「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

ネット世論の安楽死に対する解像度は荒くはないか

 ネット世論では「安楽死を認めてほしい」というのがぼちぼち見られます。

 しかし、彼らがどのような状態を安楽死と認識しているのかが具体的に読み取れません。何を持って安楽死とするのか、理解していないと議論が間違った方向に向かってしまい、最悪の場合そもそも議論すらタブー視されてしまう可能性があります。

 

 日本臨床倫理学会のサイトにある記載から挙げていきます。

 前提条件としては「死期が近づいている」「耐え難い苦痛がある」「治療方法がない」

といったものです。

患者意思によって延命治療をしないこと 延命治療が無益と判断された時に、それを行わないこと’(苦痛の緩和は行う)

積極的安楽死 患者の命を終わらせる目的で「何かをする」

消極的安楽死 患者の祈りを終わらせる目的で「何かをしない」

-----------ここまでが参考にした部分

これらとは別に「医師による自殺幇助」といって、本人が死ぬために飲む薬を医師が処方するなどとういったというもの(本人以外が飲まないことを前提とする)もあります。

c-ethics.jp

 

c-ethics.jp

 自殺幇助は完全に犯罪で、しっかり刑がつきます。

判例による安楽死4条件

①耐えがたい肉体的苦痛に苦しんでいること

②死が避けられず死期が迫っていること

③苦痛を除去・緩和する他の手段がないこと

④患者の明示的な意思表示があること

ですが、この④番が本当に患者の意思なのか、誰かに言わされていないのか判定しなければなりません。実際に合致しても、本人が亡くなった後に家族が殺人だと裁判を起こす可能性もあります。

 実際に処置を行う(もしくは処置を行わない)医療者の精神的負担は大きいです。特に医師の場合、「こうやったら人は死ぬ」「こうやったら人は助かる」を知っていて、後者を任務としているからです。安楽死は自分の希望で他人の職業倫理を踏みにじる可能性があるのです。最悪の場合、良心の呵責に責められた医療者が何かをする可能性もあります。

 それぐらいの重いことであることを把握して「安楽死を認めて」といっているようには見受けられません。

 まずは安楽死の定義とその周辺の裁判を調べてから物事を言ってほしいものです。

 

 

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個人店とチェーン店の棲み分け

 薬局の利用 個人店とチェーン店、棲み分けができるのではないかと感じています。

 

  利用者の性格、利用目的によって「チェーン店でもいい人」と「相性の良い個人店でないとだめな人」に分かれるでしょう。

 チェーン店のメリットは、標準化された対応です。マニュアルの質が上がれば、社員の質にあまりよらず高いレベルの対応がなされます。読みやすく、マニュアルを読んだだけで再現性のあるものであるかどうかが鍵になってきます。全体の底上げができるのがマニュアルの良いところです。能力の高い社員切れば、マニュアル+アルファを考える余裕ができるでしょう。

 個人店は社員の資質と客との相性が物を言います。相性さえ合えばきめ細かいサービスを受けられます。個人店の場合、従業員がそれぞれ臨機応変に対応できるかが鍵になってきます。

 

 そもそも保険診療なのに全国均一のサービスじゃないのかよと思われますが、人間の病気や健康に対する対応なので、人それぞれ回答が違います。そこがマニュアルとマニュアル以外の違いです。

 

 平準的な対応をされたい場合は質の高いチェーン店

 自分こそ個性的である人、個別の対応を受けたい場合は個人店

 

 と使い分けるのもいいですね。ただし、ずっと同じ店を使う方をおすすめします。よほど相性が悪くない限りは使えば使うほど、スタッフも客も話し合いの勘がつかめてきます。

 

 

 

 

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孤立対策をしたい周りの人とほっといてほしい本人

 仕事で介護関連の業務をやっている方なら、一度は見聞きしたことがあると思うのが介入困難例。

 他人を家にいれるのを嫌がる→これはむしろ自然なことで、自宅は気を使わないでいい自分の空間なので他人に入ってこられるのは困る

 

 それならば地域の色々なイベント(規模の大小や内容など幅広い内容)に参加してもらう、どれか一つでも参加すればOK

 外に出ることを促す→散歩でもなんでもOK

 

 女性は何かしら外に出ることが多いのですが、高齢になった男性の中には、他の人との関わり方に課題のある方がいます。何故か喧嘩腰、過去の栄光を持ち出す、そもそも他人とかかわらないなど。施設でも男性が孤立している維持例が多いです。たまに朗らかに多くの人と接する男性の方がいますが、少数派です。

