「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

第105回薬剤師国家試験結果

第105回薬剤師国家試験合格発表の表を掲載します。

A:出願者数

B:受験者数

C:合格者数

 

C/A= 卒業延期や留年がなかった場合の合格率

B/A= 卒業延期や留年をした数(1月の出願後に卒業できないとわかった数、もしくは当日病気などで受験できなかった人)の割合

繰越 出願者数から合格者数を差し引いたもの

 

こっちが国公立

drive.google.com

 

こちらが私立

drive.google.com

 

国公立はほとんど出願したら卒業できますが、私立のその数は何でしょうねえ。

試験に落ちそうな人を卒業延期にして新卒扱いにせずに新卒合格率を上げている大学があるらしく、文科省としてはけしからんということで問題になっているようですが。

 6年前に入学した人数との比率も出すと、薬学部に無理に行かずに他の学部に行ったほうが幸せな若者もいたのではないかと思うのです。資格がなくても技術で食べることはできますし、自由がありますから。奨学金もあまり借りてなくて重しもないでしょうし。

 

 

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個人的備忘録「手洗いによるウイルス除去」

 

ノロウイルス感染症対策の資料にあった、手洗いの方法・回数による除去効果

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000105095.pdf

 

こちらによると

15秒流水で洗うだけでウイルスの数は 1/100 に減少

(15秒といえば長く思えますが、曲を流せばいいです。Mr.children「HANABI」だと、15秒でインロトの終わりかけ、「日常に葬られていく」あたりで1分15秒です。)

 

Norovirus の代替指標として Feline Calicivirus を用いた
手洗いによるウイルス除去効果の検討

http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0800050496.pdf

ノロウイルス除去に必要な手洗いの方法及び時間についての論文です。

Feline Calicivirusとはネコシリカウイルスです。猫の風邪で、大抵は重篤化せず治りますが、たくさんの種類があり、何度も感染します。ワクチンも存在します。ヒトへの感染は言われていません。

ja.wikipedia.org

ウィキペディアにもある通り、ネコシリカウイルスとノロウイルスは類似した性質を持っています。ノロウイルスで実験するのは危険であるため、代用しています。

 

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薬剤師フィールドリサーチ(38)「偏差値の低い大学卒業ではダメ薬剤師か?」

 今回は2020/3/4発行号の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を紹介します。

 

 「薬学部が増えて薬学部の偏差値が低くなった」「薬学部の学生の学力が下がった」と嘆く向きがあります。果たしてそれは本当でしょうか?それが国民にどう影響を与えるのでしょうか?

 そもそも薬剤師には国家試験があります。国家試験に受からないと薬剤師になれません。国家試験の質が保たれていれば、入学時の学力はあまり関係ないのではないでしょうか。30年ぐらい前の私立医学部の偏差値を見たところ、今とは大違いなところも多くあります。(医学部は難化しています)その時代に私立大学を医師は、今は現場で活躍されている方が多いですね。

 「対物業務から対人業務へ」とよく言われます。対人業務で必要な、人に説明する技術、難しいことを相手の理解度合いに合わせて説明する語彙力、人当たり、誠実さについては学力とは別の次元です。私も現場で色々な大学を出た薬剤師と接していますが、業務の遂行能力と大学の偏差値はあまり関係ないように感じます。むしろ、東大や京大を出て薬局で働いている薬剤師に対する根拠のない期待感が気になります。人としての魅力は千差万別です。
 知識の必要な業務を簡略化できるツールの引き出しが多くあれば、学力はカバーできます。

 「大学の偏差値が低い」と自分に自身が持てないでいる皆さん、同じ国家試験を受かったのです。自信を持ってください!(特に若い薬剤師の方は自信を持ってください。大学での教育レベルは6年制になって格段に上がっています、)

 

 

 

 

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【解説】手作り点眼はなぜ不可能か

 とあるサイトで「手作り点眼」なるものが紹介されていて、私はお茶を吹きそうになりました。(最初に見たTwitterのつぶやきでは「塩化ナトリウムの入っていない食塩を入れる」というこれまた科学的に存在し得ないものについての指摘が中心でした。)

 

