「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ(103)「医療機関がサイバー攻撃に!薬局の現場では」

 今回は薬局新聞2022/11/9発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 大阪急性期・総合医療センターの電子カルテがサイバー攻撃を受けて、診察が止まってしまいました。こちらの処方箋を応需している側で起こっていることをお伝えします。

 

  1. 手書きの、ところどころ記載に不備のある処方箋がやってくる

普段はシステムに作業を任せているのが如実に現れています。手書きで処理されているため、保険番号の記載漏れを筆頭に、処方の単純な記載漏れは多数見られます。お薬手帳をもとに。前回調剤した薬局に処方箋を送っているようなので、単純な誤記は薬局に保管している前回の処方箋を見て対応という方式で回しています。疑義に関するアナウンスが医療機関側から出ているので、それに従っています。

 

 

  1. 紙のお薬手帳が役割を発揮!

処方箋にお薬手帳の記載をコピーしたものが添付されているものが届いています。システムの回復手順が決まるまで電子的な方法を利用できないため、アナログ的な手法で保存されたものがバックアップとして使用されています。継続して記載されていれば、医療機関側も心強いと思います。おそらくは医療機関の方は今までで最もお薬手帳を活用しているのではないでしょうか。

 

 今後は紙カルテを使っての診療を一部行うようです。

 

 職場では急性期総合医療センターの職員の苦労について非常に気の毒そうに心配していました。今も多分相当な量の作業をしているだろうが、回復後もこの期間の診療記録を登録するからしばらくはかなり業務がしんどいだろうと。

 

 

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少子化社会の人手不足に関して

 少子化社会で、若者の数が劇的に減っております。

  

 

www.stat.go.jp

 2021年10月1日時点での23歳人口 127.7万人

 この23歳時点での人口、年々減っていきます。

 5年後の23最人口は10万人減ります。(18歳人口が113.1万人)

 産業どころかインフラを維持する人手を確保する必要があります。小手先の効率化では対応できないのではないでしょうか。

 これからの若い人、不景気だろうが職にはありつけると思います。無理に向いていないのに医療職に行く必要もありません。他の職種でも人手が足りません。好きな仕事についていいと思います。

 

 ただし、30歳までにどの職業でもやっていける基本的な仕事の能力とお金をかけなくても暮らしていける金銭感覚の構築ができていないとやはり詰みます。若年者のほうが少ないという状況は続くからです。(ただし、高齢者と若年者の比率はゆるやかになっていくと思われます。)

 投資はこの部分をを補います。失業や高齢になって貯金が増えにくくなる状況でも投資で稼げれば目減りしていく貯金(当たり前、老年期は貯金を使うための時期)をみてハラハラしないですみます。命が尽きる前にお金がなくなるのは恐怖ですが、減っていくのは仕方ありません。

 大人たちはあの手のこの手を使って、インフラ職の待遇を上げることなく人手を確保しようと画策します。医療職の過酷さをあえて報道しない。わざと景気を上げずに医療職以外の就職先を減らす(陰謀論的)。

 しかし、医療職の過酷な現場はコロナ禍で露呈されてしまいました。医療系学部に言って免許は取るけど、他の業界に行く、そもそも医療系の専門教育を受けないという選択ができるようになってきました。

もし海外に出ても生き抜けるほどの能力があるなら海外に出てもよし(知識があって努力し続ける才能があって治安のいいとことで生き抜けるか、類まれなる環境順応能力があるか)、日本という巨大化した(世界と比べたらまだ人口は多い)均質化した市場で戦うか、そこは自分次第です。

 なぜインフラ職の待遇を上げないか。それは自分がお金を支払いたくないからです。それでいて、実際の作業もしたくないという。

 これが割と多いし、実は多数派と思います。親の年金だけでやりくりできる施設を探して、各種必要な加算を値切ってくる高齢者のご家族。そもそも診療報酬を上げない財務省と政治家に限らず。

