「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

書評「マンガではじめる薬局マネジメント」

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紀伊國屋書店ウェブストア

www.kinokuniya.co.jp

 

honto(丸善ジュンク堂文教堂

honto.jp

 書店で購入すれば専門書が手に入りやすい環境が増えます・・・


 薬局というところ、

1.いろいろな世代の人がいる(新卒と中途)

2.得てして社会人のマナーを知らない(自己反省)

3.管理薬剤師が一番年齡が若いことなんてザラ

4.マネジメント研修を受けることが少ない

 

 こういった方への基礎的な書籍です。(大手の薬局だと、管理薬剤師研修で財務諸表などを見て店舗の運営を数字で学ぶことが機会がある場合もあります)薬局の経営を数字で見るのは管理薬剤師だけでなく、スタッフ全員が必要だと考えます。(「経営は私の仕事じゃない」という薬剤師は多いですが、自分の行動が薬局の利益を左右することを学べば、労働条件の駆け引きには役立つかもしれません(汗))

 

 この本を読んで、店舗運営のどの部分を伸ばせばいいか考え、それぞれの専門書に進むためのステップアップにするといいのではないでしょうか。初めて管理薬剤師になる若い人にはおすすめです。法令の改正に関係なく、管理薬剤師として必要なことは大体網羅されているので、一通り読んで「もっと知りたい」ことを学ぶのがこの本の活用方法だと思います。こういう書籍は今までありませんでした。

 

 個人的には退職の意向など、人間関係の対処について触れているのは特筆すべき点と思います。女性が多いので、どうしても同じ働き方で一生続くわけではありませんし、「ベテランは店の宝」と言い切るのはベテランで一時的にパートになっている方もとっては自分が認められた気分になるのではないでしょうか。実際、同じ人がずっといてくれる方が新しいことを教えないで済むし、顧客に安心感を与えます。ワーク・ライフ・バランスに注目したのも、他の業界でも珍しいと思います。


 実際、薬局では書籍では書けない人間関係のどろどろがあるところがあります。これは、ひとえに「薬局の中だけでいる」のが原因と思います。それを打破するのが、「地域に出る」ことではないかと考えています。一人ひとりの薬剤師が個性を持って活動するのが大切です。

 この本は、マニュアルのしっかりしていない中小薬局の方には非常にためになる思います。見落としがちな法規など薬局の骨組みの部分をしっかり書いた書籍は意外と少ないです。また、これがあると外部コンサルタントにお金を払う必要が減るので、経費削減となり、その分従業員の福利厚生に使えます。福利厚生や休みやすい環境、休日対応のバックアップにお金を支払ったほうが従業員の長期雇用に役立ちます。(コンサルに回すお金をすべて給与に回すのは良くありません。殆どの従業員が給与額に慢心するのがオチだからです) 

 

 

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第9回日本在宅薬学会学術大会参加報告

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 2日間参加してきました。天気が悪かったので事前参加登録しておきながら行くのを躊躇していましたが(ここでダメ人間ぶりを発揮)、抄録と名札を忘れているのに気づき家に帰っているうちに遅刻した上に雨まで上がるという奇跡に恵まれ無事会場に着きました。

 会場は微妙に交通の便の悪い(その上周りに店がない:でも会議場の中では比較的店が近い方)大阪国際会議場。確かに中之島駅直結だけどそもそも京阪中之島線って京都以外の人から非常にアクセスの悪い路線じゃないか。さらに梅田から離れてるじゃないか。

 

 余談が長過ぎました。

 

 今回参加してみて、予想以上に収穫がありました。

 

 まず、参加者のイノベーター具合が回を経るごとに落ち着いてきたこと。

勿論、参加者、発表者はイノベーターと呼ばれるのですよ?しかし、あまりに先駆者過ぎて周りが付いてこられなかった感触があった数年前とは徐々に変わってきて、背を伸ばせば届くものになってきています他の人を巻き込んで、標準化していく段階に来ているでしょう。でも、他に比べれば十分先駆者です!根本はとんがっていたいけど、あまりに浮いてると自分の掲げる理念や方向性が達成できなくなると感じたのでしょうかそれとも作戦なのでしょうか。空気を読ま(め)ないイノベーターが排除されると、支持が得られます。

 エビデンスとか統計などがなくても実践報告だけでプレゼンができるのもイノベーション的な学術大会ならではのことです。まあ、在宅医療というのは個別化された医療の中でも更に個別化された分野だと思うので、なかなか統計が取りにくいのかもしれません。結構実践的な発表が多いのも参加しやすいですね。

