「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ

がん治療に対するここ最近のテレビ番組について(2)

がん治療に対するここ最近のテレビ番組について 後半です。

 

3.毎日放送 映像’17「がんとネット」

深夜なので録画しました。

 非常に淡々とした作りで、画面に集中できました。正確に物を伝えたいならば、一つの画面で伝える情報量を最小限にすると効果的。

 腫瘍内科医の勝俣先生の取り組みを紹介するのが主な話です。それに、正確な情報を伝えることの難しさについても紹介しています。

 ある患者さんは、がんが見つかってから自費の治療を行って数百万円を使ったところで、勝俣先生のところを訪れます。先生から伝えられた受容の言葉で、初めて医療を信じることが出来たと患者さんは言います。それからは、勝俣先生を信じて治療を継続しています。

 自由診療のクリニックでは、患者さんの自己責任とする、クリニックを責めないようにする数々の仕掛けがあったと聞きます。甘い言葉をかけつつ、書面ではそういうことは書いていない。悪化してもクリニックを訴えないように署名させられたと患者さんは言います。

 過去にかかった医師は、良い治療を受けたくて他の治療もあわせて受けたいというと冷たくあしらったと患者さんは言います。それは、医師から見れば当たり前のことを言っただけなのかもしれません。患者さんには冷たく受け止められたのでしょう。医師は、どうしても正確に物事を伝えようとするあまり、感情が乗りにくい説明になってしまうのでしょう。感情に載せた言葉で話しても、嘘であれば意味が無いのも事実です。

 

勝俣先生は言います。「エビデンスが大事。」

  

「エビデンス侍」と呼ばれたことがあるほどです。

 

 がんのインチキ医療はなぜ減らないか?

 美容整形はすぐに結果がわかる。だからリスクが大きい。

 しかし、がん治療の結果は患者からはわかりにくい。しかも、失敗とわかった時には患者さんは亡くなっている。訴えられるリスクが低い(家族も疲弊している。お金もない)

 

 勝俣先生の取り組みは多岐にわたります。SNSによる情報発信、患者さんに対するよろず相談、果ては患者さん同士の交流会(自らギターを演奏)

  

 

 医療法が改正され、医療機関でのネット上での広告における誇大表現が禁止されることになりました。「絶対効く」といった広告はできなくなります。

 医療法改正を前に、そのような広告をしている医療機関については、誰でも厚労省に報告することができるようになりました。

 

iryoukoukoku-patroll.com

こちらのページのフォームから報告できます。

国立がん研究センター がん情報サービス  

HOME:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

こちらのサイトは、科学的に根拠をもった文献を、誰にでもわかるような表現で書くために細心のチェックをしています。サイトの原稿を見る限り、細かいチェックは行われていました。このサイトの編集作業に携わるスタッフは5名しかいません。記事の更新にかかる時間は最短でも半年、長くて3年かかるとのことです。まっとうな情報を伝えるのにかかる手間はこんなにかかるのです。

 誰もが同じ解釈をすることができる表現

 内容が正確

多くの人が見るサイトなので、どんな状況の人にとっても同じ解釈ができるようにすると、どうしても平坦な表現になります。

 

国立がん研究センター 中央病院 呼吸器内科  後藤 悌医師によると、日本とアメリカのがんについてのインターネット掲載情報では大きな違いがあるそうです。

 肺がんに関して、アメリカでは標準治療のサイトが8割掲載されているのに対し、日本では5割以下しか掲載されていません。日本の場合は2割が、科学的根拠のない自由診療のサイトだったそうです。

www.ncbi.nlm.nih.gov

こちらがその論文です。PMID: 19550244

全文見られます。

 

メドレーの紹介

medley.life

医師たちが集まって、医療に関する記事を書いています。インターネット版「家庭の医学」を目指しています。

 

 

 

 

 

 

感想)