 点眼剤を自宅でなぜ作れないかといえば、日本薬局方の製剤総則にあります。

点眼剤の定義そのものが

「点眼剤は,液状,又は用時溶解若しくは用時懸濁して用いる固体の結膜嚢などの眼組織に適用する無菌の製剤である」

この時点で自宅で作るのは無理です。

 点眼剤に求められる基準を満たしているか確認するための試験

 無菌試験

http://www.eiken.co.jp/products_technique/es/pdf/es2b.pdf

 点眼剤の不溶性異物検査法

https://www.pmda.go.jp/files/000164563.pdf

(異物がないかどうか調べる)


 点眼剤の不溶性微粒子試験法

http://www.eiken.co.jp/products_technique/es/pdf/es2b.pdf

 (懸濁剤の微粒子の大きさが一定の範囲内かどうかの確認)

 

 これらを満たそうと思うと、家庭の環境では実現できません。

 完全に無菌状態で薬を作らねばなりません。

 実際の製造工程

www.santen.co.jp

 

点眼剤の製造に関わる法規がまとまったもの

点眼剤の承認許可に関する留意事項
~薬機法,日局及び関連通知等~ 2017年3月

公益社団法人 東京医薬品工業協会 点眼剤研究会

http://www.pmat.or.jp/syoseki/documents/20170315_005.pdf

どう考えても莫大な設備が必要です。

 

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薬剤師フィールドリサーチ(37)「人の手で行うことの意義」

 今回は、2020/2/26薬局新聞発行号「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 私は肩こりが激しく、時々リラクゼーションサロンに行っています。10年ぐらい通い続けていて、この度閉店することになりました。体に負担にならない姿勢やストレッチについて教わりつつも結局肩こりはあまり解消されることなく10年が過ぎました(とはいえ、ぎっくり腰など日常生活に支障の出ることも発生しませんでした。)、医学的根拠のあまりないものを医療従事者が受けるのはどうなのかと思われた読者の方もいるかもしれません。

 

 こちらのサロンでは、施術中に体のことや仕事のこと、世間話をしていました。ここに来られるお客さんは、医療に対する不信を訴える人が多かったそうで、医療従事者として患者さんに接するとの態度を考え直すきっかけになっていました。

 最近印象に残ったのが、「人の手で体をマッサージすることの意義」についての話です。手技が上手い人であっても、お客さんの指名が入らない人がいました。なぜかと聞けば、「効くのは効くが、これではマッサージチェアに座っているのと変わらない」とのこと。また、技術はあまり上手ではないけれど、お客さんの痛みを感じ取って指名が取れる人がいたとのこと。お客さんと施術者の相性があるということでした。

 これは。私達の薬剤師業務にも関連する話ではないでしょうか。ただ情報を集めて処方箋通りに飲むのなら薬袋や薬情でもできます。人の手で行うことは何を意味するのか、薬剤師だけでなく開設者や薬局に係るスタッフが考え、実行していくことが大事です。

 

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なぜ根拠のない医療情報がSNSで流れる?

 今回の新型コロナウイルス情報、治療や対策に関しやたらと間違った情報が流れるような印象を受けます。(中国で起こったという理由で中国人に対する攻撃的な意見があった、というのもありましが、医療の話ではないのでここでは触れません)

 

 今回は、呼吸器内科や感染症対策や治療を主に行っている専門家が早期から情報発信しているので、その方の発信する情報(リツイートも含めて)を拡散するだけで上質な情報を提供できました。

 下手に、専門ではない人が自分の生半可な知識だけで情報提供しようものなら血祭りになるほどの勢いで専門家の方々が発信していました。ここでいう「専門」というのは「感染症治療を普段行っている医師」「感染症専門医」「感染症の研究者」クラスです。
 例えば
 あれどこ感染症(今村顕史医師(東京都立駒込病院 感染症センター長)の管理するFacebookページ)

https://www.facebook.com/aredoko.kansen/

twitter.com

岩田健太郎・神戸大学医学研究科感染症内科教授
(政治的な動きとしてはどうかと思われるのですが、感染症対策に関しての知識のみは妥当です)

twitter.com

EARL先生(ブロガー医)

twitter.com

 こういう専門の医師が、根拠を持った情報を提供していたら、他の診療科の医師でも自分の分かる範囲(正しい手洗いやマスクの効果についての論文紹介など)での情報提供にとどまるほどです。

 外科医師であるけいゆう先生のツイート

 

 Twitterというところ、どこに専門家がいるかわかりません。普段「にゃーん」としかつぶやかなかったり 仕事と全く関係のない趣味の話題しかしないアカウントの本業が専門的な職業ということはよくあります。そういう世界なのに、なぜ専門知識のない人がよく調べもせずに自分の試験を呟けるのでしょうか。私の考えを書きます。

