「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

NHKニュースウオッチ9のがん治療特集について

 「明らかに正しくないものと、効果があるといろいろな場所で証明されているものを同列に扱うべきではない」

 

 今回は、NHKに対してはこれに尽きます。どうしても持っている知識と技術の上で医師と患者は不均衡なのは仕方ないです。だからといって、メディア(特にNHK)にとってのお客さんである患者さんにの肩を100%もつ報道のあり方はいかがなものかと思います。最終的に患者さんが望むのは、今よりいい状態になることであり、その場その場の感情のまま動いて納得することではありません。そして、それがかなわないとされたところで、仲違いとか混乱などが起こって患者さんが死んでも死にきれない状況にならないようにするように持っていく手助けをメディアはするべきではないでしょうか。

 

 ただ、インチキ代替療法に走る人の感情がわかったのは良かったです。

 「納得行かない。納得して行った医療を受けて死ぬのならそれを受け入れる」

患者さんの言葉です。

 生前、夫に代替療法を受けさせて、夫をがんで亡くした妻は言います。

「夫はその治療に乗り気ではなかったが、私がやりたいと願った。今思えば、夫は自分のことを思いやって治療を受けたのだ。治療している時に夫と向き合えていなかった。」

 

 納得したい。

 

 

 その場の感情に沿って、生きたい。

 自分のしたいことをしたい。

 自分を受け入れてほしい。

 根本にあるのはそんな本能なのでしょうね。

 

 最後のキャスターの言葉には怒りを覚えました。

「医療を施す側は、患者さんの気持ちに寄り添ってほしい」

 

 その「気持ちに寄り添う」は「患者さんの言うことに従う」という意味に捉えられたんです。希望を与える言葉をかけてほしいというのなら、納得するまで話し合いたいというのなら、それができる環境(場所、時間、人員、お金、時間・心身の余裕)を与えてほしいと思うのです。

 インチキ代替療法の場合、患者さんが次々に来る状況ではありません。予約制だったりして、時間的に余裕があり、自由診療でお金もある状況で、責任を取ろうという意志があまりないから甘い言葉を話すことができる。

 そういうことを頭において、医療を受けてほしいです。

 

 標準治療に血が通っていないわけではないです。患者さんの状況によってどのように治療をアレンジしていくかについてもやり方が確立され、進化を続けています。

 カウンセリングの部分に費用と時間を割けるようになれば、がん治療に限らず、信頼性の低い自由診療を受けて悪化する患者さんはだいぶ減るのではないでしょうか。

 

 

 

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