「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ(27)「乱立するQRコード決済と薬局の類似点」

今回は薬局新聞2019年11月20日発行号の薬剤師フィールドリサーチの記事を掲載します。

 

 最近、いろいろな企業が独自規格のQRコード決済を発表しています。中には、セキュリティで大きな問題を起こして短期間でサービスを停止してしまったものもあります。

 そこには、利用者側の利便性を考慮しているようにはみえないのです。QRコード決済で囲い込みを行ったり、システムで覇権を争い利益を得ようという企業の利益しか見えてきません。

 ポイントカードでも同様のことがあり、財布の中がポイントカードでいっぱいになった人も多いでしょう。囲い込もうと思っても、消費者はその場の便利さや価格で店を選ぶため、予想ほど囲い込み効果がないのも現状です。企業も気づいたのか、ポイントサービスの相互乗り入れを始めたところもあります。

 これって薬局でも似たようなことがありませんか?

 それぞれの企業が業界内での取り込みを狙った結果、顧客のことが視野の外にむかっていませんか?

 各企業の経営陣のやりたいようにしようとした結果、薬局そのものが消費者からそっぽを向かれてしまうなんてことがないよう、今一度顧客の方を向く原点に立ち返る必要があるのではないでしょうか。

 

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薬剤師フィールドセミナー(26)「学会におけるランチョンセミナー」

今回は薬局新聞11/6発行号の記事を掲載します。

 

「学会や研修会で企業協賛で弁当を出すことに対する賛否」について時々SNSでは話題に上ります。薬剤師だけではなく、医師の間でも話題になります。

「学会の豪華な弁当がもとで提供してくれた企業の薬の処方が増えた」という意見もあります。(米国での調査結果論文は「Pharmaceutical Industry-Sponsored Meals and Physician Prescribing Patterns for Medicare Beneficiaries.」(PMID: 27322350)

実際にランチョンセミナーを廃止し、事前にランチボックスを購入できるようにしたり、ケータリングで対応する学会も出現しています(日本プライマリ・ケア連合学術大会など)

事前購入できるようにして、食べる時間を設定すればランチョンセミナーなしでもやっていけるように思われます。日本薬剤師会学術大会のように、10000人規模で参加する大会の場合はどう運営するのでしょうか。課題を以下に挙げます。

  1. 参加者数が膨大で、その地域の飲食店では対応しきれない
  2. そもそも会場が市街地より遠いので、昼食の休憩時間が長めに必要になる
  3. これだけ多くの人が一同に食事を摂る場合、ごみ処理の問題もある

 

これらを解決する落とし所はどうだろう?と考えたら、大会の事前申し込みと同時に弁当を申し込み(当日販売も一部あり)、一定の時間に一定の場所で食べてもらう・・ついでに研修も・・・って有料のランチョンセミナーでしょうか。

 

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自分だったらこんなふうに一包化調剤を解説する【ただし長くなる】

 

 ある薬局の一包化についての説明に関して、非常に分かりづらい

(正確さを期するあまり、情報量が多くなってしまった)POPになってしまった話です。現在はそのようなPOPを使用していません。

 

 それはわかりづらい。

 元POP描き職人兼元物書き(現ブロガー)の私だったらこうするかなー。

 店舗内POP広告+説明チラシの合わせ技。

 

1.POP広告

 「薬が多くてわけわからん!」

という見出しとともに一包化や薬の数量の調整(残薬が多すぎる場合もある)について、薬剤師に相談するように惹きつける。

 ざっくりといえばこんな感じ


f:id:miyaq:20180812095450j:image

 

「一包化」

・一度に飲む薬が多くてわけがわからない

・デイサービスやショートステイに行く時に一包化してほしいと言われた

 →同時に飲む薬をおまとめします!

 

一包化でできることはそれだけではありません!

 薬の包装に印字する内容は選べます!

 飲む人の名前(ショートステイやデイサービスに行く場合は必要です。)

 飲む時間

 薬の効果によって、同時に飲む薬だけど別にすることもできます!

