「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

遠隔診療は果たして対面より優れているのか?

遠隔診療に対する話題がある。 

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遠隔診療でも直接対面で診察する場合でも治療効果に差はないという発表があった。

 

 そうなれば、病院に行くのが面倒な人は遠隔診療を選ぶであろう。自宅だと、待合で並んでいる間に他のことができる。

 素人レベルでも想像つく問題点を考えた。

1.診療時間は通常の外来患者と同じ?

 1-1 待合室で待っている人は、誰も診察室にいないのに、なかなか呼ばれないので延々待たされている気持ちになりはしないか?

 1-2 かといって、24時間対応できるとなったら開業医の体が持たないのでは?

2.自分の都合の悪いことを医師が言ったら、患者側はスピーカーの音を切ることで聞かなくていいことになりはしないか?

 2-1.言った言わないの齟齬が生まれるのではないか?

3.患者の認知機能低下などで、遠隔診療に必要な機械の操作ができなくなり受診できなくなった場合の判断はどうする?

 3-1.対面の受診に切り替えるための医療機関同士のネットワークが必要だが、医療機関側ができても独居の場合など患者本人が動かない場合はどうする?

4.診察の途中で、その場で検査など、患者に直接触れる必要が出てきた場合の対処はどう行なう?患者が医師の言うことを聞かないで逃げることもできるけれど。

 

 医療側が患者宅に赴いて治療をする方法もあるけど、これは明らかに受診が困難な人(移動できない)のみ対象であるべき。ただ単に「行くのが面倒くさい」人の場合、医療側が移動するのでその間の交通費と手数料(できれば高額)は徴収してもいいと考える。移動している時間に他の患者さんを診察できる。(現行でも交通費は徴収OK)

 

 個人の私見です。

☆賛成する遠隔診療

過疎地における治療(専門医がいないなど。その土地の医師が、専門医に意見を仰ぐ医師同士の遠隔治療も含む。希少疾患の方で、専門医まで遠い場合も含む)

在宅療養の方の経過観察(バイタルサインや起床、食事などの生活のリズムの見守りなど。独居の方に効果的。また、在宅療養の方の家族の診察も同時にできる)

 

★反対する遠隔診療

仕事が忙しく、受診できない人向けの遠隔診療(通院が理由で会社を休めなくなる。本来はどんな理由であっても会社を休みたい時に休めるようになるべきだが、そのようなことになっていないため。通院後心身を休ませることも治療である場合もある)

 人からの評価を気にしすぎる人の場合、周囲の人、特に会社の上司が遠隔治療を受けていると「病院に行くぐらいでは休めないんだ」と過剰な反応をしてしまいがち。通院と休息がセットになっている治療の場合は休んでいいし、通院にかこつけて心身を休ませることも必要だし、それを選ぶ自由もある。むしろ、「休む」ことが治療であることが主流になっていない現状なので強制的にでも休ませるべき方向に向かって休むことを選べるようになるまではこの手の遠隔治療はするべきではない。 

 これは担当する医師にとっても、いつでも診られる=医師も休めなくなることになるため休める時間を強制的に作るためにもこういう趣旨の遠隔医療はすすめてはいけない。

 周囲に対し、仕事を休まないことありきの遠隔治療は反対。

「病院の待合室に行くと他の疾患になるかもしれない」「病院まで連れて行くのが面倒」という理由での遠隔診療(小児科にありがち)

 

人と対面するのがつらいという方の遠隔診療は難しい。治療の段階によって、少数の気の置けない人との対面で慣らす段階と、多くの人と接することができるようにする段階があるから。気を遣わないでいい人とだけ接したいというのは誰もがそう思うことだけれども。気を使わないでいい暮らしを送るのが最終目標ではなく、適切な距離のとり方をあまり意識することなくできるようになることが目標のような気がする。

 

 診察室に行かないことで、普段の状態を把握しやすくなる場合もある。

 

 

 

  

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