

「他のビタミンやミネラルを混ぜたらいいのでは?」という意見も出てきます。

ビタミンはこれまた微量なので、混ぜたとしても正確な量を飲めるだけのかさにするには相当な種類が必要になります。食事と含めて1日摂取量を超えないようにするには、これだけでは難しいです。ミネラルのうちカルシウムを足せばかさはある程度カバーできます。

例)ピジョン 葉酸カルシウムプラス1錠あたり
葉酸 200μg(=0.2mg) 鉄 5mg ビタミンB1 0.65mg
ビタミンB2 0.75mg ビタミンB6 0.7mg 

ビタミンB12 1.4μg(=0.0014mg) ナイアシン 5.5mg
ビタミンD 0.9μg(=0.0009mg) カルシウム 80mg

これらの成分の中には、何らかの形で安定した化合物として存在しているものもあります。

成分だけの重さを足すと、92.8023mg=0.0928023gです。

クレストール錠2.5mg(直径約6mm厚さ2.1mgのやや小さめの錠剤)の半分ぐらい、

プレドニン錠5mg(直径約5mm、厚さ約2.3っmの小さめの錠剤)の倍ぐらい。

(いずれもソースはそれぞれの添付文書です)

いずれの薬も、錠剤としては小さめで手に取りにくいです。ただし、飲み込みやすいです。

しかし、課題は残ります。

 これだけの物質が均一に混ざるのか?

 (微量のものをひとつひとつ混ぜ合わせるよりも、一度に大量の薬を混ぜ合わせて振り分けたほうが簡単に作れます。振り分けるので、均一に混ざっていなければなりません。)

 混ざったところで錠剤の形にできるのか?

(錠剤にするのは、飲む人が確実に一定量の成分を飲めるようにするためでもあり、保存が簡単だからです)

これらの問題をカバーするのが添加物と呼んでいるものです。

 

 2.添加物の役割

添加物にはこのような役割があります。

 今回は、小林製薬の葉酸を元に紹介します。

www.kobayashi.co.jp

 

全成分の含有量まで書いてあって非常に親切です。

主成分は 葉酸、ビタミンB12、ビタミンCです。

それ以外の結晶セルロース 、粉末還元麦芽糖  デンプン  

デキストリン  ステアリン酸カルシウム

について役割を紹介します。

 ★結晶セルロース

 ブドウ糖がたくさんくっついてできているもの。

木材や草などから作ることができる。

役割としては、

物質を混ざりやすくし

錠剤としての形を作りやすくし、

それでいて錠剤が崩れやすくなる(飲んだ時に程よく崩れるようにする)

ものです。

www.pharm.or.jp

人への影響についての研究も行われています。

日本医薬品添加物協会の

現時点では 吸収されない という見解です。

 

★粉末還元麦芽糖(マルチトール)

こちらも甘みと錠剤としてかさを増すのに使われます。

いわゆる「糖アルコール」で、キシリトールと同じくくりです。

大量摂取すると下痢をするとされていますが、大量というのが体重1kgあたり0.3gなどと、こちらのサプリメントに含まれる量(62.2mg)の数百倍の量であるためまず心配はありません。

参考

東京都食品安全FAQ - FAQ

★デンプン

かさを増して、一定量確実に飲めるようにします。

★デキストリン 

 デンプンを低分子化させたもの。用途はデンプンと同じ。

難消化性デキストリン(分子量の大きなもの)で「多量摂取で下痢」と言われますが、こちらのサプリメントに含まれる量(2.7mg)の1000倍以上で実験しているので気にしないでも構いません。

参考

難消化性デキストリンの特性と用途|農畜産業振興機構

 

★ステアリン酸カルシウム

 飽和脂肪酸の一種のステアリン酸のカルシウム塩。

ステアリン酸は動物性、植物性脂肪で最も多く含まれる飽和脂肪酸。

滑らかにするので、錠剤を作る時に型から離れやすくする。

 

 

関連資料

国立健康・栄養研究所 「健康食品の安全性・有効性情報」葉酸

http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail652.html


平成 15 年度厚生労働科学研究費(効果的医療技術の確立推進臨床研究事業) 日本人の水溶性ビタミン必要量に関する基礎的研究

http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/4-7.pdf

胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品 国民生活センター

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110526_1.html

 

www.afpbb.com

 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)の独立委員会で、検診や予防医療の研究レビューを行って米国政府の推奨グレードを作成します。

 添加物の安定性に関しての資料があります。

日本医薬品添加物協会のサイト

日本医薬品添加剤協会

一般社団法人

日本食品添加物協会のサイト

http://www.jafaa.or.jp/index.htm

食品衛生法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO233.html

食品添加物ADI関連情報データベース

http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/food_add/

 

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