「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

命果てても、伝えたことは生き続ける

 半年以上前、関西の薬剤師ブロガー諸氏とソクラテス兄さんと飲み会を開催しました。

  

 これが非常に有意義でした。

 「やはり、ネットの交流だけでなく直接対面する効果は大きい」

 これに尽きます。ICTツールが普及しても、実際に対面しないと出てこない会話が存在します。(それは、たとえスカイプなどでのテレビ電話であったとしてもです。)
 ネット上の言動では伝わらない、多くの情報とそれぞれの人となりが伝わるいい集まりでした。

 

 それと、自分の立ち位置とこれからが見えてきました。

 若い世代がどんどん出てきています。彼らがさまざまな試行錯誤をして、何か形にしていくのを見守ろうと思います。邪魔する人がいても支援しようと考えます。

 多分、失敗はするでしょう。けれども、失敗は次に成功する礎になります。それは、どこで間違えたのか考えて確かめることが大事になります。

(と、「おんな城主直虎」46回の万千代が家康に語ったセリフを引用した部分もあります。この回は、自身は死んでしまっても、その人の思いや言葉、立ち振舞はそれを知る者を介して後世に伝わること、それが無名の人物によるものであっても言動に価値があれば後世の人によって伝わることもテーマにしています。小野但馬守政次役の高橋一生さんも「(大河ドラマについて)小さな川の流れが重なってやがて大きな川の流れにつながる」といった主旨の発言をされています。)

 自分は無名であっても、言動や立ち振舞がリーダー格として引っ張る人の言動に影響を与えるかもしれません。自分ではなく、他人に願いを託し、支援する生き方もあります。(これまた。「おんな城主直虎」で直虎が万千代が徳川のために働くことで自分の願いを叶えるのに重なります)

 いわゆる「老害」と呼ばれる人にならないように気をつけたいです。(既になっているかもしれません!)若者が、自分と同じ失敗をしそうになった時に、その身を案じて先回りするようにその行動を阻止したり、くさして挑戦させないようにしたり、陰で日向で若い者の行動を冷笑するような真似はしないようにしたいです。

 自分の時代で、自分の願望が果たせなかったとしても、次世代が叶えればいいのです。その礎を作ればいいのです。その逆襲をするために皮肉を言ったり他人の足を引っ張ってはならないのです。それぞれの役割があります。

 なるべく機嫌よい言葉遣いで(内心では非常に腹が立っているとしても)記事を書いていけるようにしたいです。

 そういった朗らかな人に、若者はついていくのではないかと考えます。それは若者への媚びではなく、この職業の文化と歴史を伝えるためです。まだまだ諸外国に比べて短い、この国の薬剤師の未来の為に。

 

 

 

参加したメンバーのブログ

 こちらの記事でも書いた 

miyaq.hatenablog.com

 著者のFizz-DIさんの書籍出版記念の飲み会でもありました。

www.fizz-di.jp

 彼の何がすごいかといえば。「型ができあがっていること」です。

そのおかげで非常に読みやすいサイトになっております。今後、ブログを始める方がいれば、理念を立ち上げて、自分の型を作って記事を書くといいと思います。型が出来上がるまでの試行錯誤は必ずあります。その試行錯誤も記録しておくと、今後自分の型を修正したり脱却する時に活用できるのではないでしょうか。

 「型破りをするにはまず型を身につけることから」と十八代目中村勘三郎もおっしゃっていました。これは業務でも同じことが言えると私は思います。

 

 

keisyuke-blogyakkyoku.xyz

 こちらも気鋭の若手ブロガーでのけいしゅけさんです。

こちらも見やすい記事レイアウトに工夫されています。記事のジャンルはさまざまです。どうすれば見やすい記事になるのか、どうやって記事を展開していくのか工夫をされています。

 

 

gacharinco.hatenablog.com

 こちらが病院薬剤師のリンコさんのブログです。記事の数は多くないのですが、丁寧な臨床疑問への追求がなされています。

 そして我らがソクラテス兄さん。

kumamoto-pharmacist.cocolog-nifty.com

 説明不要です。

 

 

 

 

 

