「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

門前薬局の利点

 医療業界内ではよく言われる「門前薬局不要論」しかし、医薬品供給の効率化という点ではいい役割を果たしているのではないでしょうか。

 

 通常、医療用医薬品は100錠とか500錠、1000場といった包装単位で入ってきます。その箱から処方箋に書かれている量(処方箋により使われる量がバラバラ)を取り出して患者さんにお渡しします。

 例えばマグミット錠330mgの場合1回日服用量が1錠から6錠までバラバラです。

 そのうえ、処方日数もバラバラです。一度に使われる量がバラバラです。

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添付文書の記載

 

〈制酸剤として使用する場合〉
酸化マグネシウムとして、通常成人1日0.5~1.0gを数回に分割経口投与する。

〈緩下剤として使用する場合〉
酸化マグネシウムとして、通常成人1日2gを食前又は食後の3回に分割経口投与するか、又は就寝前に1回投与する。

〈尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防に使用する場合〉
酸化マグネシウムとして、通常成人1日0.2~0.6gを多量の水とともに経口投与する。

なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。

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 しかも、箱から開けた場合はメーカーが起こした回収でない限りは返却できません。100条入りの包装を買って、4錠使いました。それ以降、有効期限切れまで使われることはありませんでした。この時点で仕入れた薬局は大赤字を背負います。このまま薬局で有効期限切れまで眠るので、「あるところにはあるけど、ないところにはない」「流通はしているが、全部は使い切れていない」状態になります。

 

 そのリスクを避けるために、近隣の薬局から小分けしてもらったり、チェーン薬局では支店間の譲受を行っています。

 

 医薬品卸やメーカーは納入した薬がどれだけ使われるかについての情報は持っていませんし、その情報がなくても売上に影響しないので問題ないことが多いです、

 

 先日、医師会の調査で「院内処方の医療機関の9割で処方したい薬が入ってこない」とありましたが、薬局だともっと入ってこないと考えて良いでしょう。

 院内処方の場合、自分で発注しては入荷するか否かの連絡が直接届きます、入ってこないようなら、他人からの報告を待つでなく医師の脳内で代替が決まる(妥当な処方かは別として、医師の責任での処方になる)ので、不足しても問題が表面化しにくいです。

 

 薬局の片隅で眠り、使われない薬があります。そんな薬を出さない確率が高いのは門前薬局と言えるでしょう。

 

 同じ医師の処方する薬を集中して受け入れれば、どの薬がどれだけ使われるのか予測しやすいですし、ロスも少なくなりがちです。また、処方する医師との関係性が良ければ、在庫状況を知らせることで、在庫の多そうな同種同効薬への処方変更も円滑です。

 

 

 薬局の方も、最初は門前薬局として安定した収益を上げてそこに来た患者さんの信頼を得られれば、その患者さんが他の医療機関の処方箋を持ってきます。その地域の人が処方箋を持ってきます。長期的に見て処方箋の集中率が低くなっていっていわゆる地域薬局になっていくのではないでしょうか。

 そのためには物販や近隣への配達、地域活動への参画など色々道はあります。

 

 

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