「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ

服薬指導後の薬を配送?

www.meti.go.jp

 

これについて、当ブログでも解説します。

当ブログでは「これにより新しいビジネスが〰」とか「これはネット処方箋→薬の配送への布石だ」という意識の高い人たちの高名な推測を一切無視して、現実的な側面より解説します。著者が難しい言葉を使うのが嫌い(難しい言葉を知らない)なので、簡単な言葉で説明します。

 

1.どういうことか?

処方箋原本を実際に薬局に提出する

薬の適切な服用に必要な情報収集と薬の使用方法の説明を一通り行う

処方箋の記載内容に疑義がないことを確認する(この処方内容でOK)

そのうえで、患者さんに後日薬を配送もしくは郵送する

というものです。

 

2.何が問題か?

 薬を適切な時期に飲み始めることができるか?

 風邪などの急性疾患や

 治療スケジュールの決まっている薬

 手元に薬が全く無く、早く飲み始めた方がいい疾患

 の場合、配送することで起こるタイムラグは避けたいです。

 

 このような場合は、後日配送という手段は取れません。

どうしてもの場合は、当日中に届けることになりますので、近隣の方へのサービスになるのが現実的です。

 

 また、慢性疾患で継続して飲んでいる薬であっても、

 患者と宅配業者のスケジュールの都合がつかず、手元にある薬が切れるまでに薬を受け取れない場合も発生します。

 

 さらに、薬によっては保管に配慮の必要なものや、誤配や紛失すると犯罪に使われる恐れのあるものがあります。

 

 受取に関するリスク対策としては

患者都合でポストに配達→受け取った時点で患者が連絡するもしくは送り主が電話確認をする

もともと配達した記録の残るシステムを使う

方法が挙げられます。

 

 誤配リスクについて

 個人情報保護法で定められた「要配慮個人情報」にあたるので、慎重にしなければなりません。

 1.宅配便を使わず、自社の社員による配送、患者個人への手渡しに限定する

→これは、品質の維持にもつながります。薬剤師による配送中の保管方法の指導、及び管理体制の制度化を行えば薬剤師以外の配送も可能と判断します。

 2.配送伝票の宛名を患者本人に書いてもらい、配送用の包装をその場で作る。薬を入れる時は複数で確認

 3.受取の確認電話を必須とする。どの配送方法であっても、受け取った後に電話をかけて直接受け取ったか確認する。携帯電話が普及してだいぶやりやすくなりました。次は、メッセージソフトの利用など、お互いの時間を奪わない方法の開発でしょうか。

 

品質の維持

 厳密な管理の必要な薬は配送の対象外とする。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の第一条に抵触してしまいます。これに触れない範囲の品質維持をしないといけません。いいかえれば、患者の手に渡るまでの品質の保証がされない配送はしてはなりません。

 

 第一条  この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

 

3.費用について

 欠品していない場合など、患者都合によるものは患者負担でいいと考えます。勿論、送料無料サービスは適応させない。

 また、届ける場合も届けた人に対する人件費は発生しているの手数料を取るべきと考えます。

 

 4.配送業者の限界

 現時点で、通販での買い物が増えて配送業者も一杯一杯になっています。それに、誤配できない上に品質管理の必要なものを配送する手間が増えるのは大変ではないでしょうか。

 むしろ、ネットスーパーのように自社内に配送スタッフを持つほうが現実的と考えます。

 受け取る側の問題もあります。

 指定した時間帯に家にいない(いることができなかった)

 家に帰っていても、宅配ボックスやポストを開けない

 →結果として宅配ボックスが満杯になり、配送することが出来ない。

 このようなことがないように協力お願いします。特に、集合住宅の宅配ボックスは他の居住者と共有のものです。帰宅する際には必ず確認しましょう。

 

5.なぜ、この回答が経済産業省からあったのか?

 

産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」は、事業に対する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度です。

事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について、政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について、回答するものです(本件の場合、事業所管大臣は経済産業大臣、規制所管大臣は厚生労働大臣となります)。

 薬局を運営している事業者(たぶん、メディシス社が「在宅療養の患者向けに重い栄養剤やおむつを薬剤師による訪問の後に配達するビジネスのために質問したと思われます)問い合わせしたので、厚生労働省に確認した上でこのような見解をしています。もともとこういう制度です。はいこの件はおしまい。陰謀論や先のビジネスなどの意識高い系の意見はカット!解説するブログです!

 

 

 直接薬局で受け取って帰るのが一番早く確実に用事が完結する上に情報漏えいリスクが小さいので、相当時間のかかるものであっても、配送サービスを使わないほうが色々トラブルがありません。薬剤師としても直接渡すのが一番安全です。

 一包化など時間のかかるものについては、出来次第患者宅に持参する、出来次第取りに行くなど直接渡せるに越した事はありません。そのような薬の場合は、自宅の近くの薬局で調剤してもらうことを強くおすすめします。(薬の品質も維持できますし、患者に渡せたことを人の目で確認できます)

 立ち寄りやすいところにかかりつけ薬局を!

 

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