 もともと人と接するのが苦手なタイプの方が病気や怪我をきっかけに介助を必要とするようになると、色々大変です。

 心を閉ざしているところに自分の機能低下を受け入れられないでいるので家にいれるのすら難しい状況になります。でも、早期に介入しないとますます心は閉ざすし体の機能的に家を掃除できないので家が汚くなって匂いなどで周囲は困るわ本人はそれでもいいわで一気に介入困難令になります。

 

 ここからが介護者や行政や医療の仕事となりますが、権威のある男性の言うことだったら聞くというめんどくささもあり、係る職員の新郎は計り知れません。

 改善されていない状態であっても、体の機能が落ちて生きている間に入院や施設入居ができればいいですが、そのまま亡くなってしまうと持ちものの処理が大変です。本人の貯金があれば相続車を探して(探すの大変)財産処理をすることなりますがお金がないと税金が使われるわけで・・・

  

 

 

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薬剤師調査票の質問項目を改善したい

 薬剤師受給の元資料として薬剤師調査を行っていると思われます。

 しかし、この質問項目だけで需給を満たすとは思えません。

年齢、性別、生育歴だけで対応できるのでしょうか。

 追加するなら

 ・本人の病気や家族の世話などで現在の状況より長い時間働けない事情があるかどうか

(その代わりに現在の就労時間を記載している欄が存在していると思われるが、

ひとり親の場合など常勤で就労しているが世話する家族がいて夜間休日対応は難しい人もいる)

 ・現在の居住地を離れられない事情がある

 

 このあたりまで調べれば、時間帯別、場所別の需給を調べることができそうですが、「薬剤師はやる気がない」という判断をされかねないリスクもあります。

 

 

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チェーン店のマニュアル対応が呼ぶ安心

 旅行中でも食事はチェーン店に行く、という人が少なからずいるようです。

どこに行っても一定のレベルのサービスが提供される、というのが安心のようです。

旅行に行って、個人の店に入るのは勇気がいりますね。その店が美味しいかどうかわからないで利用するのは。口コミ評価サイトで評価がわかるならば評価の高い店に入れば安心です。しかし、地方都市では評価する人も少ないのでいい店かどうかを決めるのば自分です。自分の判断が間違っていて、まずかった場合は非常に後悔します。後悔するぐらいなら、大体の味のレベルが分かるチェーン店に行くという気持ちは理解できます。

 

 他の業界でも同じことが言えそうです。チェーン店だと、誰が入っても差別しない。自分が受けるさーブスの程度はだいたい想像はつく。なんなら他のチェーン店でも平均的レベルの接客を受けるであろうことは想像つく。常連びいきをするということは、常連ではない人は冷遇されるということ。自分が蔑ろにされる可能性のある場所には行きたくないですよね。

 となると、何もかもシステム化されたチェーン店のほうが客としては安心ですね。従業員も、自分の個性は出せないけれど、自分の代わりが誰でもできると思えば、家庭などの事情で抜けるのも責任を感じる程度は低いでしょうし。

 

  もしかしたら、常連びいきとなる「かかりつけ薬剤師」なんて制度は時代の流れには合わないかもしれません。

 

 

 

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生活保護負担金徴収は難しい

 生活保護負担金ありは難しい課題だ。

 

 日本国憲法第25条

第1項すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

第2項国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)

 

(この法律の目的)第一条この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

 

(医療扶助の方法)
第三十四条 医療扶助は、現物給付によつて行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によつて行うことができる。

2 前項に規定する現物給付のうち、医療の給付は、医療保護施設を利用させ、又は医療保護施設若しくは第四十九条の規定により指定を受けた医療機関(以下「指定医療機関」という。)にこれを委託して行うものとする。


3 前項に規定する医療の給付のうち、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとする。


4 第二項に規定する医療の給付のうち、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)又は柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の規定によりあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師又は柔道整復師(以下「施術者」という。)が行うことのできる範囲の施術については、第五十五条第一項の規定により指定を受けた施術者に委託してその給付を行うことを妨げない。

5 被保護者は、第二項に規定する医療の給付のうち、指定医療機関に委託して行うものを受けるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該指定医療機関から、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法により、医療扶助を受給する被保護者であることの確認を受けるものとする。


6 前項の「電子資格確認」とは、被保護者が、保護の実施機関に対し、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)に記録された利用者証明用電子証明書(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第二十二条第一項に規定する利用者証明用電子証明書をいう。)を送信する方法その他の厚生労働省令で定める方法により、被保護者の医療扶助の受給資格に係る情報(医療の給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保護の実施機関から回答を受けて当該情報を医療の給付を受ける医療機関に提供し、当該医療機関から医療扶助を受給する被保護者であることの確認を受けることをいう。


