「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ(130)「今こそセルフメディケーションの推進を」

今回は2023/12/20発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 

 家族が痰の絡んだ咳が出るとのことで、出医療用医薬品が供給不安定だしいい市販薬はないかとドラッグストアに行きました。ここで勧められたのが去痰剤だけの薬。こっちも薬剤師なので併用等は心配ないと判断し、購入しました。

 

 セルフメディケーションの必要性が叫ばれて久しいですが、市販薬の中には色々な成分が入っていて「これは症状に合わないのではないか」と買うのに躊躇するものが多い中、有効成分が絞られているOTCは貴重です。何種類も買うと病院で診察したほうが安くなるのですが、今は薬がなくて対応できないことも少なくないので、OTCで対応するのも一つの方法ではないかと思います。

 しかし、このように考える人は少ないのか。今も市販の風邪薬は含まれている成分の種類が多いものが多いです。売る側としては、成分数が少ないほうが症状に合わせやすいし、相互作用も考慮して販売できるのに、と思うことがよくあります。

 

 スイッチOTCには成分が一つしか入っていないものも多く、医療用と同じ成分であることを前面に打ち出すとお客さんもわかってくれることが多いです。供給不安をOTCで乗り切って、セルフメディケーションと保険診療の使い分けを図るのが現実的な対応でしはいでしょうか。

 

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薬剤師フィールドリサーチ(129)「濫用のおそれのある医薬品の扱い」

今回は2023/12/6発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 濫用の恐れのある市販用医薬品について、一人あたりの販売数を制限がなされています。さらなる規制として該当成分を含む市販薬の販売中止が囁かれています。しかし、その前にできることがあるのではないでしょうか。

 該当成分を含まない類似の薬効を持つ薬は市販されているでしょうか?濫用をしない大部分の人のニーズを満たす必要があります。製造車が泡でできることは、依存性についてはかなり慎重に検討して、有効成分の含まれる市販薬を販売するのが一つの方法です。

 

販売者側で何ができるでしょう?本人確認と販売記録、問診と医薬品の陳列場所の工夫が必要です。

本人確認や販売記録を簡単かつ確実にするには箱ごとのトレーサビリティにITの技術を導入するのが良いと考えます。マイナンバーカードの活用も効果的ではないでしょうか。これはメーカーと行政との協力必要としますね。

顧客が取ることができない場所に商品を配置するのは法律がなくても販売者側でもできることです。業界全体での安全性に対する自主規制が行われ、これが効果をもたらすとなると、ドラッグストア業界をみる国民の目は良い方に変わっていくと思います。

 

 

 

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むしろマイナ保険証を推進すべき

www3.nhk.or.jp

「マイナンバーとひも付けの保険証情報 台帳と不一致 約139万件」とあります通り、

住民基本台帳の記載(住民票や戸籍の記載:こっちが役所が管理している情報)と

保険証記載の情報(本人や会社による手書き申請書を保険組合が手打ちで入力)が一致していないという報告です。

 

 健康保険に加入するときといえば、入社時が多いです。入社時の提出書類に、住民票記載事項証明書がないところもそこそこにあり、漢字が難しいなど、住民票と違う記載で名前を書いている場合、保険証と戸籍で名前の漢字が違うこともしばしばです。い最近ではマイナンバーカードの提示が必要なところもあるので、このようなエラーは減ると思われます。

 

 照合作業で発生す可能性があるエラー(保険証の側の間違い)

・保険組合や会社の人による入力ミス

・漢字の旧字体新字体の違い

・住居表示変更前の前の地名で記載した

 

 

住民基本台帳との突合で、修正される件数が139万件あるということで、保険証の運用に不備が多かったということを示しています。マイナンバーと保険証を紐づけすることで保険証関係の保険請求のミスが大きく減ります。

 

 

マイナンバーと紐づけで減るミス

・受診時本人確認が行われるので、本人以外の受診ができなくなる(写真入りの証明書であるため)

・本人による了承が得られれば、他の医療機関への受診情報がわかり、重複する治療が行われない(レセプトによる反映なので、1ヶ月程度タイムラグあり)

・加入している保険の情報の反映が早く、保険の更新前後に受診した際に保険が確認できず自費になる期間が短くなる

 

 これらのミスの解消で何が起こるか

保険証関連でのレセプト請求ミスが減る

ミスの処理にかかる時間が減る→その分他の仕事ができたり残業しないで済む

(保険事務所、医療機関双方)

ミスの処理にかかる費用が減る(通信費や紙代)(保険事務所、医療機関双方)

これで年間6000億円ほど削減できるそうですから、かなりのものです。

 

 社会保障費の効率化のためにもマイナンバーカードを保険証にするのを勧めていくのがいいのではないかと考えております。

 在宅医療の場で保険証を確認する手段の確立

 子供だけで受信した場合の本人確認

このあたりの対応が大事です。

 

 

 

 

 

