「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

在宅専門薬局はありかなしか

 結論から言えば「ありだが、特定のスーパーマンだけで回っていると運営が危うい」です。

 

 今回は「在宅専門薬局」について解説します、

 

 この世には、自宅で療養していて、通院が難しい方がいます、

 入院するほどではないが、疾患自体は重い、もしくは老化などで体の機能が落ちて動けない患者さんです。がん末期の方で、最後は自宅でという方もいます。

 こういう方を入院させていれば家族は世話をしなくて良くて心身ともに楽ですが、この高齢化社会ではいくら病院や施設があっても足りません。離れて暮らしているうちに病気の家族のとの心身ともに距離が離れてしまいます。病気になるわ家族は離れていく元々の疾患が更に悪くなってしまいます。その上、人手もかかるので社会保障費が増えるばかりです。

 そこで、自宅で療養できる環境を作り、病気でもそれなりに社会との距離を保ちつつ生活できるようにしたのが在宅医療であり、介護保険です。

 

 在宅医療を支える医療職は結構います。在宅医療専門で動いている診療所や薬局もあります。行政としてはけしからんみたいですが、専門的な知識が必要だったり、休日夜間対応を個人の診療所や薬局が行うのは心身ともにきついです。*1医師調査、一人で夜間対応をするのは難しくなってきています、薬局の場合は男女比の問題で、女性の方が多く、薬剤師自身が子育て・介護中のことがあります。

 在宅専門の薬局や医療機関は在宅の方の患者さんの比率が高く、施設や患者さんの急な変化にも早く動けます。すぐ動けて麻薬や点滴の対応経験が多いとなると、医療従事者や介護従事者からの評判が良く、関係者からの紹介で依頼が多くなるという形になっています。

 これは、地域の薬局から見れば隊員や施設入居とともに今までの関係が途絶えてしまうという問題があります。地域の薬局がそもそも結びつきが強ければ連携という形を組んで、やっていくという形があります。

 すべての薬局が無菌調剤ができるわけではないですし、すべての患者に必要となるとは限りません。現状、無菌調剤を行える薬局は少ない。

 

在宅専門薬局の一部には、外来の処方箋を持って行きづらい外見をしていたり、そもそも薬局なのかわかりにくい外見をしていることもありました。

 実際は、多くの在宅特化型薬局は門前に診療所や病院がないところに建てて、施設や介護事業所に営業をして在宅患者の処方箋を持っています。

 それに気づいていたんでしょうか厚生労働省。2024.6月からの加算(在宅総合体制加算2:ガチで在宅医療に関わっているところ)に「常時2名以上勤務し処方箋を応需できる体制を取ること」と規定しています。6月以降はスタッフ間で連携を取って誰かが薬局にいる時間を作ると見ています。

 

 個人的に気になるのですが、在宅特化型薬局の薬剤師の方、やはり休日や夜間に働いている印象を受けます。しかも忙しいことを充実していると認識している人が多い印象です。「鬼滅の刃」でいうころの「痣が出ている」(その代わりに命を前借りしている。痣が出ると25歳で死ぬ)状態ではないことを祈ります。

 

 家庭や命を削ってまで働いていないことをお祈りして。

 

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*1:診療所の医師の平均年齢は60歳を超え

薬剤師フィールドリサーチ(133)「お薬手帳に市販薬の情報を」

今回は2024/2/14発行の薬局新聞掲載「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 先日、SNSで「服用した市販薬の包装と成分を記載したものを貼っているお薬手帳」を掲載された方がいました。それはいい方法と多くの方の称賛のコメントと他の人も真似てほしいと拡散の書き込みがなされていました。

 

 その方の何が良かったかと言えば、「薬の成分と製品名を両方掲載している」ことです。市販薬の商品名だけだと、昔のもので販売中止になっていたりリニューアルされていたりで成分が特定できない可能性があったからです。成分をお薬手帳だけで確認できるので、本人が意思を伝えられないときでも他の人に服用している(いた)ことが伝わりやすくなります。

