「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

【薬剤耐性(AMR)対策推進月間】抗菌剤の適正使用は、抗菌剤の寿命を伸ばし、人々の健康を守る

 毎年11月は、薬剤耐性対策推進月間です。

 

 と言ってしまうと、一般の人は「自分は何もできない」と思いがちです。

 

 しかし、一般の人も巻き込んで協力していく必要がありますし、自分たちにもできることがあります。

 

 当ブログは「論文を紹介して学術的にアプローチ」するなど、アカデミックなところとは少し違う方向性でやっております。一般の人が難解に思いがちな医療の敷居を少しでも低くできればいいと思ってやっております。

 

 今回の「薬剤耐性対策推進月間」の記事では、世界的な動向と現状、そして自分たちは何ができるかについて紹介します。

 

www.gov-online.go.jp

抗菌剤の現状と一般国民ができることについて、当ブログを見なくても正確に書かれているんじゃないかと思われるこちらの政府広報オンライン。

 

1.薬剤耐性が起こるとなぜまずいのか?

 病原菌も自分が生き残ろうと必死です。そのためには敵である抗菌剤に勝てるよう自らを進化させます。(病原菌は分裂するなど、進化のスピードは速いです)その結果、薬剤耐性が生まれます。

 それに比べ、薬の開発スピードは遅いです。感染症になったけど、効く薬がないのではつらいですね。健康な人であれば自分の体力でなんとかなる感染症であっても、何らかの病気だったり、子供だったり、高齢者だったりで病気に打ち勝つ力が弱い人の場合は命に関わってくることがあります。

 

2.サミットでも議題になったが、薬剤耐性菌ってそんなに問題なの?

 ええ、問題です。

 世界の国々はつながっていますよね。

 川や海の水、空気が一箇所にとどまっていることはありませんよね。

 人々の行き来は広範囲ですよね。

 そして、人間だけに限りません。

  

amr.ncgm.go.jp

  

 薬剤耐性菌を出さないためには、抗菌剤の人に対する影響だけでなく、動物や環境に対する影響も考慮しないといけません。人と動物で共通して感染する感染症は耐性が生まれやすいです。(いろいろな環境で耐えられるように進化していくため)

 例えば、鳥インフルエンザ。鳥が自発的に感染対策をすることは考えにくいです。人の手による感染対策が必要です。これが、人間に感染するようになったら、大流行となって多くの人の命を危険に晒すと言われています。鳥インフルエンザが発生した鶏舎では殺処分が行われ、肉や卵の出荷が制限されます。生産農家は大打撃です。しかし、感染が拡大してしまうと止めようがありません。(渡り鳥からの感染は防ぎようがありません)

 人間に対する感染症でも、渡航の制限が行われます。外国からの行き来が制限されるというだけでなく、感染症の対策をしっかり行えない国という認識付がされます。

 

 

 海外から帰ってきてすぐに体調を崩した場合、何らかの感染症を持ち込んでいる可能性があります。それを疑う場合は、いきなり医療機関に行くのは避けましょう。

 海外に行く前には、対象となる国ではやっている感染症に対する対策をしましょう。特に、発展途上国など十分な衛生対策が行われていない場所に行く場合は、前もって予防接種を受ける必要があります。

 

海外へ行く際に確認する感染症情報

www.forth.go.jp

www.forth.go.jp

 

帰ってきてから体調が悪くなったときに見るサイト

www.forth.go.jp

 

 それぞれの国が、感染症対策をしっかり行い、薬剤耐性菌をなるべく狭い範囲で封じ込めることが、世界的な流行を防ぐ有効な手段です。病院の中でだけ感染症がある状態だと封じ込めやすいのですが、一般の地域で、もともと存在する菌やウイルス薬剤耐性を持ち合わせると、人の移動とともに拡散されるので封じ込めは困難となります。知らぬ間に感染症拡大がされてしまいます。

 

 また、家畜に抗菌剤が使われることがあります。本来の感染症から守るだけでなく、発育促進に使われます。食肉や卵からの検出がなされないよう、出荷前のある一定の期間は抗菌剤の投与は禁止されています。

家畜に使用する抗菌性物質について:農林水産省

 日本での取り組みはこちらにあります。厚生労働省だけでなく、他の省庁との連携が必須です。

 

3.では、一般の国民ができることは?

 医療関係者でも畜産関係者でもない、一般の人ができることを挙げます。

 1.処方された抗菌剤は飲み切る。勝手にやめない。

 体調が悪くなった場合は処方した医療機関などにかかり、指示を仰ぐ。

 2.海外渡航前、渡航後は感染症に関する知識を得て、必要な対策を取る。

 予防接種を受けたり、場合によっては渡航をやめることも大事です。

 3.感染症に対する知識を得て、清潔な環境を守る対策を取る。

 

amr.ncgm.go.jp

 まずは上記サイトをご覧ください。あとは、手洗いやうがいの励行、必要な予防接種も大事です。

 

 

 

 

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