 でも、提供できる医療がないなら諦める人も割といるし、これも多数派なのではないかと感じます。病気になった。提供できるものがない。なら仕方ない。この「仕方ない」は家族間の揉め事を減らしそうな気もします。責任を家族以外に押し付けることができるから。健康は大切、と口では皆言っているけれども、どこまで大切かは医療従事者と一般の人では大きな差があると思います。

 

 

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(102)「病院への研修とドラッグストアの独立性」

 今回は「薬局新聞」2022/10/26発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 

 薬剤師の初期研修として一定期間の病院での研修を義務付けてはどうか、という意見があります。これに関しては、

「安い給与で(もしくは研修を受ける側がお金を払って)」

「大学で学んできたばかりで教育コストを掛けずに」

「体力と時間のある若者を」

「研修の名のもとに」

「言い方は悪いがこき使いたい」 

病院運営側の気持ちが前面に出ていてあまり良い印象は持っていません。

 

 何よりも、最初に医療者どうしでの序列、しきたりを身に染み込ませてから薬局やドラッグストアに行くのは、独立性という最大の長所を奪っているように見えてなりません。特に、ドラッグストアは安全性、適正使用という大前提の上で、お客さんと薬剤師・登録販売者が自分の健康を作り上げる機能があります。医薬品だけでなく、食品やその他グッズを利用しての健康維持・増進も可能です。

 お客さんも、意志の力を借りず自分で健康を維持・増進したという気持ちで訪れている部分も多分にあるので、ドラッグストアの長所を活かす意味でも、病院への研修は義務でなくてもいいと考えています。そのためには、ドラッグストア側も金銭的利益を重視しすぎず、独立性という最大の特徴をもっと大切にしてはどうかと考えています。

 

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薬剤師フィールドリサーチ(101)「軽症者や普段の健康相談の場を薬局やドラッグストアへ」

今回は薬局新聞2022/10/14発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 このコロナ禍で、ドラッグストアや薬局での市販薬や日用品についての問い合わせが増えたという話を聞きます。病院に行ったらコロナに感染するかもしれない、病院ではスタッフが忙しそうというイメージからか、確実に医療の専門家のいるドラッグストアや薬局で相談する人が増えています。
 ここに来て、簡易検査キットの市販化です。検体を取る手技の習得に少々技術が必要なこともあり、カウンセリングが必須となっています。
 医療機関が軽症者にまで手が回っていない状況は、ドラッグストアや薬局に取っては追い風です。まだ病気かどうかわからない人の不安を受け止め、存在感を見せつけるいい機会ではありませんか!
 処方箋がなくても、病気でなくても入れるところであると認識づけて、他の検査キット、そして軽医療全般を担える存在になろうではありませんか!

 

 

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緊急避妊用ピルやその他男女関係の問題について

 リプロダクティブ・ヘルスという分野は、なぜか女性の先進的な人と守旧的な中高年男性の対立構造になりやすい。

 

 1議論が喧嘩腰なので、普通の人が入りづらい。

特に女性側が勝ち気な人が多い印象です。戦略に工夫が必要に感じています。相手は年令が高く、批判される機会が減っている上に相手に気を遣われている側です。そういう相手に敵対的な接し方をしても硬直化するだけに思います。(そうでなくても喧嘩腰では周囲の敵でも味方でもない人の理解を得ることができないし、意見に支持してもらうどころかこの問題には触れないでおこうという意識まで持たれてしまいます。それでは、運動自体が封印されてしまいます。これでは自滅です。)

 

 2.守旧派に足りないのは「言葉」

 守旧派・権力側の人がんなぜこの規制が必要なのか、議論をしている相手ではなく傍観者に向かって淡々と説明すると事態は改善すると考えています。普段の立場のように、何も言わず「だめだ」と言っておけば乗り切れると思っているかもしれません。

 しかし、相手は自分とか直接関わりのない人も含みます。

 「どの内容を伝えれば傍観者が理解するのか」という視点が必須に思います。

 

