「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ夏季スペシャル企画「薬剤師の共感読んだ”あるある感動作”「#100日後に辞める薬剤師」の作者を直撃」

今回の「薬剤師フィールドリサーチ」は、2022年のお正月にTwitter上で始まり、大奥の薬剤師の共感を呼びつつ先日感動のフィナーレを迎えた「#100日保に辞める薬剤師」の作者mokaさん(@Mokapple)を取材しました!

 

 

1.「#100日後に辞める薬剤師」を書こうと思った理由はどういったものでしょう?最終回にも連載中のコメントにもありますが。再度お願いします。

→薬局薬剤師の苦悩やあるあるな出来事をみんなで共有できたら楽しいかなと思って描かせていただきました。タイトルは「100日後に辞める」となっていますが、決して主人公がどんどん病んで退職に向かっていくストーリーではなく、「調剤薬局ってこういうところが大変だよね」「こんなことってあるよね」って共感してもらえるようなエピソードを多く描いたつもりです。

 

2.連載中の反応で印象に残ったもの、嬉しかったものはどんなんものでしょう?

→もしかしてこれ、自分だけの中であるあるだったらどうしよう・・と思っていたこともあったのですが、意外と皆さんが反応してくれたことです。コメント欄や引用リツイートでも盛り上がっていただけて良かったです。

漫画の内容は私自身の経験をネタにしているのですが、過去に自分が失敗して落ち込んでいたり、きつい上司に当たってしまってつらかったときは、同じような状況の人が他にもいるのを知って、「自分だけじゃないから頑張ろう」と励まされていました。

漫画を描いてから、今度は逆に私の漫画を読んで励みになったと言ってくれた方がいらっしゃって、それはとても嬉しかったです。

 

3.今回の連載に限らず、そもそも漫画を書き始めたのはいつですか?

→物心ついたころから描いていたように思います。

当時はまっていた漫画やアニメから影響を受けていました。

年齢が上がるにつれ、描かなくなってきたのですが、職場でつらいことがあって、これネタにするしかないわwって思ったのがきっかけで再度描くようになりました。

 

4.「#100日後に辞める薬剤師」でお気に入りの回とエピソードを教えて下さい。

①辞めるまであと83日

薬局薬剤師になった直後に言われたので、薬の知識より速さが求められるのかと思ったエピソードです。タイマーで一包化の時間を測られていました。

実際はそうではなくて、新人でも薬剤師なので薬の知識はあるという前提の上で速さを求められているのだと思いますが。

仕事とはいえ、速く、ミスなくこなすのってプレッシャーもあるし、大変ですよね。

②辞めるまであと64日

一包化を完成し終わったときに、印字ミスとかの何かしらのやらかしに気がついて巻きなおすという、あるあるでめっちゃ焦るやつです。患者さんが待合室で待ってたらもう謝りに行くしかないですよね。私は錠散混合でやらかしたことあります。

③辞めるまであと40日

きっと誰もが思うことだと思うのですが、薬局で薬の説明をしようとして、「説明いらない」って言われたときに薬剤師の存在意義を疑ってしまうエピソードです(笑)。

そう言わせない、スキルのある薬剤師になれたらとは思うのですが、新人のうちはやっぱりなかなか知識もスキルもそこまでないので、折角薬剤師になれたのに、自分必要なのかな・・と落ち込むことはありました。

 

5.今後の展望と、薬剤師や患者さんに期待することをお願いします。

→私自身は薬剤師×英語で働きたい、と思っているので、今は医薬翻訳者をゆるりと目指しながら勉強中です。以前翻訳の課題を読んだときに、よく見たことのある処方についての内容だったので、すらすら読めて、薬局で働いて得た知識がすごく役に立ちました。

一口に薬剤師といっても多岐にご活躍されている方が多く、刺激になります。今後高齢化社会で問題点は多いですが、一人一人がよい医療を提供できるよう心がけていけばなんとかなるんじゃないかと思いたいです。

 

mokaさん、ありがとうございました!

