「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

緊急避妊薬の供給について、2024年4月現在の作者の見解

我が国における緊急避妊薬の供給体制について、私が望むこと

 

望ましい供給

誰にどのロットを販売したか把握できる上での薬局医薬品(薬剤師が介在しての販売)

完全なOTC化は時期尚早、店の棚から客が直接取れるようになることはない(国際安全保障上の理由)

 

求められること

マイナンバーカードによる本人確認及び販売記録(どのロットが誰に渡ったのかまで容易に管理できるようにする)

男女問わず、「自分で自分の健康に関する情報収集や選択を専門家とともに適切に行えるようになる啓蒙と教育」

自分の意思を主張することはすべて尊重される土壌づくり

 

2024.4月現在で服用する人がするべきこと

服用したら必ず3週間後に医師に受診に行くこと

(これが守られない場合は、今後の規制緩和はない)

 

 緊急避妊薬を市販化しないことに関して、「産婦人科医が自分たちの利権を守っているためだ」という主張が見られるが、緊急避妊薬の効果も100%ではない。妊娠していないことを確認する必要があるためだ。緊急避妊薬服用後妊娠する事例もある。もしくは異所性妊娠で危険な状態になることもあるため。異所性妊娠については、可能性は通常の妊娠と同程度かそれよりも低い(そもそも妊娠しないので)

 妊娠していないことを確認できるのは医師による診断のみ。実際に退治がいないかどうか調べるのが一番確実。服用後7日程度で出血があるが、それだけでは妊娠していないことの証明にはならない。その時の出血量がいつもの月経より少ない場合は要注意。妊娠検査薬による確認は内服後2週間以上経過していないと正確さに欠ける(内服日に排卵があった場合の妊娠の可能性を判定するため)

 妊娠していないことを確認したい、自分の目で見たこと聞いたことしか信じないタイプの医師も少なからずいる。患者が嘘をつきやすい領域であるため。確実に妊娠していないことを確認するには、診察が一番である。もし、妊娠していた場合でも、医師である自分が処置することで妊娠していない状態にできる。これを医師としての責任と考えている向きもある。そのために、女性の心身は傷ついているのであるが。

 実際の調査研究書によると、緊急避妊薬服用終了後、産婦人科を受診したのが2割未満との記載がある。これでは「日本の女性は知識は不十分だし、薬剤師は知識がない」とつけこまれる指摘されるのは自然のこと。

www.mhlw.go.jp

 

 

 この不信感を解消し、もっと確実に緊急避妊薬を入手するためには「3週間後の受診を服用した全員が行う」ことが必須。こうして信頼を積み上げていこう。

 緊急避妊薬が行き渡りやすい未来を作るのは、医療従事者だけではない。国民のモラルが非常に大きい。

 

 服用後、次の月経までは避妊が必須となる。なぜなら、月経周期が安定していないためだ。緊急避妊薬の服用でホルモン分泌の周期を大きく動かしてしまったため、服用前の分泌に戻るの時間が掛かるし、分泌周期のうちどこ時点のだったのかもはっきりわからない状態となる。それまでに性交するのが避けられない場合、避妊が必須であり、そのためには経口避妊薬の服用が最も確実である。

 この場合は、経口避妊薬の処方が必要となるため医師による診断が必須となるからもう緊急避妊薬だけの処方で薬局に来ない可能性がある。産婦人科で出したほうが手間がかからないし、3週間後の受診まで確約しやすい。

 緊急避妊薬服用に関し、患者は「妊娠してなかったら終わり」と判断するが、医療従事者のゴールは「異所性妊娠ではないことを確認すること」「男女とも正しい避妊を行えること」「男女とも自分の他人の身体を大事にできること」だ。

 さまざまな経緯や環境などで啓蒙が響かないタイプの人にも啓蒙していく必要があり、そういう人が絡んでいても、望まれない妊娠が起こらないようにすることが、今回の緊急避妊薬の薬局での供給の意義と考える、

 

 

 

 

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