12/8(日曜日)こちらのイベントに参加しました。
「インターネットの医療情報は信じていいの?皮膚の病気編:アトピー性皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症」
skin-health-literacy.peatix.com
場所はメルパルク京都。JR京都駅直結で、関東や九州からでも参加しやすい場所です。
今回は、皮膚疾患のうちのアトピー性皮膚炎。乾癬、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)といった、慢性疾患がテーマです。
プログラムは以下のとおりです。
◆プログラム
<①特別講演 ②トークセッション>
第1部 13:00~14:15 特別講演
けいゆう先生『インターネットでの医療情報はいまどうなっているのか?』
ほむほむ先生『アトピー性皮膚炎 インターネットの情報と現実の違い』
おーつか先生『乾癬、掌蹠膿疱症 インターネットの情報と現実の違い』
第2部 14:15~15:00 「インターネットの医療情報」トークセッション
けいゆう先生×ほむほむ先生×おーつか先生×朽木記者
◆講演の内容
けいゆう先生
現在のインターネットでの医療情報提供についてのお話。
WELQ事件をきっかけにインターネットのプラットフォームに変化が生じた
Google 1つの疾患の単語で検索した場合は公的機関のサイトが上位に来るように
なった。
結果、根拠のない医療を提供する医療機関や民間療法、健康食品のサイトが
検索上位に出てこないことにより、これらの業者の倒産が起こった
ただし、「がん 治療法」などといった複数の単語での検索はまだ根拠の
ないものが上位に検索される。
Twitter 「死にたい」といった単語で検索すると「いのちの電話」を紹介される。
(ワクチンや予防接種でも同様の公共機関への誘導がなされる)
note 「ネットで検索するよりかかりつけの医療機関へ」という文言が紹介される
しかし、動画配信サイトYou Tubeではまだ対策が取られていない。動画配信サイトで医療情報を得る人が増えている。最近の若い人はテレビを見ず、動画配信サイトで情報を得る傾向にある。
根拠のない医療を提供する側も、手を変え品を変えを行ってくるので、情報を受け取る側のリテラシー向上も必要です。そのためにはかかりつけの医療機関を持つことが大事です。わからない場合はかかりつけの医師に相談を。
<妥当な医療情報の例>
極論で語っていない(これだけやれば大丈夫、といったもの)
断定的な言い回しをしていない
複数の医療者が関与している
ほむほむ先生『アトピー性皮膚炎 インターネットの情報と現実の違い』
日本薬剤師会学術大会ランチョンセミナーの講演と類似した内容です。
Amazonで「アトピー性皮膚炎」と検索して、読んで妥当と思える書籍は10冊中3冊程度。ほとんどない。
小児のアトピー性皮膚炎は70%は10歳までに治る。
→それ以降の年齢ではどうなるの?という不安がありますよね?
→それ以降の年齢での治癒率の調査を行った。1%/年で治る。
最近の研究では、アトピー性皮膚炎に対して、早期の治療が完治につながるというものがあった。また、アトピー性皮膚炎の治療がうまく行かないと、その他アレルギー性疾患の発症にもつながる。
アトピー性皮膚炎の治療に必要なのは「肌の保湿」と「湿疹の治療」。
ステロイドといえば抵抗を受ける患者も多いが、内服と外用では全く違う薬と考えてよい。(もとより含量が少ないし、吸収が局部に限定させるように工夫されたものが多い)
ステロウド外用剤のランク分け
以前は
「strongest」「very strong」「strong」「medium」「weak」だったが、誤解と不安を招くということで「I~V群’(強い順)」と呼ばれるようになった。
ステロイド外用薬の薬効の強さは、どのように分類されているの? │ 皮膚Q&A一覧 │ ひふ研 「ひふ症状、ひふ薬の使い方の疑問に答える情報サイト」 │ 第一三共ヘルスケア
塗布部位によって吸収率は異なる。
ステロイドって強いお薬と聞いたけど、使っても大丈夫? │ 皮膚Q&A一覧 │ ひふ研 「ひふ症状、ひふ薬の使い方の疑問に答える情報サイト」 │ 第一三共ヘルスケア
プロアクティブ療法について
ステロイド外用剤を毎日塗ると皮膚が薄くなる可能性→ステロイドを集中的に塗って湿疹を改善させ、段階的にプロアクティブ療法→保湿剤のみに切り替える(医師診察必要、どの段階でも保湿は必須) #SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
おーつか先生『乾癬、掌蹠膿疱症 インターネットの情報と現実の違い』
ネットで販売されている「天然成分配合の奇跡のクリーム」
→実際にはステロイド(I群)が含まれれいた。
こういった健康被害は多い。
アトピー性皮膚炎の患者の持つ不安を煽ったビジネスがイタチごっこのように起こっている。