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【参加報告】第2回 全国在宅医療医歯薬連合会全国大会

 こんばんは。

 先日、国立京都国際会館で開催された第2回 全国在宅医療医歯薬連合会全国大会の参加報告をします。

 この大会は

 在宅療養に関連する3つの団体(全国在宅療養支援診療所連絡会、 全国在宅療養支援歯科診療所連絡会 、全国薬剤師・在宅療養支援連絡会)の学術大会をまとめて行い、連合会としてのシンポジウムを組み合わせたものです。 

 

「リハと栄養の効果を最大限にする処方の最適化」(薬科プログラム)

リハビリ、栄養についての知識や、それらの職種が薬剤師に対してどんなことを期待しているのか、自分たちの職種がどんなものか、現状での問題点を描くシンポジストが紹介していました。

 ここで出てきたのがICF(国際障害機能分類 International Classification of Functioning, Disability and Health)

「国際生活機能分類−国際障害分類改訂版−」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について

 ICF(国際生活機能分類)
-「生きることの全体像」についての「共通言語」- 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf

 ここには、生活機能の3レベル(「心身機能・構造」:心身の働き、「活動」:生活行為、「参加」:家庭・社会への関与・役割)が存在します。

 障害があっても、家族に働きかけることができれば「参加」はできています。

今後、在宅療養支援チームの共通言語として取り入れる概念になるでしょう。

 運動に影響を与える薬がどんなものか、どのように工夫すれば薬の影響を最低限にできるか(処方の工夫やリハビリの工夫)→理学療法士との連携

 具体的な食事指導(その人にあったレシピを作る)、食事と薬剤の影響、嚥下機能に影響を与える薬の情報提供 →栄養士との連携

に繋がりそうです。

 

「今後の在宅医療とICT」(連合会のプログラム)

多職種が連携する場合、一同に介して話し合うのは難しいです。それぞれ別の利用者と契約して、それぞれの利用者の時間に合わせて活動しています。そこを効率化させるのがICTです。グループウェアの利用がなされていますが、求める情報に応じてセキュリティの度合いを変える必要があります。また、現行の医療・介護用のグループウェアは医師主導で進んでいるものが多いです。医師の承認がないと患者グループに入れません。また、患者や家族も入れる、手軽に利用できるものに関してはセキュリティの関係上流せる情報が変わってきます。

 ここでも発言が多いのは看護師です。患者や家族の気持ちを代弁したり、生活の様子を報告します。ただ、ここで報告されたことが患者の真意なのかどうかは推し量っていかないといけないのではないでしょうか。患者の気持ちを聞くのはチーム内の誰でもいいです。相性がいい人のほうがうまくいくかもしれません。

 

「シームレスな多職種連携」

 他職種連携の対象は多岐にわたります。医療、介護関係者だけでなく、民生委員、教員、葬儀社、宗教者、近所の人とさまざまです。

 「薬の管理」については、患者本人が思っている薬の管理と他の職種が思う薬の管理、薬剤師が思う薬の管理は別のものではないかと感じました。そもそも、薬剤師が思う薬の管理ってなんなのか、自分の中で定義する必要があります。

 在宅療養当初は薬剤師が介入しないけれど(まだ家族や自分で管理できることもままある)認知機能の低下や体の機能低下で薬剤師介入となる事例が多いそうです。訪問看護や医師から薬剤師を紹介するとスムーズに介入できます。まずは訪問医療そのものの意義を伝えて、それに関わる人との信頼関係を作ってからになります。

 地域連携の前に薬薬連携が必要という発表もありました。入院で一旦薬の情報が途切れます。注射薬含め、どんな薬を使ったのか、どのような調剤方法(一包化、印字)で薬を渡しているのか。お薬手帳を持参しないで入院すると、入院するまでにどこの薬局で薬をもらっていたのかがわからず、退院時カンファレンスに薬局が呼ばれないこともあります。

 

 

「ランチョンセミナー3 地域包括ケアシステムの一翼を担う在宅訪問栄養士の役割
- 食文化から低栄養・脱水までを含めた栄養支援 -」

 エンシュアHやラコールといった栄養剤に食品を混ぜて実際に飲んでみた話はっよかったです。問題は、1:1で混ぜると実際の量では400-500mlになって一度には摂れないということ。

 栄養士の存在は非常に地味です。どんな仕事をするのかも理解されていません。献立だけでなく、調理方法の提案もします。

 その人個人にあった調理方法を提案し、レシピも作ります。様々な理由で食事に制限がある場合でも、より適した栄養にすることができます。

 

