「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

ノルレボスイッチOTC化に関する意見

 ノルレボ(緊急避妊薬)スイッチOTC化見送りについて

 結論から言えば OTC化賛成です。

ただし、包装を含めた販売システムの構築が必要です。

 

 望まない妊娠によるリスク

1.人工妊娠中絶

平成27年度衛生行政報告例の概況 母体保護関係

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka6.pdf

 年間176,388 件

年齢階層で言えば20-24歳が一番件数、実施率が高い。

(といっても、実際の件数では年齢階層35-39歳まで3万件)

→女性の心身の健康に影響

 

2.中絶できずに生まれてしまった子への影響

 最近では、子供が多い→性行為の強要というDVを疑われる事例もあるという認識が広がってきています。 DVであるなら、子供が育つ環境としてはよろしくないです。また、貧困の問題もあります。

 

 緊急避妊薬の市販化でこういったリスクが軽減される可能性があります。

 

 

ノルレボにたいする解説

miyaq.hatenablog.com

手前味噌です。

服用方法は難しくありません。

1回飲めば治療は終了です。そこから、次回生理まで待つことになるのですが、その間の安全を守る治療が存在します。そこは産婦人科で行われます。もしくは、精神的なショックがある場合もありますので、精神科との連携も必要な場合があります。また、事件性があるものもあるので、その場合は薬を飲んだら即警察に連れて行くことも有効です。

 それらの連携を図る上でも、薬品の包装に工夫をして、トレーサビリティを実施し、病院に行ったかチェックできるようにするのも手でしょう。販売時に個人情報を記録するのです。それぞれの包装に固有の番号を登録し、販売者がアフターフォローしやすい体制を作るのです。発売元から自動的にメールが届くようにしたり、販売者から服用後の効果についての連絡が来るようにしたり。ICTにより、こういう登録は難しくなくなっています。

 (この方法は、事前に購入して緊急時に他の人にあげた場合は追跡が難しくなります)

同時に妊娠検査薬を販売し、効果を確認するのもいいでしょう。

 もしくは、包装に治療方法を記載したり、薬剤師による説明時に起こり得ることとした文書を渡すなどしてはどうでしょうか。
 逆に、DVが疑われる事例の場合は行政との連携が必須です。

 

「72時間以内ならいつでも大丈夫だろう」という向きがあるのですが、早ければ速いほど効果があります。しかも効果は100%ではありません。市販を認めないのであれば、婦人科を24時間365日診察にしろという意見になるのも自然でしょう。

 

 過去の記事のコメントによると、

「避妊をしなくなる」という意見が多いんですよねえ。

1現行の避妊法は失敗しやすい

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3638209/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3638209/table/T1/

によると、

一般的な使用方法での避妊失敗多いですね(汗)

アメリカの事例とは言え。日本も大差ないと解釈した方はいいでしょう。

医師が入れるミレーナなどは効果が高いのですが、出産経験のある女性やもう出産予定のない方に適したものなので、若年層には使いにくいです。

 

2.避妊したがらない人は今でも避妊しない

そう、モラル関係なく避妊失敗する事例がままあるという認識のほうが自然ですね。あと、男性で避妊をしなくなるほどの人は今でも避妊したがらないでしょうし、犯罪の場合は女性の事情など考慮するはずがありません。

 

 となると、専門家によるカウンセリング及びトレーサビリティの上での解禁がベターではないかと考えます。現行のOTC販売のように、販売後何年か経ったら非専門家でも売れるようにしない枠を作るのが良いと考えます。

 あとは、値段を安くして、「売ってもあまり儲からない」ようにする。すると、ビジネスの入り込む隙は狭くなります。

 

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