 ネットの情報は怪しいと言うならば、テレビこそまっとうな情報を楽しく伝えて信頼性があることを主張すればいいのに。そのチャンスを自ら潰した場面のある番組作りが見られました。やはり、まっとうなことをまっとうに報道するのは視聴率が取れないのでしょう。ゴールデンタイムと呼ばれる時間では難しいのでしょう。視聴率をあまり気にせず放送できる深夜になってしまうのでしょう。

 

 患者と医療者の認識の差は大きいものだと感じました。
 患者「とにかく治したい、何が効いたかはどうであれ治ればそれでいい」

  医師「安全に、確実にいい状態に持っていきたい。(治せないものであっても、人生の質を高めたい)何故効果があったかわかれば、もっと他の患者も助けられる。」

 患者は自分の今の状態に集中してしまっています。

まあ、だいたい人間は喉元過ぎたら忘れてしまっています。今の感情をその場に放り捨てながら生きています。今の感情を解決させることの繰り返しなんです。

 

 それを、落ち着いて将来のことまで考えてもらうように持っていくのが医療者の役目です。そうです、生きるための医療。

 

 お金をかけて治したはいいが、職や貯金がなくなったり挙句借金したのではその後の人生の質は低くなってしまう。→生き残った場合にもお金は要る!そして無念にも亡くなった場合も残された家族はお金が要る。シビアなんだけどこれが現実。

 

 自分が治ればいいと思っているが、効果が何故あったのかわかれば、他の人にも応用できる。その「他の人」の中には自分の家族、友人、そして将来の自分自身も含まれる。

 

 気持ちに寄り添うことも大事だが、効果があることが信頼の基礎となる。そのためには知識が必要。少なくとも、医療者は嘘は言ってはいけません。そして、患者さんは医療者が「わからないから調べる」と言ってもがっかりしないでください。嘘を言うまいとしています。

 

 がんの根拠のない治療に走った人は「そういうのに走って、命が縮まったもしれないが、そこのクリニックの人は皆優しかった。暖かかった。後悔はしていない」とおっしゃるネット記事を見た。個々人の患者にとっては「その場の気持ちを否定しないでほしい。受容してほしい」という気持ちが先なのでしょう。

  しかし、そうは行かないのが医療の残酷なところ。いや、残酷じゃないんですよ。一見残酷なように見えても、長い目で見て好きな様に生きるためにはここは我慢しなきゃいけない場面ってあるんですよ。ガンの治療はそういう場面が目立つのです。ここで治療を始めないと効果が出ないことがしばしばおこる疾患なのですよ。

  医療者にできるのは「少なくとも、その場の感情を否定せずに、事実とより良くする提案を伝える」ことぐらいしかないのかもしれないと思っています。

 そのためには、情報媒体の使い分けが必要です。

 ネットやテレビ:広く広報する。誰が見てるか把握できないので、誰にでも分かる表現で記す必要あり。

 直接医療従事者が相談を受ける型式:相談者に合わせることができるが、直接感情をぶつけられるので心身の負担が大きい。長い時間をかける必要が有るため、効率的ではない。診療などの業務にかける時間が削られる。

 多くの医療者が、患者さんとの面談に充てられるようになれば、インチキ医療に走る人も減るのではないかと考えますが、限界はあると思います。一時的に不安になって揺らいでいる方の場合は、その気持ちに配慮した言葉掛けして支援すればどっぷりはまらないで済む可能性があるけれども、しょっぱなから拒否していたら難しいでしょう。

 

がんのことで気になる方は3.の番組でも紹介されたこちらのサイトをご覧になってください!

(むしろここだけでいいです)

 

国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向け

http://ganjoho.jp/public/index.html

がんのことで直接相談できる窓口も紹介しています。

直接話しをしたい場合はこちらのサイトで調べて窓口にご連絡ください。

 

こちらに掲載されていない病院でも行われている場合があるので、大きな病院にある医療相談の窓口で相談する方法もありです。

例)大阪にある北野病院の場合

がん相談支援センター|北野病院

 東京にある三井記念病院の場合

www.mitsuihosp.or.jp

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