 (食事量や排便状況によって調節するので便秘薬や糖尿の薬は別にしてほしいなど)

 飲む日付も記載できます!(日によって飲む薬が変わる人には効果的です)

 

他の医療機関でもらった薬をまとめることができます

(ただし、病院にかかる日の関係で別々に袋に入れて、ホッチキスでまとめる場合があります。正確さを期すためですのでご了承ください)

 

ただし・・・

 薬をまとめること

 まとめられた薬が間違っていないか確認すること

に少々お時間をいただきます。(できれば翌日以降のぶんまで薬をストックしておくことをおすすめします)

 

こんな感じのことを説明ビラに書きます。(説明ビラを薬局店頭に貼付)

 

「残薬調整」

ご自宅にある、余った薬をご持参ください。医療機関や薬局でもらった袋に入っている場合はそのままの状態で持ってきてください。

 

薬剤師が数を確認します。(薬の放送がばらばらになっている場合は数えるのに時間がかかるのでお時間をいただきます)

薬剤師が医療機関に相談する場合と、患者さん自身で余っている数を報告する方法があります。

 どういう時に薬を飲み忘れやすいか

 体調はどうか

についても確認いたします。

 (例えば昼のみ飲み忘れやすい場合は、昼に薬を飲まないでいいように調整します)

 

 説明ビラをもって説明しつつ、このことは患者さんに伝えます。

「薬を飲んでいないからといって、先生が怒ることはまずありません」

(あるかもしれなくても)

  

 

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薬剤師フィールドリサーチ(25)「学会や研修会に参加できない人のためにできること」

今回は薬局新聞2019/10/30発行の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

学会や研修会に行くと、おなじみの顔と相対することがよくあります。私、あまり社交的とは言えない上に人の顔を覚えられないので、名前は存じ上げないですが見知った顔だと認識します。しかし、勇気がないので声をかけられないのです。そのうえ、気の利いたことも喋れないので存在を隠してしまいます。

 

 これも、学会に行ける条件が揃った人が少ないのが現状なのでしょう。

  1. 業務;居宅など24時間365日対応していると行きづらい、一人薬剤師など業務を分担できる人がいないので休めない。
  2. 距離:開催まで行くのに遠い、もしくは飛行機のチケットが取れなかった
  3. 金銭:奨学金や子供の教育費、ローンなどで家計が厳しい
  4. 家庭:家族の用事で空いた時間を見つけるのすら難しい、予定が立たない

(宿泊を伴う場合、数ヶ月前から予約する必要がある)

 

 となれば、参加者も似たようなメンバーになりがちです。しかし、参加できないからといって、やる気がないわけではありません。こういった制約の多い人にも参加の敷居を下げる方法があればいいなと思っています。

 

 一つの手段としては、薬剤師の中にはブログやSNSで情報発信をしている方が見られますので、その方々のサイトやSNSを閲覧する方法があります。書籍もそうですね。

 当連載では、そのような方々や現場ではたらく人の取り組みをもっと紹介できればいいと考えています。

 

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機械にできることは機械にある程度任せよう→任せないといけないほどの人手不足

 

bunshun.jp

 これからの時代、人手不足がで採用しようにも人が来ないことがどこでも起こってきます。不景気だから人が雇えない、とは別の問題です。

 「若くてテキパキ動く人を雇いたい」と思っても、すでに雇えない状況になっています。

平成30年10月1日現在の日本人の年齢別人口によると

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2018np/index.html

25歳(平成4-5年:1992-1993年 生まれ)の総人口が122.4万人(日本人人口で115.9万人)

第二次ベビーブーム世代の一番多いところ

45歳(昭和47-48年:1972-1973年 生まれ)の総人口が202.5万人(日本人人口で199.3万人)

この間の年代の年齢別人口は年々減少の一途で

40歳 168.1万人

35歳 149.3万人

30歳 131.5万人

もちろん、年齢が小さくなると更に少なくなってきます。

となると、

若い人の時給と労働条件を上げるか

優秀な高齢者を働ける期間は雇うか

しかありません。

 しかも、最初の記事にあるとおり、指示をしっかり理解できない人も年令問わず少なからずいる状態です。(教育をすればできるという考えもありますが、能力や適性の限界なのではないかと思っています)

 

 