 そして、このブログのネタがバンバン集まってきたこと。私、研修会に参加する際、タブレット広げてノートを複数用意して書き込んでいます。

 演者が言っている事柄をその場で調べるのにタブレットを使用

 講演内容と関係ある内にかぎらずその時自分が思いついたことを用途に応じてノートに記載(一部はブログにアップ)

 頭の中で発想が思い浮かぶ発表が多かったのも、この学術大会のイノベーティブな所以です。

 

 今回は「地域」をテーマにした複数のシンポジウムに参加してきました。

 以下、複数のシンポジウムを統合した感想です。

 地域包括ケアシステムもセルフメディケーションも国の「税金使わずに社会保障をしようぜ」とい意図が先行して見えて首を傾げる部分もあるのですが、

 地域の人を細く長く観察して

 自身も地域住民として地域の活動に参加したり地域の店を利用して

 ちょっと気になる時に声をかけられる程度の距離感を保つ

のが肝心だと思いました。

 

 ローソンのヘルスケア店舗を立ち上げた方もいらっしゃいました。

 

 薬局の薬剤師は「物流」と「情報」を両方持つと言う意味では強いのかもしれません。物流だけでは限界に来ているコンビニやスーパーとの親和性が高いと感じました。コンビニやスーパーなどの大資本とさまざまな事業形態があれば、品揃えもそして開業医のクレームにも耐えられると思いました。

 

 あと、狭間先生色が薄くなってきた?

 他の演者の方が結構前に出てきています。この会の考え方に共感して、自分のやり方で実践している人達が出てきています。

 もしかしたら、段階を進めようとしている狭間先生の「策」なのかもしれませんが、考え、動き、協調する人が増えていって世の中は変わっていくのでしょう。

 

おまけ

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飛ぶんじゃないぞ!(地形を見れば明らかですが、中洲なので地盤弱いです)

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地域医療に真摯でない経営者は退場しておしまいっ!(-ω☆)キラリ

 いきなり過激なタイトルですよ。

 

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 薬局という企業体に勤める薬剤師というのが平成26年12月31日現在で14万3339名*1いるわけです(対し薬剤師の薬局開設者は1万7859名*2 薬局数は5万7784カ所*3) 結構な割合で薬剤師ではない経営者がいるわけですよ。

 

 私も薬局に勤務する薬剤師なのですが、「企業活動の結果の経済活動上の利益」「 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保する」のバランスを取りつつ仕事をしております。

 企業は存続することが一番の社会的責任です。勿論、法令を守ったうえでの話です。薬剤師としての倫理を保ちつつ、法令を守り、その上でなるべく最大限の利益を得る。その利益をまた国民に還元する。遊興に使うのが目立つと合法ですが道義的によろしくないです。でも、自分が元気になるためにお金を使うのは構いません。自分が健康で働けていることも、国民に対する利益還元です。

 倫理・法令遵守>>>>>経営としての利益 です。

 

 薬局に勤務している薬剤師は、従業員なので会社の経営方針に従うことになります。勿論、それが薬剤師としての倫理に反するものであるならばたとえ経営者であってもお意見することがあります。なぜなら、それが会社を、薬局を、地域を、国民を守る最善の手段だからです。(管理薬剤師の場合開設者に意見を言うのが業務に入っています)

 

 つまり、企業としての薬局を決めるのは経営者なのです。(管理薬剤師は開設者に意見を言うのが仕事です。が、企業の仕組みとしては決定権は経営者にあります。)彼らが、許可制度で立っている薬局がどのような立ち位置を求められているのか理解し、実践できる環境を作れるかどうかで方向性が決まってしまいます。この企業としての考え方と、薬剤師法や医療法の精神がぶつかってしまうのが、他の医療系の職種との違いです。(介護は企業が入っているのでこの衝突はある)

 

 今回の改定で打ち出された「かかりつけ薬剤師」は地域包括ケアシステムの中での「顔なじみさん」の変化を健康な時から経時的に観察し、生活と医療と介護のグラデーションのようなつながりにスムーズに適応してもらうための仕組みと解釈します。顔なじみさんなので、地域の人は「あの人に任せておけば安心、でもあの人に無理させちゃないようにしないと」薬剤師は「あの人体調悪そう、何か気になるな。今日は予定あるけど少し変更しようか」というお互い様精神が通っていると考えます。善意あってこその制度です。

