「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

喫煙対策は地道にかつ楽しく(正論でボコボコに叩くのは遠回りでしかない)

 受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が7月18日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。

 

 この法律では

・学校や病院、行政機関は敷地全体を禁煙

 (屋外に喫煙所を設置することはできる)

 (保育園から高校までは敷地外の喫煙場所の設置を認めない)

 

・事業所や飲食店など

 原則禁煙だが、喫煙専用室の設置は可能(国の定める基準を満たす必要あり)

 100平方メートル未満(概ね33坪、大体10m四方、約54畳)の既存の飲食店では喫煙可能

 新規店では面積に関係なく原則禁煙

 喫煙専用室には20歳未満は入れない

 加熱式タバコ専用室を作れば、加熱式タバコのみ喫煙可。

 

2020年4月より完全実施

 

 だいたい、店舗の入れ替わりは3年ぐらいで起こる。

 小規模の飲食店は禁煙になる。

 →飲食店の前の屋外での喫煙が増えそう

 →火の不始末による火事にも気をつけたい

 

 

 医療従事者や嫌煙家の中には「タバコそのものをなくせ」といった、強硬な意見があります。しかし、個人的にはこれだけ進めば自宅や野外以外での喫煙は相当減ると考えます。喫煙する人が「趣味を奪われた」「人格を否定された」と認識した時点で、正論であっても攻撃しているのです。戦いは悪が起こしているのではなく、正義と正義がお互い自分が正しいと信じて起こるものです。そうなると、お互い足の引っ張り合いになります。喫煙という事柄から、人格思想信条すべてを否定し合う戦うのって生産性がありません。はっきり言ってアホちゃうかと。

 

 目的は、受動喫煙による被害を減らすことです。

 喫煙者本人の、喫煙による健康被害を減らすことは次の段階と考えます。

(ほんまは、子供のためには親が自宅でタバコを吸わないのが一番ええんですけど)

 まずは、第1段階を徐々にクリアしていくことが肝心ではないでしょうか。文化が入れ替わるのにかかる時間は20年ぐらいはあるでしょう。(例えば、他人を卑下するような笑いを受け入れないという主張が主流になるのにどれだけ時間がかかったでしょうか?)

 現在の喫煙率(平成26年)は

最新たばこ情報|統計情報|成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)

 20-29歳 男性 36.7% 女性 11.8%

 30-39歳 男性 44.3% 女性 14.2%

 40-49歳 男性 44.2% 女性 12.8%

 50-59歳 男性 36.5% 女性 12.2%

 60-69歳 男性 32.5% 女性 6.3%

 70歳以上 男性 15.2% 女性 2.5%

 

これが20年前(平成6年)だと

 20-29歳 男性 45.1% 女性 12.7%

 30-39歳 男性 51.2% 女性 11.0%

 40-49歳 男性 46.4% 女性 9.9%

 50-59歳 男性 47.4% 女性 8.6%

 60-69歳 男性 40.8% 女性 5.6%

 70歳以上 男性 34.3% 女性 6.3%

20年前に20-29歳だった男性は20年後も変わらず吸っている傾向がありますが、

30-49歳だった人は20年間でタバコをやめた人が多いようです。(それ以上の年代の男性も喫煙者が減っている)現在は20代で喫煙し始める人が20年前より2割ぐらい少ない印象です。(もともとの参入数が少ない)

 20年後にはさらにたばこを吸う人が減るのではないでしょうか。

 

 喫煙が元で起こる疾患は多岐にわたります。閉塞性肺疾患が進行すると、息を吸うのもしんどいので、日常生活すべてに制限がかかります。人生最後の10-20年、階段を登るのもしんどい、歩行もしんどい、結果として引きこもりになり運動不足になるので体力が落ちる。また、他の疾患の手術でも体力がないため、手術後の状態もあまりよろしくありません。

 

 こういったこと起こり得ることをあまり知らされていないのでしょう。また、「節制して長生きしても年金あまりもらえないから長生きしたって意味がない」と思っているのでしょうか。年金が入るより前の年齢から息苦しくなるのです。同世代の仲間が短時間働きながら趣味を楽しむ人生を送っているのに自分は息苦しくて何もできない。どうですかこの真綿にくるまれて生きる人生の後半、正直言ってすごくきついですよ。

 

 「誰にも迷惑をかけない!」といって喫煙をし続けて、最後は迷惑のかけ通しですからね。(まあ、ここまで徹底して喫煙するクラスの人は、「他人に迷惑をかけている」という発想には至らないタイプの人が多い印象です。実は、反省しているのかもしれないのですが、それを口に出すと、今まで喫煙を咎められてきた人に一斉攻撃を受けるので言えないだけというのもあるのではないでしょうか)

 

 もっと日常生活に即した喫煙の害を知らせたり、タバコの値段を高くする、タバコに代わる娯楽(ただし、依存性がないもの)を提供するなどして喫煙者を徐々に減らしていくのも受動喫煙をへらす手段と考えます。個人的には楽しく禁煙してもらうのが最も確実ですので一番最後の方法が良いと考えます。

 

 「タバコ吸わないからなくてもいい!だからタバコ禁止!」って発想で禁煙にすると、

「酒飲まないからなくてもいい!だから酒禁止!」「お菓子興味ないからお菓子禁止!」になると、最終的には「生きるの意味ない」になってしまうので、

 ここは、タバコ以上の娯楽(簡単にできて、依存性がない)が生まれることを望みます。 

   

 

 

 

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