「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬を見て、対象となりそうな患者を想像する 

経口GLP-1作動薬「リベルサス」が承認されました。
一部からは画期的な薬と言われていますが、個人的には「使いづらい」という認識です。

用法がこちら↓

本剤の吸収は胃の内容物により低下することから、本剤は、1日のうちの最初の食事又は飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分の水(約120mL以下)とともに3mg錠、7mg錠又は14mg錠を1錠服用すること。また、服用時及び服用後少なくとも30分は、飲食及び他の薬剤の経口摂取を避けること。

他の薬や飲食物と影響して吸収が明らかに落ちるので、このような飲み方になっています。しかも一緒に飲む水の量まで規定があります。(絶食後2時間あいていれば。水の量が120ml以下なら影響を受けないと考えたと思われます。製剤及び薬効の性質上、全く水無しで飲める薬にはなっていませんので食道に付着して潰瘍を作らない程度の水分で飲んで欲しいと言ったところでしょう。

しかも、14mgで飲む場合も7mg2錠で飲むことすら吸収に影響があるのでやめてくださいとのこと。

さて、このように面倒な飲み方の薬、どのような人に向いているのでしょう。

リベルサス錠の適応は「2型糖尿病」。この疾患、結構薬を継続して飲める人の少ない病気です。(生活習慣の乱れによって発症する方も多いです)しかし、生活習慣もきっちりしているし特に太ってもないのに糖尿病になる体質の方もいます。そういう方では、生活習慣の節制を相当なレベルで行わなっても効果が出にくいため、薬物療法にシフトします。患者さんも自分に落ち度があったか気にします。こういう方の場合、生活習慣自体はしっかりしていますので服用に適していると言えます。
 しかし、得てして痩せ型の女性の方が多く、同時に骨粗鬆症になる方もいらっしゃいます。骨粗鬆症の薬ビスホスホネート系薬剤は「起床時に180mlの水で飲み、30分は飲食しない、横にならない」とリベルサス錠と服用時間が丸かぶりになります。骨粗鬆症の方で他の薬剤が選択肢になります。もしくは、リベルサス錠の代わりにすでに出ている自己注射剤を使用することも選択肢に入ります。

上記のように、薬の特性を見てどんな人に出るのかイメージすることが大事です。
どんな生活習慣なのか想像すると、薬をより有効に使える方法をイメージできるようになります。



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