2020年は医師に対する評価が大きく分かれた年だという印象があります。
評価が高かったのが、急性期診療や救急診療、在宅医療に関わっている医師。特に、よくわかっていない感染症に対し果敢に立ち向かい、知見を得て、他の医師が治療を行えるように道筋を示した方々です。そういう方は、一般向けにもネットを中心に情報を提供していました。
情報発信に関しては、一般のメディアに医療の情報を噛み砕いて説明できる人が少なかったのもあり、言語で伝える能力の高い医療従事者が専門的な情報を解釈してわかりやすい言葉にしていたように思います。このあたりの分担がSNSでは自然になされていました。
対し、一般の人の評価を下げた印象があるのは一般の開業医にみられます。全員ではありませんが、発熱症状のある人はすべて診ない(春なら知見が少ないのでわかるのですが、秋以降も医療機関側の対策をせずに診ないところが多くあり、発熱者を受ける医療機関の負担が大きくなっています。患者さんも遠くから受診する事例もあり、しんどいのではないかと思います。診療所のレイアウトや人員体制、設備の都合で感染対策ができないという事情があるとことがほとんどですが、その旨詳しく説明することはできたと考えます。)
さらに、診察そのものも止めてしまった、かかりつけの安定した患者以外診なくなった開業医もあると聞いています。感染したら医療機関として継続できないというのもありますが、それならば、その理由をわかり易い言葉で説明すればいいと思っています。どうして診察できないのか、という理由があれば理解する患者も少なくないのではないでしょうか。それでもって、COVID-19を受けていない医療機関に対する慰労金もしっかり頂いている。
その上、「根拠はないがこれに違いない」と公言する人が職能団体のトップ。患者さんに対して耳に優しい言葉で惹きつけて、自分の支配下に置くやり方をしているんだろうなという印象です。科学的根拠を背景に、患者さんの生活や気持ちにそった治療のやり方をするのがEBMなのですが。今までこのやり方で上手く言っていたのでしょうが、これからの時代の人達(中高年以下の世代)はこういったやり方に反発を覚えています。
薬局で、そういって診察を断られた方が薬を求める事例がありました。この場合は、タイレノールA(アセトアミノフェン300mg/錠)を販売することが多いです。それでも発熱が続く場合や息苦しい場合、他の症状が出た場合は保健所に連絡の上での受診となります。
隔離待合を設置したり、時間帯を区切って発熱者を診察したり、他の医療機関が対応できない感染していない患者に対応する医療機関の方に関しては、高度医療のバックアップをしてくださりありがといございますという言葉が出ます。全部の医療機関が感染症の治療をする必要はないのです。病気は他にもたくさんあります。それぞれの医療機関が、それぞれの能力に応じた役割を果たし、なるべく多くの人を助けることができることが大事です。COVID-19を診られないから怠慢である、という一部の首長や経営者などの発言は誤っています。
2020年は、もともと存在したと思われる一般の方がもつ医師に対する疑問が表面化した一年ではないでしょうか。
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