3.緊急避妊用ピル服用に関して

 ノルレボを適切な服用時間内(行為後72時間以内)に服用した場合の着床阻止率は85%(早ければ早いほど効果がある)

 医師が疑問視するのは

 1.服用して効果があったかどうか正確に調べられないのではないか

 (子宮外妊娠のリスクも想定している)

  →実際、最も確実な判断は受精卵がいるか子宮を診ることだが、

  妊娠している場合、生理予定日付近に月経と同じぐらいの出血があり、

なおかつ妊娠検査薬(体外診断用医薬品)で月経予定日とその1週間後ぐらいに2回測定して陰性が出れば概ね心配はないと思われます。(いつもの月経にない症状があれば必ず受診)

 2.実際に経験したことから患者の行動を信用していないが表に出しづらい内容

  ・犯罪(反社会的勢力とのつながりや、医師が身の危険にさらされる)

  ・薬の不適切使用(横流し、転売、連続服用(とその背景にある犯罪)など)

  ・妊娠しているのに受診しない

 一般国民が悪者になることって、まず報道されませんし、そのために医療者が歯止めをかけているのって完全に医療者が悪者になってしまいます。

 

 3.何かあったときの責任は

  「自分でやりたいようにやる!」といって啖呵を切った場合、不測の事態が起こったときに責任の拠り所(言葉をきれいにしています)がないんですね。

 パターナリズムへの反発で何かをした場合、結局責任を権威側に押し付ける事例もあったと思われます。

 改革側は、誰が責任を取るのかを明確にするのがよいでしょう。

 

 

 

 輪をかけて

ジェンダー問題で先頭に立つ人は特に「男性の権威による働きかけ」を「抑圧」と捉える人が多い印象です。そりゃ話になりにくいです。

 価値観がが逆なのですから。

 規制側は広く国民全体に規制の意味を説明して支持者を広げる方法を取るほうがベターだし、改革側も小さく問題点を切り分けて一つ一つ丁寧に解決していく方法を見い出せば時間はかかりますが前進すると思います。

(どちらも先に切るべきは先鋭化した仲間です)

                                

 

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薬剤師フィールドリサーチ(100)薬局スタッフのコロナ感染

今回は2022/9/28発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 自分の所属する薬局でも、スタッフの感染が連続しました。COVID-19対応(発熱患者対応、自宅への薬の配達、検査キットの無料配布と販売と無料検査事業)で患者さんとのや硫黄が多かったのもあります。それぞれのスタッフから感染した形跡はありませんでした。それだけオミクロン株の感染力が強かったようです。
 同時に複数のスタッフが感染してしまいましたが、他のスタッフが対応するなどなんとかその場を切り抜けたという印象です。
 
 療養期間明けのスタッフと話をしました。
「体がだるいのはだるいが、後遺症というよりは10日間全く外に出られず体を動かしていないのと精神的に内向きになっている部分が大きい」
確かに、療養期間開けて即通常の労働なので切り替えが大変だったようです。
体を慣らすためにも、療養期間明けて即フル勤務するより少しずつ復帰したほうがいいのかとも考えるのですが、待つスタッフの側の披露を考えるとそうもいかないですね。
このあたり、Long-COVIDとの見極めは難しく、実際に後遺症だった場合軽快に時間がかかるだろうと思いました。

 

 

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介護施設での薬の管理方法

 今回は薬剤師の仕事内容を紹介します。

 

 介護施設で薬が適切に飲めるように薬剤師が行う業務手順についてお伝えします。

 

まず押さえておく基本

・介護施設には複数の入居者がいる

・薬を飲む手伝いをする(飲ませる)のは家族ではない施設職員

・医療・介護の有資格者とは限らない(資格を持っていない人が解除する場合も)

・介護施設での薬は基本的に一包化されている

・認知機能が低下している場合など、患者は必ずしも薬を飲むとは限らない

・嚥下機能が落ちて粉砕となる事例も多々ある

・施設、処方元医療機関、薬局、すべて別組織である

 

