「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ

正しい情報の扱い方

 

 某有名健康食品(機能性食品として認められている)のテレビCMを見て、

「これ高くね? これに支払うお金があったらスポーツジムの費用出せるよ」と思ったので、軽い気持ちでその商品の公式サイトを検索しました。

 すると、有効成分の効果を示す根拠となった論文が紹介されていました。

 

 速攻で検索しました。

www.ncbi.nlm.nih.gov

PMID: 24153020 

 英語ワカランチンなので、速攻でgoogle chromeの翻訳機能を使用。

P:関節炎の既往歴がなく、安静時の関節痛がないが、身体活動と関節の不快感を経験した健常者(標準化された運動試験をして膝の痛みを感じた人)

E:非変性Ⅱ型コラーゲン製剤の服用

C:プラセボ

O:平均膝伸展の改善はあったか

ちゃんとランダム化比較試験となっています。(症例数が少ない気も)

製品による有害事象は発生せず。(有害事象の発生はあったが、プラセボでも起こっている)

 この実験、色々検討されていますが、有意差がなかったもの

1.運動後、最初の関節痛が発症するまでの時間

2.最も痛い関節痛が発症するまでの時間

3.膝関節の痛みの初期改善までの時間

4.膝関節痛の完全な消失までの時間

5.6分間の歩行歩数、1日の歩行歩数

しかも基準もしっかり定義しています。

 

痛い時に痛み止めを飲んでるのでは?と思った方もいると思います。

飲んじゃいけない薬及びサプリメントのリストを被験者に配り、報告させています。

きちんとした研究がなされていますし、読みやすい論文でした。

 

 しかし、この研究結果を元に出された広告の出し方には突っ込みどころがあります。

 研究では 「関節炎の既往のない、運動後に膝の痛みを感じる人」が対象でした。広告では「膝関節の動きが気になる人」という括りになっていました。効能に関しては正確に「膝の可動域を広げる」とありました。

  自分が飲んで効果が期待される人かどうか、わかりにくい記載です。

 既に膝が痛い人や関節炎を起こした人に対して、この論文の結果は該当しません。

 可動域を広げる効能のみの健康食品に、月1万円を支払う価値があるか?と立ち止まって考えましょう。膝の曲げ伸ばしだけが日常生活なのか、関節の動きだけで足の運動は完結するのか。

 整形外科に相談すると、専門的な解説を得られるでしょう。相談した方個人の状況に合った解説がされると思います。(自分にあったアドバイスはネットでは得られません)

 

広告の見せ方としてどうかとは思います。効果がある対象が(今のところ)限定されるものの扱いは慎重にしてほしいと考えます。

論文に書かれたからといって、すぐさま正しいと考えるのは早計です。

 対象となる人は誰か

 対象となる症状は何か

に自分の症状があてはまるかどうかをまずは吟味しなければなりません。

 正しい情報であっても、載せ方によっては不適切になりかねないという事例でした。

 

なお、同じメーカーのヒアルロン酸に関する研究の論文


鶏冠由来ヒアルロン酸含有加工食品の膝関節の自覚症状に対する
長期摂取時の有効性および安全性の評価
―プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験―

 Jpn Pharmacol Ther 2016 44(2)207-17

こちらについては資料がないので判断は保留。

 

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