「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ(18)「調剤補助事務員採用の落とし穴」

 今回は、薬局新聞8月14日発行号掲載の記事です。

 

「薬剤師以外のものが行うことができる調剤に関する業務」の通知を見て、いろいろな意見を見聞きしました。

「薬剤師が対人業務に時間をかけられる」

「薬剤師の業務が奪われる」

「能力のない薬剤師を解雇できる」

 そもそも、大きな見落としをしているのではないかと感じています。

 

 昨今の人手不足。20代はもちろん、30代まで採用されやすい状況です。派遣・短期雇用の業務の時給が上がっています。能力があって、あまり長い時間働くことに制約のある人は数年前とは比べ物にならない時給で職にありつくことができるようになってきています。当地(大阪)では、パート・社員を募集する掲示を貼っている事業所が多くなっています。その時給は最低時給よりやや高いぐらいですが、上昇傾向です。調剤補助事務員採用のライバルは多くあるのです。

 医薬品という命がかかった製品を扱い、時には接客も行う。非正規雇用の社員が負う責任としては決して軽いものではありません。それを、他の業種と変わらない程度の時給で雇えると考えているのでしょうか?

 医薬品を扱わない接客業でも人が集まらず店舗の運営が難しくなっている現状で、ミスをしない人材を集めようと思ったら、「どんな事情でもすぐに休める」「有給消化100%」「非正規雇用でも産休・育休が取れる」「円滑な人間関係」といった給与以外の特典を準備しないといけないのではないでしょうか。

 調剤補助事務員が集まらず、薬剤師の業務量が減らず、結局薬剤師は何もできないということになってはますます薬剤師の職能は削られるのではないでしょうか。調剤補助事務員が家庭の事情で休むので彼らの業務を補助する薬剤師も出現しそうですね。

 

ここまでが掲載記事ですが、補足としては

「むしろ機械を入れたほうがいいんじゃないか」

と思います。機械化できる作業はどんどん機械化し、機械が得意とする記録をやってもらいましょう。在庫管理も機械が行い、イレギュラーに大量に処方される人の分も計算できるプログラムが入ればかなり在庫管理も楽になるでしょうねえ。

 ちょっと意地悪なことを考えると、安くて優秀な人材を入れるために、妊娠出産で一旦退職に持ち込み、再度雇う時はパートで安い時給で働かせる企業が横行しそうですねえ。ずっと雇用しておきたい特別優秀な女性以外は辞めてもらって、ある程度年齢がいってなかなか正社員で雇えないのをいいことに、パートで働かせるところが結構出そうです。(少子高齢化が進みますから、若い人がどんどん減っていくのでその手はいつまで続くのか疑問は残りそうですが、産休育休の制度を拡充させずに非正規雇用にしようとする企業はどの業界でもあると考えます。ただし、この場合はむしろ特別な技能を使おうと考えなければ色々な職につける分、他の業種との労働力の取り合いになりそうですね。)

 

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