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 医薬品増産は手間がかかる

医薬品の増産にはそう簡単にはできません。

例えるならば、「衛生管理とレシピがガチガチに決まった家庭用の調理」です。

どれぐらいレシピが厳重かというと、食材の入手経路まで事前に届け出る必要があります。その基準を満たしていない場合、製造することはできません。

家庭用の調理なので、その食材専用の調理器具は用意されていません。他の薬を作ったのと同じ設備で薬を製造します。もちろん、同じ設備で前作った薬の中身が混入してはいけないのでしっかり器具を洗います。しっかり洗えているか確認した上で、新しい薬を作る必要がありますし、他の薬も過不足なく供給しないといけないので製造計画を急に変更することはできません。ある薬を多くつくるため、同じ機材を使って作る薬の生産は遅れます。オナにアパートに住む住民が共用の設備で調理を行うことを想像しましょう。ブッキングしないように事前に予約を入れて運用すると思います。同じように、工場全体の製造計画を立てています。

 もちろん、原材料が入手できなければ作れませんし、原材料を買うお金がなくても作れません。買う側が値段を下げて買えるようにするなんてことはないのです。

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(128)「コロナ治療薬有料化で起きたこと」

今回は2023/11/22発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 2023年10月以降、抗SARS-CoV2薬が有料化されました。主に高齢者施設からあったこれらの薬の処方がほぼ止まりました。コロナ患者さん自体も減っている印象があります、お金がかかるようになったら後も処方されないのかと驚いております。

 

 発熱して受診する患者さんの主流は小児になりました。コロナよりもインフルエンザが多いように思います。対し、大人の発熱患者は減っているように思います。小児の場合は親御さんが心配するのと、保育園や幼稚園が診察を要請するのもあると思います。

 

 これは実際にコロナに感染した患者が減ったのか、お金がかかるし会社も以前ほど発熱しても病院に行くよう要請しないのか、熱が出ても受診しないようにしているのか判断し難い状況です。

 

 風邪症状に使う薬が不足している事態は改善の見通しが立っていません。その事に関する報道が最近なされたのも、風邪症状で受診する患者さんが減っている理由かもしれません。診察したところで薬はないし。

 

 

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リフィル処方箋には患者も責任が伴う

 医療費削減にはリフィル処方箋を活用する案が出されていますが、リフィルが適応される場面って思ったよりも少ないと考えていますし、患者が負うリスクや責任が増えるというのは大きく広報スべきと考えています。

 

 例えば

 毎日血圧を測って記録し

 受診も定期的に行い

 血圧の数値も安定していて

 生活習慣も規則正しく

 異変に気づく知識を持っている人

 であればリフィル移行は非常に簡単です。こういう人なら、自分の異変に気づいたら受診します。

 

 実際に投薬していると

 自宅で血圧を測定している人はあまり多くないのが現状です。

 

 医療現場で必要となるのは

 検査を自宅にいながら行える機器の普及

 自らの体調の異変に気づくようにするための教育

 重複投与や同じ診察を重複して行わないための医療データ共有

 栄養士やリハビリの活用による生活習慣改善

と考えます。

 

 患者が自分でリスク管理をし、自宅での治療に向き合うという責任を持ち、実践して成果を蓄積して医療従事者との信頼関係を築く必要があるというのは大きく宣伝する必要があるのではないでしょうか。

 

 きちんと検査したり異常に気づくのが難しい人に対して、薬局の薬剤師がモニタリングの手助けをする、という形でのリフィル処方箋活用と考えています。

 

 これをぶっちゃけた言葉でいうと

 暴飲暴食睡眠不足、不規則な生活をして、受診間隔もバラバラ、薬を飲んだり飲まなかったりする人にリフィル処方箋は発行されない

ということです。

 

 もちろん、患者データ共有及び受診間隔の確認のためにマイナンバーカードの使用は必須です、

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(127)「医薬品卸と門前薬局の価値」

 今回は2023/11/8発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 よく言われる「門前薬局は医薬分業の理念に則っていない」などといった門前薬局悪者論ですが、医薬品供給が不安定になっている昨今では、医薬品の安定供給に役立っているようにも思えます。

 ご存知の通り、医薬品卸やメーカーは誰に薬が処方されたのか知ることはできません。(何人に処方されたのか、医薬分業であるならどの医師が処方したのかも知ることができないことがほとんどです。)いくつ発注があったというデータのみでメーカーは生産、卸は分配を行うことになります。
 門前薬局があると、ある特定の薬が集中して調剤されます。調剤したら必然的に医薬品卸に発注するので、発注頻度と発注量から「ここの薬局に多めに仕分ければデッドストックが起こらず多くの患者さんに効率的に薬を届けられる」と医薬品卸は判断できます。これが、門前薬局がないと、各薬局が小包装品をバラバラに発注し、中身を全部使い切ることなく保管することになります。各薬局で融通し合えば期限切れは防げる可能性が高くなりますが、使われずに有効期限を迎える薬は今より多くなるでしょう。また、医薬品卸による分配業務の手間が格段に煩雑になっていたでしょう。

 処方する薬の標準化を進めて、医薬品の種類を減らしていくことで医療費の効率化は可能でしょう。医師の処方の自由に触れる、製薬企業の利益という問題になりそうです。そうであっても、既存の薬と作用機序/代謝/効果に大きな差がないのに発売されている医薬品を整理すれば、医薬品供給不安定は少し解決に近づくと思います。その整理された医薬品に相応の薬科をつける。ただし、薬価差益はなるべく小さくすることも必要と考えます。

 医師とのコミュニケーションの密度だけでなく、医薬品供給の上でも、門前薬局のやってきたことは評価してもいいのではないでしょうか。

 

 

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