 

 スイッチOTCの拡大が話題になっています。市販薬の適正使用、セルフメディケーションの推進のためにも販売店側、メーカー双方にお願いしたいことがあります。

 販売する方へ

お薬手帳にも市販薬の情報を記載するよう啓蒙、もしくは販売側での記載

POPやチラシなどで活用方法を提案するのも方法です。

 製造する側

製品名と成分名を併記した包装にしてほしい。もしくはお薬手帳に貼れるような紙やシールを添付してほしい

販促品として、市販薬の情報をお薬手帳に貼るようにと啓蒙するPOPを作成してほしい

これを、全国の多くの店が行えば、市販薬への信頼が上がるのではないでしょうか。

 

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薬局機能情報の入力が面倒

 厚生労働省の提供する医療情報システムG-mis。2024年2月現在、薬局機能情報を入力している方が多いと思います。

 

 詳細すぎて誰が見るのか、しんどい時には見たくないぐらいの情報量です。

「禁煙」「高齢者」「栄養」など、相談内容ごとに回答できるかどうか尋ねてくるのですが、そもそも地域住民からの相談がすべて一つの分野で収まるとは限りません。一人の相談者ごとにオーダーメイドで答えを出していくのですから。わからないことがあったら、調べます。嘘を言ってはいけないというのは肝に銘じて。それがプロです。

 あと薬局の面積、これは利用者には直接関係ないやろ!

 

 本当に困っている人がこの文字の細かすぎる情報システムを見て正確な情報にたどり着けるか疑問です。まずこの情報システムにたどり着けるかどうか。

 

 これだけの情報量を入力するのも面倒です。

一番言いたかったのはこれです。

みんなシステム出来上がったら見てね・・・願わくはもう少し実情にあったものにしてほしいと意見を行ってほしいです。

 

 

 

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たとえ重大事件の容疑者であっても

 

 とある重大事件の容疑者が瀕死の重症でした。助かる可能性はごくわずかでしたが、必死の治療の結果、なんとか一命はとりとめました。そして、裁判の結果、死刑判決が出ました。

 

 裁判する前に死ぬのと、判決が出て死刑になる。被害者やその家族、被告だけでなく、治療に携わった医療者にとってもこの2つは大きく意味合いが異なります。納税者からすれば、自分の支払う税金が被告に使われる分が他のことに使われるからいいのかもしれませんが、正当な裁判を経て刑の執行がなされることの意味は大きいです。

 被害者やその家族にとっては、刑をもって責任を果たすことや、被告が何を思って罪を犯したかわかることで少しは救いになるでしょう。

 被告にとっても、話したくないであろう自分の罪を突き詰められることで、自分のしたことの大きさを思い知ることになります。

 

 もし、重大な犯罪者だから助けなくていいということがまかりとおるなら、医療者は気に入らない人を殺めることができるようになります。医療者に必要以上にひれ伏す人が出るでしょうし、いわゆる無敵の人に医療者の命が狙われるリスクが大きく高まるでしょう。

 

 医療者は、どのような人でも命の状態に応じて医療行為をすることで、心身への侵襲を許されています。(実際に危害にあったり、そのすれすれの場合は治療はなされません) 誰にでも公正にということを最も重く感じているのは医療者です。

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(132)「インターネット販売とネット電話利用による販売は違う」

今回は2024年1月24日発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 「有資格者によるネット電話での説明を条件に一部の薬の直接対面販売を義務としない」

 

メディアでは「医薬品のネット販売全面回解禁」と書くのはミスリードではないでしょうか。

販売時に専門家の目を通す、というのは変わっていません。購入者との対応の結果、販売するしないを決めます。

 この結果、ドラッグストアの薬剤師や登録販売者の雇用は減るでしょうか?私は、そう大きくは減らないと考えています。

 対面販売が必要な市販薬はまだありますし、第一類医薬品や要指導医薬品を販売するたびに対応が必要なため、それなりの人数の有資格者は必要です。むしろ、今までよりも有資格者が対応する数が増えるでしょうから、お客さんを対応のために待たせないようにするために、都心部での有資格者の採用はそれなりにあると考えています。薬剤師や登録販売者が一日中販売対応をすることになりそうです。