 

 

 「 医療制度の中の薬局の未来を考える」

 厚生労働省の方が参加されていたのですが、もともと感じていた違和感が言語化されてスッキリしました。

 いろいろ感じた疑問は「世間の人たちが考える医療従事者像」とはかけ離れた内容なので話せる場所で話したいと思います。

 

 端的に言えば

・医療従事者は聖人君子でないといけない、自分の生活という概念はどこにもない

・患者さんのために尽くさないといけない

・頭のいい人ほどきれいごとだけで話をしている

です。グレーの思考の部分がほとんどの自分としては医療従事者の発言に対して「何言ってるんだろうか」と思ってしまいました(汗)

 「24時間体制を敷いてほしい」と願っているけれども「何も同じ人が長時間労働してほしいとは言っていない」24時間体制にするには、同じ人が長時間労働になるのは自然の流れではないでしょうか。税金からお金をかけずに働きながら医療を受けられる体制を作って欲しい場合、休みを自由にとって治療ができる世界を目指すべきです。仕事が終わった後や休みの日に受診できるようにすると、一日あたりの診療時間が長くなります。早出と遅出を両方準備する必要があるので、人件費がかかります。1日あたりの営業時間が長い場合は、週40時間労働にするためにはどうしてもシフトの工夫が必要です。(これが人を雇うということです)

 

 グループワークでは在宅療養でありがちな状況を、どのようにして薬剤師が解決に寄与するのかについて話しました。我々のグループでは「理想」を話しました。

 よくあるのは「施設に入居すると医療従事者がみてくれるので家族は安心して自分の暮らしを送れます」という謳い文句で、その施設の入居者全員が今までのかかりつけ医・薬剤師と離れてその施設専属の医療機関・薬局での説明を受ける例。

 医療で気になることがあったとき、入居者ごとに別の連絡先にかけるのは大変なので、全員同じところで契約をするのです。 

 本来は、入居前にかかっていたところが訪問して対応をする、入居した施設が遠方で無理な場合はかかりつけから情報を得て関わるのが筋です。

 そういう方々へ、よりよい在宅療養を提供するには処方の適正化がベターです。医療者との人間関係を良くするには、この人を信頼すれば体にいい影響があるという認識をもたせることです。そのために何ができるか。

 

 医療・介護チームがひとつの大きな目標に向かって、それぞれの知恵と技能を用いて連携し合うのがチーム医療・介護ではないでしょうか。

 

 無理やり終わらせた感じのあるこのまとめ、ご覧下さりありがとうございました。

 

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これは心折れる、しかしこういう人も医療は見捨てないシステムになっている

 

ameblo.jp

  森田先生心折れますわ。

しかし!クロちゃん教育入院をすることに。

ああこれで改心するのか・・・と思ったら退院後即通常の食事をとっている。

(以上、クロちゃんのTwitterやブログより)

これもまたよくある話です。

 

 目先のことしか考えない、楽観的な人がいます。あまり先を読みすぎて前向きになれないとこれまた精神的にダメージを受けて別の病気になる場合があります。先に起こるであろうことをおおよそ予測して、だいたいのところで自制するのが予防の考え方です。勿論、症状や検査結果に異常が出ていないもしくは軽度のうちだととれる方策が多いので予防するに越したことはありません。

 ただ、この手の楽観的な人はちょっとした抑制であっても長時間継続するのが苦手なようです。結果として病気があったして医療がとれる方策が少なくなって、しかも強い抑制が必要なものになってきます。糖尿病の場合は神経が機能を果たさなくなり、指の先など先端部の感覚が麻痺してきます。感染症にも弱くなるので、指先を怪我しても気づかず、最悪の場合指を切断することになります。

 

 しかし、こうした人であっても見捨てずに治療をするシステムになっています。それが日本の保険診療です。

 例えば、使い捨てのコンタクトレンズを決められた期間を超えて使用して目に障害を起こした患者さんでも見捨てません。(最悪見えなくなるので絶対に期間を超えて使用するのは止めましょう。この場合、適正使用していないでコンタクトの救済制度は使えないです)

 多分、生活習慣を改善できずに状態が悪化し、生活習慣の厳しい制限が必要になったり、その頃には腎臓や肝臓の機能が低下していて薬の用量調節が難しくなっても、生活の質をなるべく落とさないように医療従事者は努力するでしょう。

