午前中のスーパーに行けばわかるが、高齢者ばかりである。
通路の途中で急に止まる。何かを探したり考え込んだりでしばらく動かない。
歩行補助器を使用しているので他の買い物客に合わせて作られた通路では狭いのだ。
他の人の動きに対応できる能力が低下しているので、高齢者の前後で急に向きを
変えたり無理な歩行をすると高齢者が転倒して寝たきりになるなど大変なことになる。
彼らはまだ「要介護」の段階ではない(もしくは介護保険の申請をしていない)可能性が
十分ある。体力が低下した段階で、ゆっくり考えれば買い物を完遂できるのだ。
しかし、彼ら高齢者も体が弱っていって、いずれは誰かの介助を受けて買物をする
ようになり、買い物自体ができなくなっていく。
そこで、今までの生活習慣を変えることなく、通所施設に通いつつ買い物をする。
弱った自分を周囲に悟られるのが嫌な高齢者には願ったり叶ったりだ。
職員の方も、買い物介助の時間が短縮される(店までの移動がないので)
最近のスーパーにはベンチが設置されるところが増えてきた。一時期は不良中高生の
たまり場になってベンチを撤去する動きが目立ったのだが、少子化で不良中高生の数も
減ってきたのと中高生がスーパーに集まらなくなった代わりに高齢者が増えてきた。
彼らは仲の良い者同士で適度な距離感を持ちながら自分の都合のいい時間にいつもの
場所に集まり世間話をして去っていく。中には家族が朝店におろして夕方に連れて帰るという
広大な通所施設扱いされているスーパーもある。
スーパーの方も最初は迷惑がっていたが、不良中高生と違い一応何かは買ってくれるので
言い出しにくい状況だった。
しかし、スーパーも大変だ。インフラ化していくことを選ぶと、採算が取れなくても
急に閉店をすることができないのだから。