 

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緊急避妊薬、単なるOTC化でいいのか

  全国で緊急避妊薬の試験販売が行われていますが、ただ単に市販薬でいいのかという疑問が湧いてきました。

 

 性加害の問題です。

ただ単に販売しただけだと、背後にいる性加害やDV・不適切な男女間の関係・や反社会的勢力の問題への追及が断ち切られてしまうのではないかという心配があります。

 その場の問題はただ薬を飲めば解決するかもしれません。その場面の様子を思い出したくない、何も話したくない気持ちがあるのは理解します。根本的に解決するには、加害を行う人間が加害をしなくなることではないでしょうか。そのためには、その場の問題を表面的に乗り切る方法はベターではありません。

 

 緊急避妊薬を飲んで妊娠する可能性がかなり低くなり、恐怖が軽減されるので、性暴力をする人間から見れば「妊娠しなくなる」ことで支配欲が満たされる度合いが低くなるかもしれません。

 

 緊急避妊薬の販売を広げたくない人たちが主張するその中にも、「市販化は根本的な解決にならない」があると思われます。あまり表沙汰にしないのも、性加害をする人たちが倫理観を持たない、普通の人では太刀打ちできない人で、その人達にこちらの手の内を見せると攻略してさらに緻密に攻めてくるからではないかと思っています。議論を表にできないほど認識の歪んだ相手であるという認識を共有しておく必要があります。

 

 販売する側が警察や司法、行政と連携する体制が必要に思います。

 DVならシェルターや行政の自立支援の部署(就労支援)、弁護士との連携で自立して働けるように。

 

 もう一つ問題があります。

 ホルモン剤の服用が女性の体にとって害になると本気で心配している人がいることです。男性に多いのですが、「自分が保護してあげよう、自分の言うことを聞くなら守ってあげる」という心底思っている人です。緊急避妊薬の販売について話し合う人の中にもいると思われます。

 個人的な話ですが、「看護師や他の医療・介護スタッフが自分の指示の範囲内で動くなら、彼らをいくらでも守る」という医師の発言を聞きました。指示を出す責任という関係上、医療・介護スタッフ・患者に対してこのような思考になるのかもしれません。

 そこは科学的に考えろよ!と突っ込みたくなるのですが、「自分が他人を守っている」という充実感がものすごく心地いいんでしょうね。

 

 個人的には段階を踏んで

岡山で行われているアフターピルのプロジェクトのように産婦人科医と薬局薬剤師が連携して緊急避妊薬を処方・販売する

薬局薬剤師の前で薬を飲む(オンラインだと横に誰かいて、脅迫されている可能性も否定できない)

市販化だが、薬局のカウンター越しに買う(客が勝手に取れないようにする)

包装に工夫をしてトレーサビリティしやすくする

 

という形になればいいかと思います。

 

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(131)「新春SP 盛況!医療者BAR」

今回は薬局新聞2024/1/10発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

新年あけましておめでとうございます!2023年、大阪・梅田に開店したBAR「看護師と薬剤師がつくったBat Medista」。連日盛況です。今回は、昼間は訪問看護ステーション、夜はBarの経営と二足の草鞋を履く坂本恵美さんにお話をお聞きしました。
★バーを経営しようと思った理由は?
元々私自身が飲食店経営に興味があり、人が集まる場所を作りたいと思っていたんです。今まで様々な経験を積んできてコロナも落ち着いてことで、今ならできる!と思えたのが2022年で、様々な人に相談させていただいてました。その時に現在共同経営者の村島清貴(薬剤師)さんと出会い、「医療者が集まるBARを一緒にやろうよ」と言ってくれたことをキッカケにBARをオープンする流れになりました。

