「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

医療従事者の数に余裕をもたせられなかったのか、について

 ここ最近の医療従事者不足に関するツイートです。

 

 医療従事者・設備の不足って平時には見えづらいです。 

 

 

 

 

 

 消防士や自衛官は出動がなければ訓練や整備、人材育成という準備を業務としています。火事が起こっていないのに呼ぼだされることはありません。訓練を通してより安全に動く方法を自ら座学で研究し、シミュレーションをして実際に練習する。そこまでが仕事です。

 しかし、医療従事者は業務中に訓練や整備に充てられる時間はありません。次から次へと患者が来ます。作業に追われます。記録や報告書、診療情報提供書などの書面に追われます。

 しかも、体力も頭脳も化け物級の人が時々います。そういう人が上司にいた場合、その人の基準で部署が回ります。休む暇はありません。動きながら考えることができる人がいる場合も同様です。落ち着いて考えないといいアイデアが出ない人、考えているときは動くことができない人がほとんどです。もしくは、業務に「考える」ことがあまり必要ない人もいて(主に現場)、動いていない=サボっていると認識されて業務を振られることがあります。

 なのに、

 研修や整備も業務であり、落ち着いて考えたところで出てくる発想は新しい研究のきっかけになります。文献や論文を読む時間は非常に大切です。また、新しい学問分野やいt料とは別の分野の学習や体験も大事です。仕事ばかりして、生活を全くやれていない医療者の提案は、外来患者にそぐわないものになりがちです。

 「医療費が高い、払いたくない」と「自分だけには良い医療を施してほしい」の両方を叶えようとして、ほぼ100%やらないと採算が取れないようにしたり、薬価差益をなくしたり(まあこれは薬価差益で私利私欲に走った一部の医師があかんのですが)その結果、とにかく数をさばく医療になってしまっています。

 

 

 

 「開業医が発熱外来をやらない」という文句が出ます。これは医師会の周知不足でもありますが、発熱した患者を至近距離で診察する場合、医療者の感染リスクは日常生活よりも遥かに高いものになります。そもそもCOVID-19患者である可能性は一般よりも高く、診察中にくしゃみや咳を受ける可能性があります。その患者を診察したら、スタッフは設備や自分を消毒し、使用したものを交換する必要があります。

 手洗いの頻度は一つ処置をするたびに1回の手洗い。この時点で相当な負担です。スタッフはマスクだけでなくフェイスシールドで眼を守ります。実際の発熱外来運営マニュアルがありますが、かなり手間がかかります。ひとり診るて次の患者を安全に対応するまで20分30分は当たり前にかかります。5分診療ですぐ呼べるわけではありません。

 
発熱外来認定医療機関運営マニュアル - 奈良県

http://www.pref.nara.jp/secure/227357/0618_08_ninnteimanyuaru.pdf

 

なぜここまで手間を掛ける必要があるか?

1.他の患者が感染しないようにする(発熱外来に行って感染したのでは意味がない)

2医療スタッフが感染しないようにする(スタッフが感染したらその医療機関を最低でも2周間閉めないといけない)

 

 さらに、他の病気の患者さんの診察は継続します。他の病気や怪我が減るわけではありません。また、他の病気の患者が一気に良くなるわけでもないです。

 

 とどめを刺すと、人口のかなり多くの割合を医療・介護従事者にしています。20代だと、1/10ぐらいは医療・介護従事者になってしまうのではないでしょうか。他に発展する産業がないからか、他に職がないからか。新卒を集めるのは限界が見えています。

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