「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

【参加報告】第2回 全国在宅医療医歯薬連合会全国大会

 こんばんは。

 先日、国立京都国際会館で開催された第2回 全国在宅医療医歯薬連合会全国大会の参加報告をします。

 この大会は

 在宅療養に関連する3つの団体(全国在宅療養支援診療所連絡会、 全国在宅療養支援歯科診療所連絡会 、全国薬剤師・在宅療養支援連絡会)の学術大会をまとめて行い、連合会としてのシンポジウムを組み合わせたものです。 

 

「リハと栄養の効果を最大限にする処方の最適化」(薬科プログラム)

リハビリ、栄養についての知識や、それらの職種が薬剤師に対してどんなことを期待しているのか、自分たちの職種がどんなものか、現状での問題点を描くシンポジストが紹介していました。

 ここで出てきたのがICF(国際障害機能分類 International Classification of Functioning, Disability and Health)

「国際生活機能分類−国際障害分類改訂版−」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について

 ICF(国際生活機能分類)
-「生きることの全体像」についての「共通言語」- 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf

 ここには、生活機能の3レベル(「心身機能・構造」:心身の働き、「活動」:生活行為、「参加」:家庭・社会への関与・役割)が存在します。

 障害があっても、家族に働きかけることができれば「参加」はできています。

今後、在宅療養支援チームの共通言語として取り入れる概念になるでしょう。

 運動に影響を与える薬がどんなものか、どのように工夫すれば薬の影響を最低限にできるか(処方の工夫やリハビリの工夫)→理学療法士との連携

 具体的な食事指導(その人にあったレシピを作る)、食事と薬剤の影響、嚥下機能に影響を与える薬の情報提供 →栄養士との連携

に繋がりそうです。

 

「今後の在宅医療とICT」(連合会のプログラム)

多職種が連携する場合、一同に介して話し合うのは難しいです。それぞれ別の利用者と契約して、それぞれの利用者の時間に合わせて活動しています。そこを効率化させるのがICTです。グループウェアの利用がなされていますが、求める情報に応じてセキュリティの度合いを変える必要があります。また、現行の医療・介護用のグループウェアは医師主導で進んでいるものが多いです。医師の承認がないと患者グループに入れません。また、患者や家族も入れる、手軽に利用できるものに関してはセキュリティの関係上流せる情報が変わってきます。

 ここでも発言が多いのは看護師です。患者や家族の気持ちを代弁したり、生活の様子を報告します。ただ、ここで報告されたことが患者の真意なのかどうかは推し量っていかないといけないのではないでしょうか。患者の気持ちを聞くのはチーム内の誰でもいいです。相性がいい人のほうがうまくいくかもしれません。

 

「シームレスな多職種連携」

 他職種連携の対象は多岐にわたります。医療、介護関係者だけでなく、民生委員、教員、葬儀社、宗教者、近所の人とさまざまです。

 「薬の管理」については、患者本人が思っている薬の管理と他の職種が思う薬の管理、薬剤師が思う薬の管理は別のものではないかと感じました。そもそも、薬剤師が思う薬の管理ってなんなのか、自分の中で定義する必要があります。

 在宅療養当初は薬剤師が介入しないけれど(まだ家族や自分で管理できることもままある)認知機能の低下や体の機能低下で薬剤師介入となる事例が多いそうです。訪問看護や医師から薬剤師を紹介するとスムーズに介入できます。まずは訪問医療そのものの意義を伝えて、それに関わる人との信頼関係を作ってからになります。

 地域連携の前に薬薬連携が必要という発表もありました。入院で一旦薬の情報が途切れます。注射薬含め、どんな薬を使ったのか、どのような調剤方法(一包化、印字)で薬を渡しているのか。お薬手帳を持参しないで入院すると、入院するまでにどこの薬局で薬をもらっていたのかがわからず、退院時カンファレンスに薬局が呼ばれないこともあります。

 

 

「ランチョンセミナー3 地域包括ケアシステムの一翼を担う在宅訪問栄養士の役割
- 食文化から低栄養・脱水までを含めた栄養支援 -」

 エンシュアHやラコールといった栄養剤に食品を混ぜて実際に飲んでみた話はっよかったです。問題は、1:1で混ぜると実際の量では400-500mlになって一度には摂れないということ。

 栄養士の存在は非常に地味です。どんな仕事をするのかも理解されていません。献立だけでなく、調理方法の提案もします。

 その人個人にあった調理方法を提案し、レシピも作ります。様々な理由で食事に制限がある場合でも、より適した栄養にすることができます。

 

 

 

 「 医療制度の中の薬局の未来を考える」

 厚生労働省の方が参加されていたのですが、もともと感じていた違和感が言語化されてスッキリしました。

 いろいろ感じた疑問は「世間の人たちが考える医療従事者像」とはかけ離れた内容なので話せる場所で話したいと思います。

 

 端的に言えば

・医療従事者は聖人君子でないといけない、自分の生活という概念はどこにもない

・患者さんのために尽くさないといけない

・頭のいい人ほどきれいごとだけで話をしている

です。グレーの思考の部分がほとんどの自分としては医療従事者の発言に対して「何言ってるんだろうか」と思ってしまいました(汗)

 「24時間体制を敷いてほしい」と願っているけれども「何も同じ人が長時間労働してほしいとは言っていない」24時間体制にするには、同じ人が長時間労働になるのは自然の流れではないでしょうか。税金からお金をかけずに働きながら医療を受けられる体制を作って欲しい場合、休みを自由にとって治療ができる世界を目指すべきです。仕事が終わった後や休みの日に受診できるようにすると、一日あたりの診療時間が長くなります。早出と遅出を両方準備する必要があるので、人件費がかかります。1日あたりの営業時間が長い場合は、週40時間労働にするためにはどうしてもシフトの工夫が必要です。(これが人を雇うということです)

 

 グループワークでは在宅療養でありがちな状況を、どのようにして薬剤師が解決に寄与するのかについて話しました。我々のグループでは「理想」を話しました。

 よくあるのは「施設に入居すると医療従事者がみてくれるので家族は安心して自分の暮らしを送れます」という謳い文句で、その施設の入居者全員が今までのかかりつけ医・薬剤師と離れてその施設専属の医療機関・薬局での説明を受ける例。

 医療で気になることがあったとき、入居者ごとに別の連絡先にかけるのは大変なので、全員同じところで契約をするのです。 

 本来は、入居前にかかっていたところが訪問して対応をする、入居した施設が遠方で無理な場合はかかりつけから情報を得て関わるのが筋です。

 そういう方々へ、よりよい在宅療養を提供するには処方の適正化がベターです。医療者との人間関係を良くするには、この人を信頼すれば体にいい影響があるという認識をもたせることです。そのために何ができるか。

 

 医療・介護チームがひとつの大きな目標に向かって、それぞれの知恵と技能を用いて連携し合うのがチーム医療・介護ではないでしょうか。

 

 無理やり終わらせた感じのあるこのまとめ、ご覧下さりありがとうございました。

 

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