「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

処方箋も指示書、つまりマニュアル

 処方箋を発行することは指示の明文化であり、記録を外部に保管できるという意味では医療安全に繋がります。(例えば裁判になった場合、直接の当事者以外が資料を保管していれば、信憑性が増します。処方箋は有印私文書(効率の医療機関であれば有印公文書)なので、資料としての重みがあります。

 

 しかし、処方箋記載の指示では患者さんが正確に薬を使えない場合もあります。

 処方

 アドエアディスカス250 1個 1日1回 1吸入

 医師の指示としては正確です。

 しかし、これだけでは疑問が起きることがあったり、そもそも器械が使えない場合があります。

 

 どのように吸入の器械を使うのか

 1日1回ならいつ使えばいいのか

 使用する上で注意する点(使用後にうがいをする、ゴミの廃棄方法など)

 など、医師の指示の範囲内で運用方法を説明し、医師の治療方針を変える必要性のある健康被害が出そうな兆候を説明し、その場合の対処を説明するのが薬剤師の服薬指導です。

 指示をもとに運用について説明するのが薬剤師の仕事です。

 

 

 

こちらの場合は、これだけでは患者さんはどうすればいいのかわかりません。

 

点眼・点鼻用リンデロンA液 5ml 1日3回

 

点眼するのか鼻に入れるのかわかりません。

(まあ、処方元の医療機関がどこかによってわかりますし、どこを診てもらったのか患者さんに確認するので予想が付きます。)

この場合は疑義照会の対象になります。

 

医師はもう別の患者さんの治療に意識が向かっているのはわかります。しかし、この指示だけでは正確に使用できないのです。

 このような無駄な疑義照会をなくすためにも、用法、用量の指示をどの薬局で受け取っても同じように解釈できるように記載していただけると幸いです。電子カルテについて、そのように工夫されているものもあります。

 

 保険診療上のルールから外れているものについても疑義照会します。これは、薬剤師としての仕事と言うよりは、「保険」を使っている以上、公平性が担保されなければならないためです。その場の患者さんの生命を守る視点以外の要素も必要です。

 

 ふと思いました。

 治療の指示内容を医療者側は記録できるし義務でもあるが、患者側が記録できるところは少ない(ほぼ皆無に等しい)な。

 知識だけでなく、証拠の非対称性で患者は不利なんじゃないかと。

 お薬手帳や薬局の側で渡される薬剤情報提供書と一緒に、処方箋のコピーを渡せば、少しは証拠の非対称性が緩和されるのではないかと。(薬の処方ミスまのか調剤ミスなのかもわかるようになります。もちろん、処方箋のコピーを渡す場合は再度使えないようにします。)

 

 

 しかし、どれだけ処方箋や指示書がマニュアル的に一つの解釈しかできないものであっても、読み込む側のバイアスが強ければ間違った行動になってしまいます。そうなった場合でも、多くの人が読んで同じ解釈になるよう指示が記載されていれば、自分の身を守れるのです。

 

 

 誰が読んでも同じように解釈できる指示、処方箋

 それなら薬剤師はいらないじゃないかと思われがちですが

 医療安全を守るためには必要です。

 医師による診断(方針)に基づく処方内容の指示があっても、薬剤師による運用についての説明も必要です。 

 1日3回 毎食後 という指示であっても、

3食の間隔がきちんとした人ばかりとは限りません。2食しか食べない人もいるでしょう。食事の直後に薬を出すことがままならない人もいるでしょう。その場合、どの容易に運用すれば治療方針に沿うのか、患者さんの安全を守れるのか運用できるのが薬剤師です。

 

 

 

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