★実際に開店するまでにこだわったこと、楽しかったこと、苦労したことを教えて下さい。
開店するまでにこだわったことは特にありません。2月10日に物件をリストアップして、2月13日に内覧して、2月21日には物件契約をして、3月1日から家賃が発生したので、ぶっちゃけると、なんとかオープンさせることだけに注力していました。
楽しかったことは、なんのお酒を仕入れるかだったり、どういう方向性で行くかだったりを悩みながらプレオープンさせたのですが、お客様がたくさんアドバイスしてくださったことで、どんどんお酒が増えていったり、スタイルができていった日々のことです。お店に来てくださったお客様と一緒にMedistaはできたと思っています。
苦労したことは、飲食経験が大学時代のアルバイトから止まっていたので、何もないところからルールを決めていかないといけない時に、共同経営者(薬剤師の村島清貴さん)と意見が食い違ったり衝突したりで苦労しました。

★そもそもなぜ現在の場所にしたのでしょうか?
梅田にするかミナミにするか考えた時に、人の流れだったり人の雰囲気だったりを考えて、梅田で物件を探すことに決めました。希望するお店の規模的に、サイトに登録されたら一瞬で埋まると言うことを教えてもらい、不動産サイトで物件を見つけて内覧して、ビビッと来たので「ここがいい!」と即決しました。

★お店は非常に繁盛しているように思いますが、期待したとおりでしょうか?
そうですね。コロナで一番制限されて大変だったのが医療者だと思っていて、コロナがひと段落してようやく交流できるようになったのではないかと思っています。医療者同士お店に来た人同士で会話ができるので、そういうスタイルを好んでくださるお客様が何度もリピートしてくださっています。毎日それぞれの場所でそれぞれの役割で頑張っている医療者さんが、ホッとできる居場所づくりをこれからも続けていきたいと思っています。
★ミナミに2号店を建てましたが、こちらの状況も教えてください!
10月からプレオープンしたミナミ店は、まだまだ告知をしておらず、梅田店よりはのんびり過ごせるかと思います。お店は梅田店より広いので、イベントを開催したり梅田とはまた違う空間を作っていこうと考えています。
★今まで行ったイベントはどんなものでしたか?
過去には医療者限定の飲み会だったり、私に関わりがある方だけ参加できるめぐみ会、ボードゲームをやるボードゲーム会など開催しました。
今後はワイン会や映画上映会、占いの会などなど、いろんな企画を考えてやってみようと思っています。

★今後の展望を教えて下さい。
全国に「看護師と薬剤師がつくったBAR Medista」を作ることです。またSNS上でもBAR的な企画をやりたいと考えております。実店舗でもSNSでも、全国各地で頑張っている医療従事者さんが楽しくなって、「明日も頑張ろう」と思える取り組みを続けていきたいと思います。

★この記事をご覧になって言ってみたいと思った方へのアドバイスをお願いします。
一人でいっていいですか??
もちろんです!スタッフは全員医療従事者ですし、その日その時いたお客様によってはお隣さんと仲良くなることも多いお店なので、「今日は誰がいるかなー」と楽しみにしてお越しください。

お酒飲めなくても差し支えない?
ソフトドリンクやノンアルコールカクテルも用意しておりますので、大丈夫です!飲めない方も多いと感じているので、もっと飲めない方が来やすいメニューを考えていこうと思っているので、アドバイスしに来てくださいー。

予約しておいたほうが確実?
そうですね。あまり広いお店ではないので、日によっては満席で入れないことも多々あります。
もし来る日が先に決まっているのであれば先に一報いただいておく方が確実だと思います。

坂本さん、ありがとうございました!
ミナミ店に続き、年末に名古屋駅前にも「看護師と薬剤師がつくったBAR Medista」オープンしました!東海地方の方もよろしくお願いします!

 

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