今回は2023/11/8発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。
よく言われる「門前薬局は医薬分業の理念に則っていない」などといった門前薬局悪者論ですが、医薬品供給が不安定になっている昨今では、医薬品の安定供給に役立っているようにも思えます。
ご存知の通り、医薬品卸やメーカーは誰に薬が処方されたのか知ることはできません。(何人に処方されたのか、医薬分業であるならどの医師が処方したのかも知ることができないことがほとんどです。)いくつ発注があったというデータのみでメーカーは生産、卸は分配を行うことになります。
門前薬局があると、ある特定の薬が集中して調剤されます。調剤したら必然的に医薬品卸に発注するので、発注頻度と発注量から「ここの薬局に多めに仕分ければデッドストックが起こらず多くの患者さんに効率的に薬を届けられる」と医薬品卸は判断できます。これが、門前薬局がないと、各薬局が小包装品をバラバラに発注し、中身を全部使い切ることなく保管することになります。各薬局で融通し合えば期限切れは防げる可能性が高くなりますが、使われずに有効期限を迎える薬は今より多くなるでしょう。また、医薬品卸による分配業務の手間が格段に煩雑になっていたでしょう。
処方する薬の標準化を進めて、医薬品の種類を減らしていくことで医療費の効率化は可能でしょう。医師の処方の自由に触れる、製薬企業の利益という問題になりそうです。そうであっても、既存の薬と作用機序/代謝/効果に大きな差がないのに発売されている医薬品を整理すれば、医薬品供給不安定は少し解決に近づくと思います。その整理された医薬品に相応の薬科をつける。ただし、薬価差益はなるべく小さくすることも必要と考えます。
医師とのコミュニケーションの密度だけでなく、医薬品供給の上でも、門前薬局のやってきたことは評価してもいいのではないでしょうか。
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