服薬指導はいらない、AIでもできるという人がいます。
医師の診察でもちょっと喋っただけで終わってしまうあれが診察かという人がいます。
診察室に入ってきてからの一挙手一投足ですでに診断が済んでしまっている(その技術を身に着けているのが医師)ではないでしょうか。
なんでも「AIでできる」という人は、「人にとやかく言われたくない」「好きな人とだけ接したい」「自分は常に正しい選択をする」という感じではないでしょうか。
それで、情報提供だけをしてもらって、その中から自分にあった情報を自分の都合のいいように解釈する。
医療というのはそういうものではありません。患者自身が気づかない変化を判断材料としている部分が多分にあります。患者の目先の気持ちだけを叶えていては、本質(治癒や緩和)につながらないのです。
というわけで、服薬指導不要論に対しての考えを述べます。
吐き気止めの薬が「毎食前」という記載になっています。これはレセプト上の記載でこういうことになっているだけであって、実際には食事が摂れないぐらい吐き気がする人もいます。
そこを医師に疑義照会するのは現実的ではありません。症状の程度を聞いて服用間隔を説明するのが薬剤師の腕の見せ所です。
なお、食べられるけど食べたら吐き気がする場合は「毎食前(30分ぐらい前)」という説明になります。食べられない場合は「1日3回は○時間開ける(薬によって異なる)」という説明になります。
医師が治療全体の方針を示し、方針の範囲内で詳細な運用を他の医療職が行います。治療方針が変わるほどの状態変化であれば医師のもとの向かうよう患者に促す。
もしくは、生活習慣や処方箋受付時点に合わせた運用も行います。
「そんな細かい調整をするのは面倒だ、適当にのんでも効く薬がほしい」
その役割を担っているのが体内の色々な仕組みで、その機能が低下したりバランスが崩れるのが病気です。あいにく、人間が開発する薬はそこまで進化していません。よって専門家による微調整が必要です。
その上、薬は効き目を優先して開発されているものも多く、使い方が難しいものも多いです。その使い方を提案するのも薬剤師の仕事です(そこまで医師が行っていたら、患者さんをさばき切ることができません)
まだまだ医療は人間のかただの機能ほど進化していません。薬を決まった時間に飲んだり使うという不便な作業を続けてようやく人の機能の補助をしているに過ぎません。
その不便さをより楽にするのが服薬指導です。その人の生活や機能に合わせて支援していきます。説明書にある使用方法を実践しやすくしたり、実践できているか患者に合わせて行うのが薬剤師の役割です。
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