NHKの某番組「〇〇を食べれば良くなる」といった番組制作をしないようになっている。根拠のない医療情報を流さないようになってきている。
エビデンスを測る基準:あるかないかではなく、レベルが高いは低いか。
テレビで放送されていた、SNSで言っていたはエビデンスレベルに入らない。
(専門家一人の意見もエビデンスレベルとしては低い)
相関関係と因果関係は違う
相関関係 Aという事象が起こっているところでBという事象が起こっていることが多い(原因は不明)
寒くて乾燥している地域ではインフルエンザの患者が多い。世界中で同様の現象が起こっている。
因果関係 Aという事象が起こるからBという事象が起こる(原因がわかっている)
例)インフルエンザウイルスに感染したのでインフルエンザを発症した。
掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症の患者さんに役立つ様々な情報をご紹介|掌蹠膿疱症ネット
掌蹠膿疱症と乾癬は似ている疾患ですが、見分けが付きづらいので皮膚科で診てもらいましょう。
→患者の8割が喫煙者(女性に限れば9割)これは相関関係である。
→歯周病との関連もある(歯周病を治療すれば掌蹠膿疱症が改善する事例もある)
乾癬も掌蹠膿疱症も感染しません!
治療の際、最初はエビデンスレベルの高い治療法から始める
それでよくならなかった場合に少しずつエビデンスレベルの低い治療法にすすめる
(根拠がまったくないものは行わない:その道筋を立てられるのが専門の医師)
専門家はエビデンスレベルの高い低いを見極めることができる。
「インターネットの医療情報」トークセッション
けいゆう先生×ほむほむ先生×おーつか先生×朽木記者
けいゆう先生「個人の治療に体験を手書きツイートしたものが拡散されてしまっている。善意で行っているのだが、それがツイートを見た人に当てはまるのかどうかは不明」#SNS医療のカタチ pic.twitter.com/DQvbiSm2oD
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
ほむほむ先生「患者さんに説明するときは、『私はこう考えてます』と自分の立場を表明するようにしている。正しいというのは難しい」 #SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
ほむほむ先生「まずは、近くの先生に相談するのが一番」#SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
おーつか先生「間違った情報に比べ、その記事をファクトチェックした記事の拡散力は小さい」#SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
ほむほむ先生「最初はTwitterはヤバイものだと思っていた」 #SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
おーつか先生「ぼくらみたいな普通の医師がネットで発信することが大事。今、ネット上の医療情報発信は正念場』 #SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
けいゆう先生「診察室にくる前にネットで検索して病院にいかない結論(根拠のない医療をえらんだり、なにもしなかったり)を出す人がいる。そういう人に向けての対策が必要」#SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
信頼できるサイト
信頼できる学会の例
日本医学会の分科会に入っている学会
会場からの質問に ほむほむ先生「患者が利用しているサプリや民間療法を知らない方が不安。そういうものを患者が持ってきてくれたら嬉しい。そのなかで、患者自身と相性のいいもの、悪くないものは続けてよい」 #SNS医療のカタチ
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
近年は急性疾患から慢性疾患へシフト。病気は完全に治すものから、治らないけど共に生きていく(寿命を迎える)時代へ。
ほむほむ先生「小児のアトピー性皮膚炎の治療の目標はステロイドを使わないのではなく、健やかに成長すること」
ほむほむ先生「医師を吟味する際、話を聞いてくれることを基準に。保険診療の医師が忙しい」#SNS医療のカタチ 悪意のある根拠のない医療の高価な医療は話は聞いてくれるからなあ。
— みやQ(徒歩ゲーマー) (@miyaq55) December 8, 2019
内容充実した会でした。また近くで開催されれば参加したいです!
もっと根拠のある医療情報を一般向けに伝える医療従事者が増えてほしい(業務が忙しいけど)
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