漫画は「#100日後に辞める薬剤師」で検索できますので、みなさんもぜひお読みください!1編1編は4コマぐらいの漫画ですので、読み進めやすいです。(最初から読む場合は Twitterの検索を「#100日後に辞める薬剤師 since:2022-1-1」にすると初回から全部検索できます。

 

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感染症対策法のグレードについて

 なぜか「COVID-19を感染症法の5類にしろ」という世論が巻き起こっていますが、

根本的に誤解をされているケースが多いのでまず強調したいところはここです。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第六条の8

 

この法律において「指定感染症」とは、既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、第三章から第七章までの規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。

 COVID-19は、すでに知られている感染性の疾病(コロナウイルス感染症)→○

感染症法第三章から第七章(新型インフルエンザ等感染症に適用する法律)の措置を使わないと万円して国民の生命、健康に重大な影響を与えるおそれがあるもの

なので、現在は指定感染症(二類相当)になっています。

 発生して2年の疾患であり、調べ尽くされていないというのが現状です。

指定を変更するには「まん延しても国民の生命・健康が脅かされる心配がない程度の毒性になる必要があります。

 法律を変えてウイルスが弱毒化するわけではないので、ウイルスの性質により指定を変えることになります。

 

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(96)「KDDIの回線障害に思う」

 今回は2020/7/20発行の薬局新聞掲載「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

追記)71億円ガチャで保証金払っても面白かったのではないかと思いました。

(全く繋がらなかった人には多めに払っておいて、残りの額でガチャという手も)

 

 

 先日、携帯電話auを運営するKDDIの回線障害が発生し、救急通報にまで影響が及ぶ大きなトラブルが発生しました。

 夜通しで回線の修復に努めた技術者の皆さん、状況を把握し国民に現在の状況と今後の見通しについて伝えた広報の方、自分が起こした障害でもないのに、矢面に立ってクレーム(ときには言いがかり)を受け続けた問い合わせ窓口の方とショップ店員の方、ほんとうにお疲れ様&お気の毒でした。

 auのツイッターアカウントにも、鬼の首を取ったかのようなコメント(時には言いがかり)がついていました。しかしお、それ以上にねぎらいの声がありました。

 KDDIの方には、時間がかかってもいいので正確な原因解明、実現できそうな今後の対策とその道筋を提示していただけると助かります。

 

 と、ここまで書いて自分の日常業務を振り返りました。

 できて当たり前、すこしでも及ばない点があったら叩かれる、インシデントの報告書を書けば欠点をあげつらわれる・・・患者さんに感謝されるだけ薬剤師の方がマシなのかもしれません。

 

 こういったインフラと呼ばれる職の人に対し、敬意と労いの気持ちは持っておきたいと強く思いました。いなくなったら日常生活に大きな影響が出ます。若い人がインフラ職に就きたいと思える世の中であってほしいです。

 

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根拠のない医療にも需要がある

 いわゆる「根拠のない医療」ですが、それなりに需要はあるようです。

 

 過去にも触れましたが、「医師の言動に傷つけたれた人、自分の見たくない事柄ばかり見せる医療者、医療という学問、科学的なものに敵意を持つ人」にとっては、「科学的根拠はないが、気持ちを満たしてくれる医療」は需要があります。

 

 ただ、この考えを貫く人は少なく、命が差し迫った場面では救急医療にかかることが少なくありません。ご本人が貫くつもりでも、家族はそうでもないこともままあります。その結果、救急外来にかかるも、それまでの治療が根拠がなかったり、そもそも治療データが存在しなかったりすると、治療に難儀することがあります。(同じ病気や怪我の治療でも、ある一定の病気や怪我を持っていると選べる治療が異なってきます。ある病気の方には、一般的な治療が命取りになる可能性もあります。そのため、医療的なデータが必要になります。)

 

上記のツイートどおりの流れになることが少なくありません。

さらに言えば、救急で受診して一命をとりとめたあとはまた科学的根拠のある治療を拒否するという、救急の医療従事者の心を折ることもあります。

 

 過去に反医療の方のツイートでお見かけしたことに、「医療は、救急、出産だけでいい」というものがありました。これがある意味反医療の根本にあると思います。「指図するな、好きにやらせろ、でも差し迫ったときお願いね。ただし、お前らのことは認めないからな」

 これ、反医療ではなくてもこういう考えが強い人います。もとより、人間のエゴの本質ではないかと思います。一般の方は、その考えが通じないし、それよりも治療を受けたほうがメリットが大きいとわかっています。

 「科学的根拠がないとわかっているが、気持ちを満たしてくれる医療を選んだ」のであれば、最後までそれを貫いてほしいと思うのが本音です。その「最後まで通す」には「家族にもその旨伝えて、人生の最後まで貫き、裁判などには持っていかないでほしい」というのも含まれるので、かなりの労力が必要ですが・・・。