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 地域社会の一員として薬剤師法第一条や薬剤師綱領・薬剤師倫理規定の精神をもって参加するという仕組みを「得た利益を地域や国民にほとんど還元しない」薬局は淘汰されヘタしたら薬局や薬剤師という存在も淘汰されることになりかねません。そこまでの繋がる可能性があることを理解せず、地に足をつけず地域や国民に還元しない薬剤師や特に経営者は薬局業界から退場すべきと考えます。

 

 

 

 といっても、頭の中を地域に貢献する理念だけにすることはできないんですよね。夫々の生活、家族がいればその家族の意向も入ってくるわけで・・・

 

 

 

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*1:平成24年薬剤師調査

*2:平成24年薬剤師調査

*3:平成24年12月衛生行政報告例

「かかりつけ薬剤師」がもたらす薬局内の不協和音

 制度上の「かかりつけ薬剤師」制度が始まりましたねー。

 

 この制度で起こりうる薬局内の人間関係の悪化を想像しました。

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 1.かかりつけ薬剤師に該当する薬剤師の増長

 いわゆる「かかりつけ薬剤師」に該当する薬剤師が1名でなおかつ基準調剤加算を算定できる薬局の場合、薬局の利益を叩き出しているのは自分だ、とばかりに経営者や周囲に尊大な振る舞いをする可能性があります。

 「自分がいなければ薬局は潰れる」とか「お前たちの給料を出しているのは自分だ」と言わんばかりに投薬以外の仕事を全部押し付けたり「在宅に行っていたら患者さん来た時に指導料取れないでしょ?」と在宅の仕事を押し付けたり。

 

 2.かかりつけ薬剤師に業務の負担を集中させる他の薬剤師

 「投薬苦手・・・」と喜んで調剤マシーン化する薬剤師も出てきそうです。「投薬はあの人に任せて、でも、他の仕事も平等にやってもらわないと!」と自分は投薬を全くせず定時で上がったり事あるごとに休んだり。

 

 薬局というのは1人でやっているところを除けばチームでの仕事なので、

「かかりつけ薬剤師」に該当する人はどうしても投薬件数が増えるので、その分調剤の仕事や発注など作業するところを軽減したり、お互いのできることできないことを配分した方がいいと思います。だいたい、1や2の状況になるところは雰囲気が悪くなって顧客にも伝わるんですよね。

 

 チームで補った方が仕事を長く続けられる(新しい人が入れ替わる環境は患者さんにとっても不安ですし、伝達や調剤行為のミスが起こりやすいです)ということに気づいて個人の好き嫌いを排除したほうが建設的なんですけど、どうしても感情が優先してしまう人がいるようです。患者さんへのアドバイスであっても、感情を優先してはなりません。感情に配慮しつつ、科学的に間違っていることは伝えないことが肝心です。(このバランスは非常に難しい)

 

 経営的にも「かかりつけ薬剤師」が勤務者1名だと非常に危うい(基準調剤加算を取っていればその人が辞めてしまった時点で経営が傾きかねない)ので、対策が必要です。

 

 薬局開設者が薬剤師の場合

1.自分が店舗に入り管理薬剤師となりかかりつけ薬剤師の条件を満たす

(この場合、自分は役員なので労働時間をいくら長くしても法には触れませんね。時間外対応も自分でやれば、時間外の給与を出す必要もありません)

 

2.時間外対応の担当を自分でやる

複数店舗持っている場合もこの方法で対応できます。余談ですが、同じ町内地域内に数店舗持って地域活動もやっているチェーンはいわゆるチェーン薬局とは一線を画していると思います。

 

3.かかりつけ薬剤師を複数配置する

1よりは確実性が低いですが、リスクは小さくなります。

 

 つまり、かかりつけ薬剤師+基準調剤加算は薬局チェーンを排除する政策なのではないかと?そして、地域に関わる薬局のあり方を提示したのでは?と

この話題は次回以降にやりますー。今回はさようなら~。

 

 

 

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ジェネリックや残薬やこつこつやってもこれ一つで帳消しやで!

toyokeizai.net

bylines.news.yahoo.co.jp

 

オプジーボ(注射剤)という薬が薬価制度を揺るがしている。

 

オプジーボ点滴静注20mg   小野薬品工業   150200円/瓶
オプジーボ点滴静注100mg   小野薬品工業   729849円/瓶

体重40kgの人の場合 1回120mg(100mg1本+20mg1本)を2週間に1回

1回150200+729849=880,049円

1年で 880049×26=22,881,274円

年間2000万円の薬価・・・

たとえ薬価差益が1%だったとしても差益だけで年間20万円・・・。

患者が支払うお金は最も収入が高い人でも14.1万円

参考

高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

 

 この薬を対象となる患者さんの半分(5万人)が使うと1兆円超えます。

 

調剤医療費(平成26年度) 7兆1987億円
調剤技術料(平成26年度) 1兆7682億円
厚生労働省 調剤医療費(電算処理分)の動向の概要平成26年度版)

なので、いくらジェネリックにしたり手帳を持ってくるよう伝えたり残薬を数えて薬代減らしてもすべての努力が吹っ飛ぶんだぜ!