 

処方が出るまで

老健:院内処方(医療保険が使えず、薬は施設の持ち出しとなる)

特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者住宅:医療保険使用可能 

 

 施設に往診の医師が入るところの場合は、そこから患者が契約した薬局に処方箋がわたります。(薬局を選ぶ権利は入居者にありますが、施設側の手間がかかるので、医療機関とセットになった薬局で対応することが多いです。

 施設側としても、あまり多くの医療機関と契約していると連絡が煩雑になります。しかし、入居者と医療機関の間でトラブルになってしまうと、入居者の日頃の健康管理を行う医療機関がいなくなり、家族が都度受診に連れていくことになります。家族としては、施設に入れて身動きが取れるようになりたかったのに結局入居前とあまり変わらないことになります。

 

 施設に医師が訪問し往診を行う場合、

薬剤師も一緒に回る場合

薬剤師が回らない場合

があります。

一緒に回っている場合、患者本人、医師、施設スタッフ、薬剤師で処方をその場で作り上げることがままあります。適切な薬の選定や、手持ちの薬で対応できるかの話し合いが行われます。しかし、往診同行には調剤報酬はつきません。

 施設の場合の処方の組み立て方は

 定期処方(患者さんの日常の健康を維持するための処方)

 臨時処方(一時的な状態の変化に合わせた処方)

 専門医療機関での処方(往診に回っている医療機関以外にかかる場合:専門的な治療が必要な場合→この場合は往診医は処方せず日常の体調確認のみを行う)

 で構成されます。

専門の医療機関への受診は施設スタッフが行かず、家族で対応することがよくあります。施設に入力したからといって、家族は完全に介護から離れたわけではありません。

 施設の人員の都合もありますが、家族の治療に対する意思決定に関わってくるので専門医療機関への受診(特に命に関わる疾患)は家族対応となることが多いです。施設のスタッフは、本人及び家族の決定をなるべく実現させるように働きます。

 これらの受診で処方箋が出た場合、入居者は処方箋を施設に渡すよう言われます。通常往診を対応している薬局で調剤する流れです。もちろん、かかりつけの薬局があれば底で対応するほうが望ましいです。特に、入居する前から関わっていた場合は往診分も含めて継続して対応するほうが望ましいです。というか、それが理想です。

 

薬局で行うこと

 往診の処方を受けている薬局では居宅療養管理指導を契約していると思われます。その業務の中に患者の薬の一元的管理があります。ひとつの薬局で薬の日数、相互作用、副作用の徴候の有無、使用方法が適正かどうかを確認します。

 処方された薬を一包化します。これは施設スタッフが服薬を介助できるようにするためには必須です。氏名、用法、服用する日付、コメント(薬効や使用方法、処方された医療機関)など本人及び施設スタッフの服薬介助を支援します。この印字のルールが施設ごとにバラバラです。患者さんに合わせているのであれば問題ないですが、多くは施設のスタッフの意向です。

 調剤した薬を同じ日の同じ服用時点ごとにまとめます。ホッチキス使用が不可能なところもあります。(針の誤飲や手の怪我を防ぐため)

 それぞれの薬をスタッフが取り出しやすいようにセットします。このセットの方法も施設ごとにバラバラです。

 それぞれの作業時点で間違いがないかの確認作業が生まれるので、作業全部が済むのに数日かかります。中には、調剤した薬の写真をすべて保管するところもあります。

 施設に薬を持参し、セットしていきます。

 

 通常、薬局ではこれらの作業を他の患者さんの対応をしながら行うので、かなり時間がかかります。在宅療養の患者さんを専門に見る薬局のほうがノウハウもあるし、外来患者を受けている割合が低いので、作業は早いです。(管轄部署としては望ましくないが、施設としては柔軟に動けるほうが望ましい)

 

 

 

 

 

 

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