「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬局での無料検査キット提供事業

 SARS-CoV2の検査キットを薬局で無料で配布したり検査したりする事業。

これ、現場としては仕事が増えててんやわんやですが、いろいろな視点で見るとなるほどと思うことがあります。

 

若年軽症者に対する販売キット配布

背景

医療機関の発熱外来がパンクしている

地域の発熱した患者さんを一手に引き受けているが、患者数があまりにも増えたため対応しきれない

 しかも、SARS-CoV2の日本での第七波は小児とその親や若年層が感染のメインで、普段病院にかからない人が多い上に子供の苦しい顔を見て冷静でいいられない親のイライラは募っていた

 

すべての医療機関で発熱外来を行える状況ではない

 1.患者も医師もハイリスク群である場合(高齢患者の健康状態をモリタリングしている状況になっている医療機関やがんや免疫疾患のような高リスク者ばかりが患者の医療機関)

2.そもそも病気を治しにかかった医療機関で別の病気にかかるの怖くないですか?

 (冬のインフルエンザ流行期の小児科ではよくある話で、患者数が増えて隔離しきれなくなった待合室でインフルエンザ患者が待っている横にノロウイルス感染症の患者が来て双方が双方の病気を移し合う 小児科もネット予約システムなどして待合室にいる時間を短くする工夫はしている)

 

 その他、第七波で目立った現象として「無料検査場で陽性とわかったが、発熱外来のある医療機関の予約が取れず治療まで時間がかかった」ことがあります。

 

 そこで、リスクの少ないかかりつけ医のいない人症状の軽い人に関してはネット診察で対症療法を行い、ガチで症状の出ている人や高リスクの人の診察に集中させようということになり、検査キット配布となりました。

 

 この事業、都道府県によって補助金が出たり出なかったりとさまざまです。

 実際にやると結構手間がかかります。予約の電話の際に問診が必要です。さらに、受け渡しは薬局の外で行います。受け渡しのスタッフは感染防御が必要です。陽性である可能性は十分に高いですので。

 一組の予約から受け渡しまで10分以上は対人業務にかかっています。となると、それだけの手間賃を頂いても問題ないと考えています。利益の割には準備が必要ですし、対人業務で感染するリスクも少なからずあります。利益が出るとは言えリスクが大きすぎるように思います。

 販売価格と納入価格を決めておくのはどうでしょう。その差額の範囲には人件費、感染防護服の費用など必要なものを織り込んでおき、利益は出ても微々たるものにしておくと無茶なりえ追求はなされないと考えます。そもそも、手抜きをすると従業員が感染するか激務に耐えかねて辞めてしまうか起こり得るので、手抜きのしようがないといえます。

 キットに同封する資料を薬局独自のものにしたり、トレーサビリティやフォローアップの仕組みを導入しても良いでしょう。

 

 そして、この事業よく医師会が潰さなかったなと思いました。

多分、対象を若年軽症者に限定したからと思います。つまり、かかりつけの患者ではない、一見さん限定。そして、発熱外来の待ち時間にキレてイキリちらしているのがこの年齢層に見られます。コロナ収束後の医療機関の運営に影響を与えないと認識されたか面倒事を薬局に押し付けたか。

 

 しかし、今後もネットや薬局などで検査キットを販売する道筋はできてしまいました。薬局でもフォローアップを行ったりするなど地域の軽医療で爪痕を残せば調剤だけなないぜという立ち位置になれるでしょう。

 

 

 

 

 

 

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