「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

長生きするリスク

 長生きするのもリスクと感じられる時代になってきました。

現在、健康寿命が73-74歳。70歳時点での平均余命を考慮すると男性16年、女性20年なので健康寿命経過後も10年以上は軽く生きながらえます。

kenkochoju.pref.miyazaki.lg.jp

 健康寿命の定義

健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間

現在は国民生活基礎調査の調査票を用いて各人に記入してもらい、統計として算出しています。しかし、これはWHOの定義するものとは違っています。

WHOは疾患の状態に応じて重み付けしていますが、計算が煩雑になるので、日本では用いられていません。どちらかといえば、日本ではやや短めに算出されています。

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/2021397.pdf

 

 労働してお金を手に入れられる期間を過ぎても生きながらえてしまう→貯金を取り崩して生きる期間が長い、というのはそれだけでも不安になります。貯金が減っても命が尽きない、お金がなくなって病気になっても病院にかかれないという不安は大きいです。

 さらにいえば、一般の人が目撃する「体の自由がきかなくなった高齢者」はまだまだ健康な方なのです。車いすを押して一人で出られる、家族やヘルパーの方と一緒に出られるはまだまだ健康です。医療費もさほどかかってはいません。

 高齢者施設に携わると、自分では外に出ることができなくなった人がたくさんいます。それでも、誰かに手伝ってもらえばものを食べることもトイレに行くこともできます。この方々を見て、「無駄に長生きしている」といえるのでしょうか。

 しかし、高齢者施設にいる方もまだ元気な方です。

 

 人が亡くなる前1ヶ月がもっとも医療費がかかるとされています。この期間は、いろいろな医療的な手立てをして「結果として」医療では救えないう状態になって死を迎えます。個人的にはこの期間は必要と考えています。医療的手立ての中には、負担が大きすぎて却って寿命を縮めてしまうものがあります。それを行わないでおこうという流れにはなってきつつあります。「医療的な手立てをしても無理だった場合」という定義は変えてはいけないと考えています。それを変えるということは、どこかに人の手が入るということになります。それはともすれば殺人たりえるということにも繋がりかねません。それに、「医療では無理だった」ということが残された家族が後悔しない落とし所ではないでしょうか。この責任を取るのが医師の最も重い仕事といえます。医師のとる責任というのは非常に重いです。この部分に携わる医師の評価は高くあっていいと考えます。誰かの代わりに責任を取る。

 

 どちらかといえば、医療費の無駄遣いをしないという視点で考えると、健康寿命を縮める要因となる生活習慣病の治療が鍵となります。ただ、最近の研究では生活習慣病も体質や高齢化によるものが大きいという結果が出てきています。生活習慣病を無駄に悪化させないことが医療費を節約することになるのではないでしょうか。

 暴飲暴食

 喫煙

 睡眠不足

 過重労働

 

 これらが低減され、もっと労働の負担が軽くなれば、健康寿命と平均余命の差は短くなる可能性があります。

 

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