「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

むしろ医療者がコミュニケーションを学習したほうが早い

 

 

 このコロナ禍では、SNSで医療従事者に対し「なんでお前らのいう事聞かなあかんのや」といった趣旨の、医療従事者なら時折聞くことのできる発言をSNSでする人が顕在化された印象でした。もとより、人は他人のいうことを聞くのは苦手な性質があるようで、それを訓練して我慢しているに過ぎないです。


 正確な情報を淡々と伝えるアカウントはぎょうさんおりましたが、上記のような批判に冷静でいられなくなっていたも事実でした。

 

 淡々と伝えるやり方は、多くの人の気持ちを必要以上に刺激せず、大部分の人が正しい感染対策をする有効な方法だったと認識しています。いくらワイドショーやら何やらが文句を行っても、淡々と話す人の方に支持が集まりました。これは、刺激をしないことにやすらぎや安心感を覚えたのが理由に思います。

 メディアが情報を提供するやり方は、むしろその逆で、心にザラッとした引っ掛かりと作って、記事を見せる方法でした。長年その方法で成功してきたのでしょう。今回も成功すると思ったら、そうではなかったようです。もともと穏やかなのが好きな人が大多数の上、コロナ禍で心がざわついているのに疲れてしまった日本人には逆効果だったようです。結果、多くの人が専門家の言うことを聞いています。

 

 しかし、共感を全面に出したり、気持ちを浅い優先にしないと話し合いの土俵に建てない相手もいます。通常なら、そういう人を放置しても感染対策はできるのですが、今回のウイルスを抑えるには、気持ち優先の人を無視するわけにはいきませんでした。彼らが自分の気持ちを前面に出して、感染リスクの高い行動をしただけで、感染者数が増え、病床が埋まってしまうほどの感染力だったからです。しかも、まだまだ何処ででもできるような治療法になっていません。(インフルエンザのように、サイトカインストームによる重篤な状態や二次感染による肺炎にならない限り、自宅療養で、診療所で対応できるわけではない)

 

 そこで、尾身先生や忽那先生のような「気持ちはわかる、たしかにしんどい」を前面に言葉にする人の存在が貴重です。我ら医療従事者はどうしても正確さを前面にしすぎて、反抗するものに対し強くあたってしまいます。それで、一部の国民の反発を呼びます。

 非常に慎重な言葉の使い方をしていっている医療者も少なくないです。しかし、SNS上ではその数が足りない印象を受けます。情報を伝えるアカウントと同じぐらいいてもいいのではないかと思うこともあります。

 

 しかし、医療従事者はいい線いっていると思います。伝え方だけ学べば、正確な情報提供を届けられる範囲が広がるポテンシャルをもっています。伝え方習得する、というのに根拠のない知識を持って金儲けに走る医療者の得意技を奪ってしまう効果的なやり方です。コミュニュケーションや共感が、知識が不足している悪徳医療者の逃げ道のように思われているのか、まずは正確な知識の勉強に走る気持ちもわからないではありません。しかし、患者に伝わってこそ医療なので、そこは伝え方を学んで根拠のある治療に向かうよう患者さんの背中を押してはどうでしょうか。

 

 そのときに障壁となるのが医師法・歯科医師法・薬剤師法の第一条にある言葉「掌る」ではないでしょうか。

 

 薬剤師法では「つかさどる」とひらがななので「支配してやる!」といった印象は軽減されているのですが、医師の中には「医療至上主義で何が悪い!黙って言うことを聞いておけ!」という態度が出てしまっている人も少なからずいます。(こういう人に限って、他の分野での専門家の言うことは聞けない傾向に。まずは、自分で情報を吟味し、自分が納得すれば言うことを聞く感じです。特に医師に多いように思うのは、他の専門家の言うこともある程度理解できる頭脳をもっているからに思います。)

 

医師がパターナリズムに陥りやすいのも、

 他の専門のことも自分で解析できるほどの頭脳をもっている

 そもそも医師法第一女に則った行動をしている(一般の人は理解できないから、自分が導かないといけないという使命感)

 治療で介入しているうちに、支配欲に取り憑かれてしまった

と思われます。

 

 「掌る」のは手段であって、本来求めないといけないのは「公衆衛生の向上」なので、コミュニケーション技法を習得して、それぞれの人にあった伝え方をするのがベターに思います。

 

 

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