「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

緊急避妊薬、単なるOTC化でいいのか

  全国で緊急避妊薬の試験販売が行われていますが、ただ単に市販薬でいいのかという疑問が湧いてきました。

 

 性加害の問題です。

ただ単に販売しただけだと、背後にいる性加害やDV・不適切な男女間の関係・や反社会的勢力の問題への追及が断ち切られてしまうのではないかという心配があります。

 その場の問題はただ薬を飲めば解決するかもしれません。その場面の様子を思い出したくない、何も話したくない気持ちがあるのは理解します。根本的に解決するには、加害を行う人間が加害をしなくなることではないでしょうか。そのためには、その場の問題を表面的に乗り切る方法はベターではありません。

 

 緊急避妊薬を飲んで妊娠する可能性がかなり低くなり、恐怖が軽減されるので、性暴力をする人間から見れば「妊娠しなくなる」ことで支配欲が満たされる度合いが低くなるかもしれません。

 

 緊急避妊薬の販売を広げたくない人たちが主張するその中にも、「市販化は根本的な解決にならない」があると思われます。あまり表沙汰にしないのも、性加害をする人たちが倫理観を持たない、普通の人では太刀打ちできない人で、その人達にこちらの手の内を見せると攻略してさらに緻密に攻めてくるからではないかと思っています。議論を表にできないほど認識の歪んだ相手であるという認識を共有しておく必要があります。

 

 販売する側が警察や司法、行政と連携する体制が必要に思います。

 DVならシェルターや行政の自立支援の部署(就労支援)、弁護士との連携で自立して働けるように。

 

 もう一つ問題があります。

 ホルモン剤の服用が女性の体にとって害になると本気で心配している人がいることです。男性に多いのですが、「自分が保護してあげよう、自分の言うことを聞くなら守ってあげる」という心底思っている人です。緊急避妊薬の販売について話し合う人の中にもいると思われます。

 個人的な話ですが、「看護師や他の医療・介護スタッフが自分の指示の範囲内で動くなら、彼らをいくらでも守る」という医師の発言を聞きました。指示を出す責任という関係上、医療・介護スタッフ・患者に対してこのような思考になるのかもしれません。

 そこは科学的に考えろよ!と突っ込みたくなるのですが、「自分が他人を守っている」という充実感がものすごく心地いいんでしょうね。

 

 個人的には段階を踏んで

岡山で行われているアフターピルのプロジェクトのように産婦人科医と薬局薬剤師が連携して緊急避妊薬を処方・販売する

薬局薬剤師の前で薬を飲む(オンラインだと横に誰かいて、脅迫されている可能性も否定できない)

市販化だが、薬局のカウンター越しに買う(客が勝手に取れないようにする)

包装に工夫をしてトレーサビリティしやすくする

 

という形になればいいかと思います。

 

 

 

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