「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

緑内障の点眼薬まとめ

 

 

ざっくりとした緑内障という病気の解説

目の中を循環する房水の流れが滞る

→眼球を押す圧が高くなる

→視神経を押す

→視神経の細胞がやられる

→見えづらくなる

 

 日本人の場合、ほとんどの緑内障は一気に見えなくなるもの(閉塞隅角緑内障)ではありません。徐々に視神経がやられて見えにくくなっていきます(開放隅角緑内障)。眼圧が正常なのに視神経が房水が詰まって起こる、眼球全体を押す力についていけなくなる(正常眼圧緑内障)人が多いです。(日本人の緑内障の7割が正常眼圧緑内障と言われています)

 見えにくくなって受診した場合、緑内障としてはかなり進んでいます。そこで、30代になったら一度は眼科を受診するのはどうでしょう。(40歳以上の28人に1人は緑内障とされています)

 この緑内障。効果があるとされているのは「眼圧を下げる」ことです。正常眼圧緑内障でも、なるべく眼圧を下げることが肝心です。

 緑内障の目薬にはどんな物があるでしょう。

1.単独の製剤

緑内障で使われる点眼薬の種類は一気に増えました。

その中には特定の病気の方には使えないものが結構あります。

 

★β遮断薬

 作用:房水産生抑制(とされる:まだ細かくはわからない)

 特定の疾患の方に使えない薬の代表格です。

 1.気管支喘息、又はその既往歴のある患者、気管支痙攣、重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者〔β-受容体遮断による気管支平滑筋収縮作用により、喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。〕

 

2.コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック (II、III度)、心原性ショックのある患者〔β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、これらの症状を増悪させるおそれがある。〕

(チモプトール点眼液添付文書より)

 

 どんな薬がある?

 成分:チモロールマレイン酸塩

    チモプトール点眼液(先発)

    後発医薬品は多々あります。

    1日1回の点眼で効果が出る製剤もあります。(チモプトールXE、リズモ

    ンTG)

 成分:カルテオロール塩酸塩

    ミケラン点眼液(先発) 後発もあり 飲み薬は高血圧や、頻脈の治療に使われます。

    1日1回の点眼で効果の出る製剤もあります。(ミケランLA)

 

 成分:ベタキソロール塩酸塩

    ベトプティック点眼液(先発) 後発もあり 飲み薬は高血圧や、頻脈の治療に使われます(商品名ケルロング)。

 こちらは、β遮断作用がβ1受容体に限定されているので、気管支喘息の方には使用できますが、喘息の状態が悪くなる可能性はあります(心臓に関しても、コントロール不良の心不全以外の方には有益性が危険性を上回る場合に使用できます。)

 

★α1遮断薬

 房水の排出促進をします。

 成分名:ブナゾシン塩酸塩

 デタントール点眼液(先発) 後発医薬品はなし 内服はあり(デタントール錠)

 他の緑内障点眼で十分な効果が得られない場合の使用を検討となっております。

 

★α2作動薬

房水の産生抑制、輩出促進療法を行います。

成分名:ブリモニジン酒石酸塩

アイファガン点眼液 後発医薬品はなし 

他の緑内障点眼で十分な効果が得られない場合の使用を検討となっております。

 

★αβ遮断薬

 α受容体もβ受容体も遮断します。よって、β遮断薬が使えない人には使えません。

 房水の排出促進(α遮断薬)と房水の産生抑制(β遮断薬)の作用を持ちます。

 

成分:ニプラジロール

  ハイパジールコーワ、ニプラノール 後発あり

  飲み薬もあります(ハイパジールコーワ錠)

 

成分:レボブノロール塩酸塩

   商品名:ミロル点眼液(先発) 後発もあり

 

★副交感神経刺激薬

 房水流出を促進します。

 成分名:ピロカルピン塩酸塩

 商品名:サンピロ

縮瞳するので、暗いところに行く場合は見えにくくなりますし、網膜剥離の恐れもあります。

★交感神経遮断薬

 房水流出を促進します。

 成分名:ジピベフリン塩酸塩

 商品名:ピバレフリン

 閉塞隅角緑内障の方には使えません。(開放隅角緑内障と診断された後に使用)

 

抗コリンエステラーゼ薬

 成分名:ジスチグミン臭化物

 商品名:ウブレチド 後発品あり、内服あり。

 

★炭酸脱水酵素阻害薬

 β遮断薬とは異なるしくみで房水の産生を防ぎます。

 こちらは、成分が腎臓で排泄されるため、重い腎障害の方には使えません。

 成分名:ブリンゾラミド

 商品名:エイゾプト 後発品発売予定

 成分名:ドルゾラミド塩酸塩
 商品名:トルソプト

こちらも、他の点眼薬で効果が不十分な場合に使用とあります。

 

★プロスタグランジン誘導体

 房水排出を促進します。

 別にかかっている病気に関係なく使用できるのが長所です。

 

 成分名:イソプロピルウノプロストン

 商品名:レスキュラ(後発品あり)

 成分名:ラタノプロスト

 商品名:キサラタン(後発品あり)

 成分名:トラボプロスト

 商品名:トラバタンズ(後発品発売予定)

 成分名:タフルプロスト

 商品名:タプロス(後発品なし)

 成分名:ビマトプロスト

 商品名:ルミガン(後発品なし)

 

 かかっている疾患に関係なく使えるのが特徴で、効果も高いのですが、

 使用当初はほぼ確実にしみる 充血する 点眼後はまぶたを拭かないとまぶたに黒いシミがつく など、夜お風呂にはいる前に使うことを推奨される薬です。

 「まつげが伸びる」と美容目的で使用しようとしていた人もいるぐらいです。(ビマトプロストのマスカラ状製剤であるグラッシュビスタ(保険は効きません)はまつげを増やす、延ばすべく美容目的で使うところもありますが、本来は、病気などでまつげが少なくて目が乾く人向けのものです)

 

★ROCK阻害薬

  房水流出を促進する

 成分名:リパスジル塩酸塩水和物

 商品名:グラナテック(後発品なし)

 β遮断薬、プロスタグランジン製剤を使用して効果が十分でなかった場合の使用  

 

 

2.配合剤

2種類の点眼薬を配合したものもたくさんあります。

メリットは、「さす回数を減らせて、さし忘れが少なくなる」「添加物を使用する量が少なくなる」です。

配合剤をまとめたもの

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 pdf化したものを用意しました。

緑内障点眼剤まとめ201805.pdf - Google ドライブ

 

 

 

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