 

 患者さんや家族が、怒りや苦しみ、悲しみを医療従事者にぶつけるのを防ぐため(自分たちの身を守るため)に治療しているんだ、と受け取られるかもしれません。

 たとえ、それが本当だったとしても、やはり、患者さんが回復したり、軽度で済むことを医療社は願っているのです。

 

 

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ぶっちゃけた研究

 先日、このような研究結果が論文化され、世界に向けて発表されました。

 

jech.bmj.com

 健康意識の低い男性に対し健康診断を受けてもらうべく

 パチンコ店にて

 若い女性従業員にセクシーな白衣(通常看護師が着るのとは違う)を着てもらい受付

 

いやー、女性の人権問題を考えると炎上しますねこの研究。

 

 しかし、世の中はきれいごとではすみません。

 

そう、食事の内容について虚偽の報告をして森田医師を疑い深い人間にしてしまったクロちゃんのように。

togetter.com

 彼は、グループで一緒に活動しているHIROが脳出血で倒れて奇跡の復活をしたのを見ても(実際は入院先に行っていない:パチンコを優先したようです)上記の行動をしているのです。食い扶持を失う危機だったにも関わらずこの調子です。

 

 何度栄養指導運動指導をしても生活改善をしない患者さん

(施しようのない状態になったり、生活がかなり制限される状況になって医療従事者に泣きつく患者さんも多くいます。もしくはそのような状態になっても生活を改善しない人もいます)

 

 見通す将来の範囲が極端に短い患者さん

(今生活を改善すれば簡単に治療できると言っているのにそれが出来ない人。先の見通しが長すぎて、節制しすぎて人生が楽しくなくなって却ってストレスになってQOLが非常に下がってしまう人もいるので程度問題と思います)

 

 お薬手帳の持参を何度言っても持ってこない患者さん

 

 医療費の未払いをして、連絡してもつながらない患者さん

 

このような方はたくさんいます。

 そして、このような患者さんに振り回されて疑い深い性格になってしまった医療従事者もたくさんいます。

  日本中(いや世界中)ありふれた光景です。そんなのがありふれてるのもいかがなものですが。

 

 医療従事者の中には、生活改善をしない患者さんに堪忍袋の緒が切れ層になった経験のある方はたくさんいるのではないでしょうか。そこで、このようなぶっちゃけた実験に走ったのではないか思われます。相手の懐に入る。極端な方法なのですが、方向性は間違っていないと考えます。

 なぜなら、「綺麗事ですまない患者は斬って捨てよ」という方針ではないからです。

こうなると、非人道的なことになりますよね。

「綺麗事ですまなくても医療は見捨てない」という方針です。

自分の欲求にストレートに沿った刺激で動く人がいることに目を背けていないのです。

綺麗事でなくても、真正面から見つめる姿勢は大事です。多少生活習慣がゆるくても、人生が楽しめれば結果として長生きするかもしれませんし、死ぬ時に「やることはやった」と後悔しないかもしれません。むしろこれからは後者の気持ちを持って亡くなる事が大事なのではないでしょうか。

 

 今後、研究デザインをもう少しソフトにして折り合いをつける方向になるのでしょう。人間のストレートな感情や欲求に沿ったアプローチが効果的な人がいる。今回の実験は倫理的にちょっとまずいところがあるので、感情的なアプローチはそのままにして改善する必要がある。洗練させなければいけない。実際、論文内にもそのような主旨で書かれています。ぜひともそのような方向に向かってほしいですね。

 

 

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内服の便秘薬の換算表

keisyuke-blogyakkyoku.xyz

で書かれたセンノシド下剤の力価換算表を作ってみました。

 

f:id:miyaq:20180505170411p:plain

 「プルゼニドを粉砕したい」という申し出が合った場合→1錠あたりセンノシド細粒0.15gに変更するよう処方提案

 「ラキソベロンを粉砕したい」という申し出が合った場合→1錠あたりセンノシド細粒0.13gに変更するよう処方提案

(きっちり計量できるので、飲む薬の量が安定するのと、調剤器具の清掃が少し楽になりますね)

 ラキソベロン1錠あたりラキソベロン液は5滴という考え方もできます。

ラキソベロン内用液1本10mlあたりは150滴とされています。

f:id:miyaq:20180505174531p:plain

頓用で出す場合に、ラキソベロン内用液に換算した場合に何本必要か計算する時にどうぞ。

 

pdf化したものを用意しました。

内服下剤換算表201805.pdf - Google ドライブ

 

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ケトプロフェンの光線過敏症はベンゾイル基?

