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「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ

残薬の深い闇

 

 

www.nhk.or.jp

 

 今、飲み忘れなどで起こる残薬をどう減らすかについて話題になっています。

 

  これが何を意味するかといえば、「治療の前提条件が崩れる」ということです。本人が意識不明で救急に運ばれた場合、お薬手帳などの情報を参照するのですが、これが意味を成さなくなります。また、医師の診断の一手が効果をなさない場合もあります。

 

 飲み忘れの薬は本来「その時に飲むべきだった薬を飲んでいない」ものです。その時行うべきだった治療が何らかの理由で行われていない。その障壁になっている「もの」

 

を取り除く(犯人探しではありませんよ!)が必要です。

 

 残薬の有無について相談する相手は医療従事者介護従事者いずれでも構いません。ただし、原因によっては医師の方が得意な事柄と薬剤師の方が得意な事柄があります。 

 

 

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 例えば「昼間は外出する事が多いのでつい飲み忘れる」のが原因だと、昼間に薬を飲まなくていいように処方自体を工夫するのが最も効果的だと考えます。認知症の方で薬を飲んだかどうか忘れる場合は、なるべく家族やヘルパーのいる時間帯に薬をのむように処方自体を工夫することで解決する場合があります。処方自体を工夫する最終決定権を持つのは医師です。

 

 調剤方法や薬の配置の工夫で解決する場合があります。この場合は薬剤師の方が得意です。一包化調剤した方がいい場合、薬を見える場所に配置する場合など様々です。

 

 処方の内容を工夫したり、一包化の指示を出すのは医師です。薬剤師から提案すると薬剤師が持つノウハウから適したものを選んで伝えることができるので、他のスタッフが伝えるよりも確実性は高いと考えられます。

 

 また、副作用が元で飲んでいない場合は「心配している副作用」と「効果」のバランスを考慮して対策を練る必要があります。該当する副作用の出ない(出にくい)薬に変更する、薬物治療以外でより確実な方法を検討する、その薬の副作用が出ても対処できるよう薬を追加するなどさまざまです。副作用に耐えながら治療を続けるしかない場合もあります。

 この場合は医師と薬剤師両方の協力があるといいです。(薬剤師の能力によるのが問題)

 

治療をして起こりうる利益 と 不利益

治療をしないで起こりうる利益 と 不利益

のバランスを取って

実現可能な最善の到達点を目指すのが治療です。

 

 障壁となっている事柄を取り除いていっても改善しない場合、患者の気持ちや心構えという部分が本質になっていくと考えられます。先に支障となっている事柄を解決していくことで、患者は「この医療者は自分のために親身になってくれている。」と感じて信頼関係が生まれてきます。そうすると、患者の側から内なる行動変容が生まれてきます。それでもって、薬を飲むようになる場合があります。(ただし、この場合は先に「これだけ飲めてなかった。これからは飲む」旨医師に伝えたほうが安全です。今まで飲んでいなかったものを飲むのですから、危険な事態が起こりえます。その事態に対する対処法と予防法を聞いておきましょう。)

 

 こういう事例もありました。友達に「ここの先生いいわよ」と誘われて一緒に行っている病院があるが、そこの薬は飲んでいないと。受診自体は友人との仲を壊さないためなので特段治療しようという意思はない。見かけの人間関係(友人と自分、自分と医師)を円滑にするために、「本音を話さない」処世術を使っています。「真面目な患者と思われたほうがいいと思って」でも「自分のしたくないことはしたくない」それは決して真面目な患者ではありません。優秀でなくてもいいのです。嘘がない方がより良い暮らしができるのです。しかし、その人は「人に表面上嫌われないこと」を第一に生きています。この場合の解決の方法は難しいです。正直であるほうが嫌われないことだと担当する医師が示さねばなりません。

 

 なお、残薬は医療の根底を覆すだけではありません。他の人が死はらったぜいきんや保険料を捨てているのです・・・。

 

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