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(95)生活を取り戻すコンサート

今回は薬局新聞2022/7/6発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 こんにちは!今回は薬局の窓口で見た景色の話題ではなく、個人で体験した日常生活を取り戻すための取り組みについてお伝えします。
 
 4月から6月にかけて、大人気バンド・Mr.Childrenの30周年コンサートツアー「半世紀へのエントランス」が行われました。
6会場12公演55万人動員という大規模なツアーはコロナ禍以降初めてです。長いファンである私もコンサートに参加してきました。
ここでの感染対策への取り組みを紹介します。

1. 主催者側の取り組み
会場での検温、手指消毒、混雑している場所でのマスク着用への呼びかけ、各種配布物をオンラインで行うなどの非接触への
取り組みがなされていました。その中で特筆すべきは「場内の消毒液のデザインにメンバー登場」と
「コラボレーショングッズとして不織布マスクを販売」です。感染対策を楽しく行えるようにしています。


2.観客の反応
 もともと、Mr.Childrenのコンサートはペンライトやフラッグ、うちわの使用は禁止でただ手と声のみでの鑑賞です。
そのうちの声が使えない状況で、観客も拍手と腕の振りで最大限の応援をしていました。
 スタジアム会場の外は公園で、そこには1万人ぐらいのファンと近所の人がいました、そこでも大きな声を上げる
こともなく、お互いが距離を取って音楽を聞いていました。

 主催者と客の協力もあり、無事にコンサートを終えることができ、メンバー・スタッフも非常に安心したのでは
ないかと思います。この公演の成功が、他のアーティストの活動を支えると言っても過言ではありません。



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薬剤師フィールドリサーチ(94)「PECSのQRコードについて」

今回は「薬局新聞」2022年6月22日発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 4月より稼働した日本薬剤師研修センター 薬剤師研修・認定電子システム(PECS)について素朴に疑問に思ったことを記します。

(一見しての疑問です)

 

1.学術大会、研修会への現地参加にプリントアウトをしたQRコードの持参を求めるのはなぜか

 他人のQRコードを読み込ませて代返しようとするのはメリットがないとは思うんですが、大人数が参加する大会の場合、重複して同一人物が別のQRコードを持って登録することは可能な気がします。多分、技術的な問題(機器に不具合が生じたときに髪のほうが安全なのでしょうか)だと思うのですが、スクリーンショットではなく、本人のスマートフォンで会場で待っている間にログインして認証したほうがより確実な気もします。

 

2.学術大会、遠方からの参加者は単位を取得できる?

 学術大会の場合、遠方から来られる場合や飛行機が取れなかった場合、遅れて参加したり閉会の時間より前に帰らざるを得ない状況がよく見られます。この場合、閉会式以降の時間帯の交通の便に集中するリスクがあります。分科会ごとの単位取得も選べるようになったり、ハイブリッド大会参加ができるようになればこのあたり改善すると思われます。

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エンシュア・リキッドコーヒー味の終売に見る

エンシュア・リキッドコーヒー味が終売されました。

これしか飲まない高齢者も結構いたようで、缶入りでクソ重いにも関わらず人気でした。運搬時に腰をいわす医療従事者/卸の配送員も多数いました。

 終売の理由は「採算が取れない」

予測としては今後、エンシュア・リキッドの他の味も販売が終わって、エンシュアHに切り替わっていくのでしょう。

 中には、食事を全く摂らず、エンシュアだけで生き延びている人もいます。これ、判断が難しいです。食べて生きているのなら、生きていてほしいという周囲の人の気持ちもあるし、本人が生きていたいのかどうかもありますし。

 ただし、エンシュアだけではミネラルが十分に摂れません。栄養補給にはなりますが。完全ではありません。

 そしてエンシュアは非常に甘いです。甘さもう少しマシなメイバランスなどの食品がありますが、自腹で買うことになります。

 価格を比較しました。

エンシュア:1本147.5円(薬価)

エンシュアH:1本230円(薬価)

メイバランス:1本220円程度

そりゃ採算取れんわ。

 

 他の薬もどんどん「採算が取れない」という理由で終売になっていくのでしょう・・・といった矢先にFAD製剤(フラビンアデニンジヌクレオチド)の終売が来ました。

 もしかしたら、国としては採算が取れない薬をどんどん出して、ダイソーよろしく「ここになければないですね」形式で治療を諦めさせる方法に出るのでしょうか。まあ、それでも平均寿命は大きく縮まず介護を必要とする高齢者の数は減らないと思います。(社会保障費は減らない)

 

 

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