 モーラスに代表される、ケトプロフェン製剤を使用した後に起こる光線過敏症。

他の痛み止めの湿布でも起こるのかという疑問が起こりそうですね。

 
f:id:miyaq:20180503102947j:image

非常に雑に各NSAIDsの構造式を描いてみました。

緑色で囲ってあるのが各化合物に共通すると感じた部分です。

はっきりとした確定はないのですが、ケトプロフェンの構造式の左半分の部分が光線過敏症に関わるという推察があります。

 日焼け止めで過敏症を起こしたことある方はケトプロフェン製剤は使わないようにお願いします。

オキシベンゾン(ちょうどケトプロフェンの左半分の骨格と類似)

KEGG DRUG: オキシベンゾン

オクトクリレン、

オクトクリレン - Wikipedia

が該当成分に当たります。

 

ケトプロフェン製剤を使う場合は、使用終了後4週間は光に当てないか、光に当たらないところだけの使用にしましょう。(使用部位を薬剤師は確認しましょう)

(湿布やテープだけでなく、ローションやゲルでも起こりえます)

 薄手の服だと、光線過敏症を起こすことがあったり、使用終了後4週間語を超えて過敏症を起こす場合もあるので、腰や背中に限定した使用にするのも無難でしょうね。

 過敏症の起こりにくい消炎鎮痛成分に貼付剤にする方法もあります。上の図にあるロキソプロフェンの貼付剤は過敏症を起こしにくいとされています。

 

 

参考

ケトプロフェン外用剤による光線
過敏症に係る安全対策について

http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/276-1.pdf

第一三共の資料(ロキソニン外用剤)

 

 

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緑内障の点眼薬まとめ

 

 

ざっくりとした緑内障という病気の解説

目の中を循環する房水の流れが滞る

→眼球を押す圧が高くなる

→視神経を押す

→視神経の細胞がやられる

→見えづらくなる

 

 日本人の場合、ほとんどの緑内障は一気に見えなくなるもの(閉塞隅角緑内障)ではありません。徐々に視神経がやられて見えにくくなっていきます(開放隅角緑内障)。眼圧が正常なのに視神経が房水が詰まって起こる、眼球全体を押す力についていけなくなる(正常眼圧緑内障)人が多いです。(日本人の緑内障の7割が正常眼圧緑内障と言われています)

 見えにくくなって受診した場合、緑内障としてはかなり進んでいます。そこで、30代になったら一度は眼科を受診するのはどうでしょう。(40歳以上の28人に1人は緑内障とされています)

 この緑内障。効果があるとされているのは「眼圧を下げる」ことです。正常眼圧緑内障でも、なるべく眼圧を下げることが肝心です。

 緑内障の目薬にはどんな物があるでしょう。

1.単独の製剤

緑内障で使われる点眼薬の種類は一気に増えました。

その中には特定の病気の方には使えないものが結構あります。

 

★β遮断薬

 作用:房水産生抑制(とされる:まだ細かくはわからない)

 特定の疾患の方に使えない薬の代表格です。

 1.気管支喘息、又はその既往歴のある患者、気管支痙攣、重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者〔β-受容体遮断による気管支平滑筋収縮作用により、喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。〕

 

2.コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック (II、III度)、心原性ショックのある患者〔β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、これらの症状を増悪させるおそれがある。〕

(チモプトール点眼液添付文書より)

 

 どんな薬がある?