それだけではありません。

1.できるところは機械に任せる

2.機械と人間の共存共栄を図る

3.作業者の自己満足となっている作業を減らす

 

機械に任せることのメリット

1.記録が残る

2.理論上は誰が操作しても結果が同じ(運用すると人間よりもエラーが出る作業工程もある)

3.安心して任せられる機械の場合、人間は他の作業ができる

 

です。

 

 調剤の機械に関しては、かなり任せられるものもあります。課題は、設定を行うのが人間であること。ここの設定を間違えるとかえって手間が増えます。

例えば、錠剤の自動分包機を導入することで、一包化にかかる時間はかなり短縮されました。鑑査を行う機械も出てきていますが、改良する点は非常に多いです。設定に配慮が必要です。

 そして、患者の観察をする、空いた時間を落ち着いて判断をしたり、個々の患者に対する配慮の方法を考えるの時間に充てるのがよいのではないでしょうか。配慮するというのは人間が長けている分野です。新たな作業を入れるのは、考える時間も作業の質が高くならないので薬剤師が介在する価値を認められないのではないでしょうか。(最初の記事を持ち出すと、そもそも高い価値を理解できない人が多い可能性がありますが、

「患者が簡単に実行できて効果が明らか」方法を生み出せば、そこに勝機があるかもしれません。理解できる価値基準が「安い」「簡単」「早い」しかない方もいます。)

 

 個人的には機械導入の最大のメリットは「記録」です。ドライブレコーダーが最たるものです。証拠を残されることで、故意のあおり運転は激減されます。悪意を持った行動ができなくなることで、自分を組織を守れます。

 診察や服薬指導を全部記録するとなったら、嫌われたくないがゆえに本当のことを言わないというマイナス面が出ると思われますが、調剤した物の数などの記録が自動的に行われることは大きな安心を与えるでしょう。

 

 

  

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薬剤師フィールドリサーチ(24)「似たような趣旨の学会が多すぎる」

この業界、学術大会、学会、研修会と名のつくものがたくさんあります。大規模の大会となると、連休にしか行えないこともあって、複数の研修会・学会・学術大会の日程が重なることも近年では珍しくなくなってきました。

 

 確かに自己研鑽を積む機会が増えるのは悪いことではありません。しかし、似たような趣旨のものが多くありませんか?そして、演者として登場されている方も似ているような印象を受けます。

 

 すると、研修会ごとの差別化が図りにくくなってきます。統合したらいいんじゃないかと思われる学会があるのも否定しません。演題が集まらず、締切を延長するものもあります。

 

 しかし、似たような学会が複数あることは必ずしも悪いことではありません。業務や家庭の都合、開催地との距離の関係で参加できないものがあっても、他方の学会に参加できるという選択肢も生まれます。また、同じ施設に所属している複数の人間が双方の学会に参加すればお互いの学んだものを持ち帰ることができ、施設全体のレベルアップが図れます。

 

 最近は若手の参加も増えて、裾野が広がってきた印象があります。それにしても、似たような趣旨の学会や研修会が多い印象があるので、差別化を図ってほしいと願っています。

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(23)薬歴フェス水さんインタビュー「今後の展望について」

「薬歴フェス」について、水 八寿裕さん(薬歴フェス2019実行委員会事務局

株式会社実務薬学総合研究所)へのインタビューは今回で最終回です。今回は、「薬歴フェス」について、今後の展望をお伺いしました。

 

 

-今後、同様の企画を行う予定はありますか?

 

水さん「本来であればセッションの最後に「薬歴宣言2019」みたいなアドバルーンを上げてもよかったとおもいますが、まずはどのぐらいの人が興味を持って参加してもらえるか?一般の人にもその価値を分かってもらえるか?などの疑問点をクリアしてから次の企画を練っていきたいと思います。」

 

-今後の薬歴に関する企画が楽しみです。首を長くしてお待ちしております。今回所用で参加できなかったのが残念でした。

 

水さん、4回に渡りありがとうございました!

 

当日の会場の様子はパネルティスカッションにご登場された吉田智美さん(Health Communication Facilitator ®)のブログもご覧ください。

tomocya-tomocya.blogspot.com

 

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