本日の記事は主に薬剤師向けです。
よく、治療で「ガイドライン」と言われます。
それってなんでしょう?
ガイドラインとは:[国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者の方へ]
こちらは医療従事者向けのサイトですが、こちらを噛み砕いて説明したいと思います。
ガイドラインの定義
「エビデンスのシステマティックレビューと複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて、患者ケアを最適化するための推奨を含む文書」(米国医学研究所:Institute of Medicine 2011)
「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量し、最善の患者アウトカムを目指した推奨を提示することで、患者と医療者の意思決定を支援する文書」(Minds 2016)
つまり、患者さんの治療を最適なものにするために 治療方法についてきっちり評価を行って、医療者側が根拠をもって治療方法を提案できるようにまとめた文書です。治療方法が1つとも限りません。
しかもガイドラインは「やらなければいけない」ものではなく、「おすすめします」という運用方法です。「裏付けがある治療法なので、やってみませんか」というものです。治療方法を決めるのは患者と医療者の総意であるという表現にもなっています。
診断方法、治療方法に裏付けがある治療を提案しています。
「確実に診断する道筋」
→「患者の疾患、状況(年齢、体質、他の疾患など)に合わせた治療を行う」
の流れです。(勿論、治療しながら診断することもあります)
ガイドラインには以下の効果があります。
1.ひろく良質な治療が行われる。
ガイドラインがあれば、良い治療に早く簡単にたどり着ける可能性が高くなる。
2.治療法の共通化がなされる。
治療の道筋がわかりやすくなるので、患者さんが「今どんなことをされているんだろう」という不安が解消されやすくなります。他の医療者、専門以外の医師、患者家族、介護者にも共有されることで患者さんがどういう状態か把握しやすくなりますし、治療に対する疑問を自分で、もしくは他の医療者で解決しやすくなります。
ガイドラインの中には「患者向け」のものがあります。それを読むことで、自分が今何をしているのかわかる安心感があります。
ガイドラインは日々進化する。
「治療の最適化」がなされるより良い(確実、手技が簡単、患者の負担が少ない)方法が開発されていきます。その治療法が広い範囲で適応されていけばガイドラインに掲載されていきます。
ガイドラインは強制ではない
現場において医療者と患者が参考にしながら診療方針を考えていくもの、いわば診療の「出発点」であって「到達点」ではないことに注意が必要である。そもそも言葉の定義として、「ガイドライン」とは対象となる患者の60~95%に当てはまることがらを示すものであるという意見もある。
解決方法の道筋がわかりやすくなるものである、とこのサイトでは何度も書いています。
ガイドラインにはたくさんの根拠となる文献がある。
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版 日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf
ガイドラインの立ち位置についても書いています。
ガイドラインを作るのには非常に多くの裏付け、裏付けを作るための臨床研究が存在します。いろいろな場所で行われた研究をまとめて、多くの人の治療に当てはまるようにして、より多くの患者がよりよい治療を受けられるようにしたものです。
一つ一つの論文を読む時間がなくても、ガイドラインがあるものを読めば、患者さんの不安に応えられるのではないでしょうか。
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