 成分:チモロールマレイン酸塩

    チモプトール点眼液(先発)

    後発医薬品は多々あります。

    1日1回の点眼で効果が出る製剤もあります。(チモプトールXE、リズモ

    ンTG)

 成分:カルテオロール塩酸塩

    ミケラン点眼液(先発) 後発もあり 飲み薬は高血圧や、頻脈の治療に使われます。

    1日1回の点眼で効果の出る製剤もあります。(ミケランLA)

 

 成分:ベタキソロール塩酸塩

    ベトプティック点眼液(先発) 後発もあり 飲み薬は高血圧や、頻脈の治療に使われます(商品名ケルロング)。

 こちらは、β遮断作用がβ1受容体に限定されているので、気管支喘息の方には使用できますが、喘息の状態が悪くなる可能性はあります(心臓に関しても、コントロール不良の心不全以外の方には有益性が危険性を上回る場合に使用できます。)

 

★α1遮断薬

 房水の排出促進をします。

 成分名:ブナゾシン塩酸塩

 デタントール点眼液(先発) 後発医薬品はなし 内服はあり(デタントール錠)

 他の緑内障点眼で十分な効果が得られない場合の使用を検討となっております。

 

★α2作動薬

房水の産生抑制、輩出促進療法を行います。

成分名:ブリモニジン酒石酸塩

アイファガン点眼液 後発医薬品はなし 

他の緑内障点眼で十分な効果が得られない場合の使用を検討となっております。

 

★αβ遮断薬

 α受容体もβ受容体も遮断します。よって、β遮断薬が使えない人には使えません。

 房水の排出促進(α遮断薬)と房水の産生抑制(β遮断薬)の作用を持ちます。

 

成分:ニプラジロール

  ハイパジールコーワ、ニプラノール 後発あり

  飲み薬もあります(ハイパジールコーワ錠)

 

成分:レボブノロール塩酸塩

   商品名:ミロル点眼液(先発) 後発もあり

 

★副交感神経刺激薬

 房水流出を促進します。

 成分名:ピロカルピン塩酸塩

 商品名:サンピロ

縮瞳するので、暗いところに行く場合は見えにくくなりますし、網膜剥離の恐れもあります。

★交感神経遮断薬

 房水流出を促進します。

 成分名:ジピベフリン塩酸塩

 商品名:ピバレフリン

 閉塞隅角緑内障の方には使えません。(開放隅角緑内障と診断された後に使用)

 

抗コリンエステラーゼ薬

 成分名:ジスチグミン臭化物

 商品名:ウブレチド 後発品あり、内服あり。

 

★炭酸脱水酵素阻害薬

 β遮断薬とは異なるしくみで房水の産生を防ぎます。

 こちらは、成分が腎臓で排泄されるため、重い腎障害の方には使えません。

 成分名:ブリンゾラミド

 商品名:エイゾプト 後発品発売予定

 成分名:ドルゾラミド塩酸塩
 商品名:トルソプト

こちらも、他の点眼薬で効果が不十分な場合に使用とあります。

 

★プロスタグランジン誘導体

 房水排出を促進します。

 別にかかっている病気に関係なく使用できるのが長所です。

 

 成分名:イソプロピルウノプロストン

 商品名:レスキュラ(後発品あり)

 成分名:ラタノプロスト

 商品名:キサラタン(後発品あり)

 成分名:トラボプロスト

 商品名:トラバタンズ(後発品発売予定)

 成分名:タフルプロスト

 商品名:タプロス(後発品なし)

 成分名:ビマトプロスト

 商品名:ルミガン(後発品なし)

 

 かかっている疾患に関係なく使えるのが特徴で、効果も高いのですが、

 使用当初はほぼ確実にしみる 充血する 点眼後はまぶたを拭かないとまぶたに黒いシミがつく など、夜お風呂にはいる前に使うことを推奨される薬です。

 「まつげが伸びる」と美容目的で使用しようとしていた人もいるぐらいです。(ビマトプロストのマスカラ状製剤であるグラッシュビスタ(保険は効きません)はまつげを増やす、延ばすべく美容目的で使うところもありますが、本来は、病気などでまつげが少なくて目が乾く人向けのものです)

 

★ROCK阻害薬

  房水流出を促進する

 成分名:リパスジル塩酸塩水和物

 商品名:グラナテック(後発品なし)

 β遮断薬、プロスタグランジン製剤を使用して効果が十分でなかった場合の使用  

 

 

2.配合剤

2種類の点眼薬を配合したものもたくさんあります。

メリットは、「さす回数を減らせて、さし忘れが少なくなる」「添加物を使用する量が少なくなる」です。

配合剤をまとめたもの

f:id:miyaq:20180430102338p:plain

 pdf化したものを用意しました。

緑内障点眼剤まとめ201805.pdf - Google ドライブ

 

 

 

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