 

1.専門家に知り合いがいない

 Twitterでは自分の好きな人をフォローする傾向があるため(嫌いな人をフォローする物好きはあまりいない)、自然と似たような考えや趣味、仕事の人ばかりになります。 

 こうなると、異なるコミュニティに所属する人のツイートがタイムラインに飛び込んでくる確率は低くなります。たまに、いろいろなことに興味関心を示しをリツイートする人がいるので、そういう人からの情報が入ってくる以外新しいジャンルの情報が入りづらくなっています。

 

 つぶやく内容を限定して、それ以外のことを全くつぶやかないアカウントや鍵アカウントにして特定の人としか接触しない場合はなおさらです。(ただし、鍵アカウントにしたり、拡散させる異タイプの人をミュートしたり「リツイートを表示しない」に設定するのは心の安寧を求めるためには効果的です。自分で検証できる人にはおすすめです。)

 結果、知り合いに専門家がいないため、専門家がどのような過程を経てつぶやくかも知らずに自説を振りまく人が出てきます。ものを知らないがゆえの強さ、怖さがあります。

 

  またしてもけいゆう先生のつぶやきを引用しますと

  学習して新しい知識を得ていくと、「この事柄はどういう仕組みだろう」「なぜこんな事が起こるのか」とどんどん知りたい、知らなければならない、知らない知識が増えてきます。これは勉強していれば当たり前の事象です。まずは知らばければならない事柄の多さに恐怖します。次は、知りたいという願望が生まれます。そして学びます。知りたいという願望につながらず、学習をやめることも珍しくありません。

 

 

 

2.正しい情報を検証する手段を知らない

 正しい情報を検証するための知識がない場合と

 検証するという行為そのもの、その意義を知らない場合

 どうやって正しい情報か道か検証するのか知らない場合

があります。

 真ん中は知らない場合は致命傷です。

 前者は勉強すればなんとかなりそうですし、最後も学べばなんとかなるでしょう。

自分の知識の程度や忙しさ加減によってどこまですればいいかは変わってきます。

 本格的に論文を読むのか

 ガイドラインや教科書のようなものを読むのか

 専門家のつぶやきを見るのか

 よくわからないので専門性を要する話題をしないのか

さまざまです。

 

3.自己顕示欲

 目立ちたいという気持ちの人がつい話してしまうものです。時折見られる、有名人による根拠のない健康法や健康食品の宣伝は、お金のためでもあり自分が目立ちたいという願望を満たすためです。また、ママライターによる根拠のない医療情報の提供は「自宅にいながらにしてお小遣いが稼げる」という主婦の心のすきを満たすものだったと言えます。

 怖いのは、インフルエンサーと呼ばれる人たちが、自身の持つ表現力や宣伝力を生かして間違った医療情報を提供する人たちです。共感を得ながら心をつかむやり方を、正しい情報を提供する側は持ち合わせていません。

 

 

医療に限らず、間違って捉えると命に関わるものの情報発信は慎重にしましょう。

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(36)ぺんぎん薬剤師さんインタビュー4 「今後の展開」

 

 今回は薬局新聞2020/2/12発行号「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

4回目となりました「薬剤師の脳みそ」ぺんぎん薬剤師さんへのインタビュー。

最終回となる今回は、今後の展望についてお伺いしました。。

 

 

-今後、どのようにしていきたいと思っていますか?

 

「今回の取材もそうなんですが、最近、初心を振り返る機会が多くて。

 

記事を作成する中で、正確な情報や新しい情報にこだわりすぎて、記事の作成に追われたり、自分の考えを出せなくなっていたんじゃないかと思っています。

 

今後はより自由に、もっと現場に届くような表現を意識して記事を作成して行きたいと思っています。」

 

 ブログ以外にも挑戦したいことがたくさんあるようです。在宅医療には早い段階から携わり、調剤システム開発のご経験もある非常に幅広い経験を持った方ですので、ブログのプロフィールページをみてご興味を持たれた方はぜひ、コンタクトを取ってはどうでしょう。

 

 

 ぺんぎん薬剤師さん、4回に渡りご登場いただきありがとうございました。

今後のご活躍をお祈りしています!今後の更新記事を期待しましょう!

 

「薬剤師の脳みそ」

ブログ:

pharmacist.hatenablog.com

 

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