 

 しかし、患者さんの僅かな希望に賭けたい気持ちもわかる。新薬の売上を上げて新しい薬を作る原資にしたい気持ちもわかる。新しい薬を開発して助けられない人を減らしたい気持ちもわかる。でも、5万人のために残り1億人以上人の医療費が切迫するのはどうか?

 

 

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治療は専門家の判断と指示とその前提条件がセットになったもの

weblog.horiemon.com

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 これ、薬局業界に対する意見というよりは医師の診断のプロセスに対する意見といったほうが正しいです。医師に意見したら理路整然とした回答が返ってくることまちがいなしです。なぜなら、診断という独占業務で医師は思考と判断を業務でたくさん行っているからです。

 

 診断とは

kotobank.jp

 医師は患者の様子(一挙一動、状態によって観察する箇所は異なる)を見て患者と対話をし、その中で必要な検査や応急処置を行い、見立てをします。診断の後に処置を行うこともある。診断は一度行ったら確定とは限らず、どんどん更新されます。

 定期的に受診して、少し話をしただけでも新たな診断が行われます。会話の中でも確認するべきポイントを押さえているからです。その診断の中には現状維持も含まれます。ゆえに、新たな診断が行われているとは患者が認識できていないことも多いです。患者の自然な様子から診断がくだされることが、正確な診断には必要不可欠です。

 ゆえに、堀江さんが「毎回同じなのに病院に行かなきゃいけないのは面倒」という感覚になるのは、自然に診察が行われている証左です。処方箋は「薬の処方期間中は、特段何もなければ処方箋に記載された薬を適切に服用しても差し支えないと考える」という保証書でもあります。むしろ、医師と対面せずに「急いでいるから薬だけ頂戴」と言って処方箋をもらうのは診断の仕組み上良くありません。そして違法です。

 

 処方箋には用法も記載されています。(保険請求をするので、実際口頭で医師が説明するのとは違う場合もあります。処方箋に書ききれない場合もあります。:この場合は医師の説明を優先します)

例)ロキソニン錠/細粒の添付文書上の用法、用量(文字に色を付けたのは筆者)

効能又は効果/用法及び用量

1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛

通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

2.手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎

通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

3.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mgを頓用する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大180mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

実はロキソニンには頭痛の適応がないんです。

そして、赤字に変えた箇所は「調節ができる」箇所。診断によって変わる箇所です。

そもそも、添付文書は患者向けには書かれておらず、使用する医療従事者向けの文書です。上記の範囲内で患者の状態に応じて調節して薬を出してくださいというものです。

 

市販のロキソニンSの添付文書より

効能・効果

○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱

用法・用量

次の量を、水又はお湯で服用して下さい。
年齢 1回服用量 1日服用回数
成人(15歳以上) 1錠 2回まで。
症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて服用して下さい。
ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。服用間隔は4時間以上おいて下さい。
15歳未満 服用しないで下さい。

 同じ成分なのに、使用方法が異なります。しかも、頭痛や月経痛にも使えます。しかし、飲み方の融通はあまり利きません。上記の飲み方以外で飲んで大きな副作用が出て身体に障害が残っても医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。

 

 余談ですが、医療用医薬品のロキソニンにも市販の用法を適応させればいいのにと思いました。審査の方法が異なるのでしょう。

 

 一般の人は「どうせ同じ症状だから」と診察をとばして薬を求めますが、患者が気が付かないうちに医師は事前に診断していて、そのフィルターを通して薬剤師に薬の指示書としての処方箋を発行しています。

 

 忙しいからとか会社を休めないからと受診を遅らせたり、夜間や休みにやってほしいと考える人も多いです。そこまでやれるほどの人員がいないのと、体調が悪い場合や体のメンテナンスのためには休む習慣をつけることが国民の健康に繋がるという考えから、一般的な診療を行う医療機関は夜や日曜日は休みます。

 