7 急迫した事情その他やむを得ない事情がある場合においては、被保護者は、第二項及び第四項の規定にかかわらず、指定を受けない医療機関について医療の給付を受け、又は指定を受けない施術者について施術の給付を受けることができる。
8 医療扶助のための保護金品は、被保護者に対して交付するものとする。

laws.e-gov.go.jp

 

 まずはこれらの憲法と法律を踏まえないといけない。

生活保護受給者への医療は

 

 生活保護受給者の治療は現物給付(保護を受けていない人も同様に現物給付)

 原則として後発医薬品を使用する

 マイナンバーカードによる本人認証により被保護者と照合されたうえで治療を行う

 

となります。

 「現物給付」という仕組みを理解するのが難しいしこれだけで別記事になるので、ここでは「支払うのが本人だけではない(保険だったり公費だったり)医療」では治療というパッケージを保険なり行政が国民に提供していると理解していただければと思います。

 脱線しますが、よくメディアで表現される「(健康保険で)処方薬を購入する」という表現は誤りです。

 この概念が理解できれば、生活保護受給者への定率負担は概念的には可能です。(行政と被保護者が受診時に金銭を負担して治療というパッケージを受ける、ということになるので 提供を受けるのは「健康のための一連の手技や説明や薬などのまとまり」です。それぞれを単独で購入しているわけではなく、それぞれの事柄を適切に選ぶ医療者の技術も含めてまとまったものを一気に提供されていると考えましょう。)

 

 生活保護受給者に対する一般の人のイメージが実像と違っている気がするので、どんな人なのか示してみましょう、

生活保護制度の現状について

社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会(第14回)(令和6年4月3日)

資料5

https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000977977.pdf

約200万人

高齢者世帯56% 母子世帯4% 障害者傷病者世帯25% その他の世帯15%

52%が65歳以上 

50-59歳 13.5% 19歳以下 9.6% 40-49歳 9.6% 60-64歳 7.9%

30-39歳 407% 20-29歳 2.6%

 

生活保護費の半分は医療扶助で金額は1.7兆円

頻回受診をしている人には民生委員や主治医による指導を実施

65歳以上の年金受給率は上がった(でも7割弱)

 

 生活保護受給者のイメージとしては

高齢の無年金者が多そうです。(怖い人の印象を受けますが、そういう人が目立つだけのようです、)生活保護p廃止の最大の理由が「本人の死亡」(65歳以上だと、働ける可能性がかなり低くなるので、これしか廃止の道がない、ともいえます)

 本当にお金のない+何らかの病気や怪我を持った人が多数なので、これを一括りにして医療費を3割負担にするのは難しいなと思いました。(1割や定額はできる可能性がある)

 未収金対策は必要です。脅して払わない人、のらりくらりと逃げて払わない人、両方のイメージがあります。現物給付の視点から、負担金を出すのなら保護費から差し引いて支給するのがトラブルがなさそうです。(金銭の管理ができない人も少なからずいるため) 

 

 

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マイナ保険証で起こっている現場の手間

マイナ保険証導入、医療の現場では少しバタバタしております。

 

1.提示に手間取る患者

 今の時期だけだと思いますが、マイナンバーカードの読み取りに時間がかかり、使用方法の説明にスタッフが取られてしまうリスクがあります。

 

2.保険切り替え直後の照合

転職や転居などで保険が切り替わることがあります。

保険切り替えの手続きそのものは人の手で行われるので、反映に時間がかかります。保険証の返却と送付がない分短くなっていますが、健康保険組合と職場や行政との手続きは自動ではありません。

 保険を切り替えた翌日に受診した場合、マイナ保険証を使えば本人照合は可能です。しかし、保険は宙ぶらりんですので、正確なものはわかりません。保険情報をスマートフォンにダウンロードしていれば話は別です。その場合は保険情報を目視で照合できます。

 マイナ保険証を使っている場合は、医療機関で提示することですでに本人照合ができているので、手続き中であることだけわかっていれば3割負担で患者さんには支払ってもらえばあとは保険者と医療機関のやり取りで済むようになっています。

 ただ、負担割合が変わる場合はどうでしょう。一度3割で払って保険の種類と負担割合がわかったら再度患者に医療機関に来てもらうのでしょうか。 

 自分の保険情報をスマートフォンで閲覧できるようしておくと、マイナ保険証の読み取り機器が壊れててもマイナンバーカードの顔写真による照合と保険情報提示で確認可能です。(2024年秋ごろまでに送付された「資格情報のお知らせ」をマイナンバーカードと同時に提示すれば保険診療可能です)

https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001120093.pdf

 

 

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