薬局新聞2019年5月15日号掲載分です。
昨年の春、1回飲めばよいという鳴り物入りで発売された「ゾフルーザ」。一般メディアでも画期的な薬として報道され、今シーズンのインフルエンザの治療に多量に処方されました。実際は臨床試験でのデータが少なく、安全性もまだ判断しかねる段階です。
医療現場では、報道もあってゾフルーザの処方を希望する患者さんが多く、他の薬が処方されると知るや「なんでゾフルーザ出ないの」と患者さんに詰め寄られる医師や薬剤師のぼやきがSNSで散見されました。
今年の1月半ば以降、供給が不安定になった上に、耐性を持つウイルス株が出たという報道が出るやいなや、一転してメディアがゾフルーザを持ち上げる記事は消えていきました。
メディアは煽るだけ煽って、伝えた内容に責任を取らないと憤る医療者もいるでしょう。しかし、国民の健康のためにも、メディアと医療従事者は対立するのではなく、手を組むのが建設的ではないでしょうか。今なら、ネットを介して情報発信している医療従事者とメディア関係者がつながるのは難しくありません。
例えば、今まで以上に医療従事者による監修記事を増やす、医療に精通した記者だけでなく医療資格を持った記者やライターがさまざまな場所で根拠を持った情報をわかり易く解説するようになればいいと願っています。メディアに対する信頼も得られる上に、対面で説明する医療従事者の苦労が減り、多くの人の健康が守れるのではないでしょうか。
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