 そして、薬剤師は薬を使用するポイントや相互作用や副作用の確認、薬の作用のチェックを行います。最近の薬は使うのにコツが要るものが多いです。自宅での治療の多くの割合を薬物治療が占めます。ゆえに、医師とは別の職種である薬剤師が必要となってきます。

 

 処方薬は薬という「もの」と「情報」(患者から集めるものと医療従事者から提供されるもの両方)が組み合わされた個別化された統合物であるという認識を持っていただけると幸いです。

 

 そして気になることが。

常備薬という表現。

偏頭痛など、いつ発作が起こるかわからないので持っている薬なら保険診療で薬を常備しておくというのはわかりますが、 

熱が出た時や風を引いた時の常備薬は市販薬でいいのでは???

 

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医療と政治

   参議院選挙がもうすぐ行われます。

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 参議院選挙の方法についてはこちらのリンクで解説するとして、

総務省|選挙の種類

なぜ、各業界団体が自分ところの団体から議員を出すのかについてざっくり解説します。

 それぞれの業界に勤める人間の数とそれぞれの業界の顧客の数は、どの業界でも顧客のほうが多いです。これが医療だと

 

医師 31万1205名(うち医療施設従事者29万6845名 95.4%)))

歯科医師 10万3972名(うち医療施設従事者10万965名 97.1%)

薬剤師 28万8151名(うち医療施設従事者21万6077名 75.0%)

 ※平成26年医師・歯科医師・薬剤師調査(厚生労働省

就業している看護師 108万6779名 准看護師 34万153名

 ※平成26年衛生行政報告例(厚生労働省

 

どう考えても患者のほうが多いです。これを完全に民主主義にしてしまったら、医療従事者は阿鼻叫喚地獄のような働き方をさせられるのは火を見るより明らかです。しかし、間接民主制のいいところは、それぞれの立場を勘案してなるべく歩み寄った結果に持っていくことです(玉虫色ともいうが、極端に損する人を出さない、みんなそこそこのところで落ち着くというのが一番妬みを生まないのです)

 

 そこで、各業界団体の代表となる議員を話し合いの場に参加させて、なるべく現場の意見を通してもらおういうことになってきます。こんな話をすると、「ずるい」って声が聞こえてきそうですが、

だーかーらー!顧客寄りにするとそれぞれの専門職の人がブラック労働でバタバタ倒れるような展開になるでしょうがー!そうなった場合、倒れた専門職の人の代わりを誰がするんですか?「そんなの掃いて捨てるほどいる?」って?「無医村」とか「医師不足で病棟閉鎖」という記事を見たことないんでしょうか・・・。

 

 といいますか、医療は「人道的であること」が優先されますので、患者の人となりや立場によって命を選別しないのです(なるべく多くの人を助けるために災害や事故の時に優先順位を付ける場合がありますが、命が助かる可能性+専門的ケアの必要性の組み合わせです) そのためには、専門的な意見から法制度が決まることで国家を維持できます。

 

 というわけで、「自分たちの現場の代表を国会に送る」ことで自分たちが活躍できるための制度を作れる可能性が高くなります。勿論、制度を作ったからにはそれぞれの業界の人は活躍して国民に見返りをしなければなりません。

 では、代表を送り込めなかった場合は?

例えば保育士や介護士なのですが、代表となる議員がいないので、メディアを味方にする必要があります。煽った内容のブログを書いたり、センセーショナルな事件が起こることで話題となります(これらの職業の人がいなくなったら、多くの国民が働けなくなるので支持は得られやすいのですが)何かが起こったからといってメディアが確実に司法や行政にあげてくれるとは限りません。というわけで、それぞれの団体から議員が出てくることになります。参議院でも衆議院でも地方議会でも。

 

 「業界団体の代表の人が議員になっても、自分たちに見返りがないじゃないか!」とプンスカする向きもありますが、そこは話し合いです。全部が全部自分たちに有利になるわけがありません。

「有利な制度→見返りで頑張れ」

「不利な制度→世間様の支持を得られるようもっと頑張れ」

なのです。

 

 代表の議員を出した上で、政党を問わず有力な議員と懇親を深め

「我々の団体は○○先生に入れますよ」と根回しをして、票の見返りに自分たちの団体に有利な政策に賛成してもらうという手を使ってるところもあまたと・・・。ここに顧客や国民の利益に重きをおいた先に自分たちの利益があるものであればいいのですが、そうでなければ・・・(ゴホンゴホン

 

汚い話になってきた。

でも現実です。

今回はこの辺でさよーならー。

 

 

 

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