論文などの一次資料を調べて解説してくださっている医療従事者がいます。こういう方はさぞお金を儲けているのでしょうと思われていますが、意外と支出も多いし身を削っているということを軽く書いてみます。
自分の調べたことをまとめて医療情報として提供する場合の作業工程
1.一次資料を読み込む
2.原稿を書く
3.一旦表に出す
4.さらに新しい事実が出るなどして改良する
一般の人が考える「原稿を書く」は2.のみのことは多いですが、「真っ当な医療情報を伝わるように書く」場合、1,4の作業にかける時間と手間が多いです。これらの正確さが、今後の自分と自分以外の医療従事者が発信する信頼の度合いにも繋がります。
では、それぞれの作業を解説していきましょう。
1.一次資料を読み込む
最新の話題が論文として上がってきた場合、医療情報の最新情報を上げてくるサービスがあります。これを個人で購読するだけで年間5万円以上になります。
例)
UpToDate:インタラクティブな臨床意思決定支援 | Wolters Kluwer
それぞれの論文を読む場合、無料で読める部分と有料の部分があります。読み込みたい場合、有料部分まで読む場合がありますので、更にお金がかかります。
医療従事者向けサイトから論文を探したり、同じように医療論文を上げている人が話題にしている論文を読んだりと手間を省くことは可能ですが、確かな医療情報を提供している人は、一次資料となる論文は目を通すでしょう。(要約を読んで全部読むに値するかどうかは判断する)
論文に書いている事柄の意味がわからない場合、専門書などを用いて調べます。資料にかけるお金もかかります。安くはないし、近くの書店ですぐ入る代物でもないので入手に時間がかかる場合もあります。
必要なもの
論文を探す時間、技能
読み込む時間、技能
論文を探すサービスの費用、論文を購入する費用(必要な場合)
2.原稿を書く
ただ文章を書くだけではありません。
これもこのブログなど感想を書いたようなものとは違ってかかる手間が半端ないです。
医学的に間違った解釈をしていないか確認する
文章として間違った解釈を導き出さないようにする
読みやすくする
医療のプロですが、文章のプロではありません。書籍やWebニュースなら伝わる文章にする校正の方が付きますが、医学的な正確さについては自分で確認することが多いです。運良く専門家の人とスケジュールが合えば、その専門家に内容を確認してもらうこともあります。専門家同士は忙しいので、スケジュールが合うこと、専門家を見つけ出せることは運がいいと表現しています。
実は、書いている間にも更に「部分的な裏付け」が必要になって、論文を読み込む作業が出てきます。とにかく裏取りが大事です。
記事を上げる時は「いつ時点の情報であるか」明記します。
3.一旦表に出す
自分であらかた裏取りがとれて表に出せそうと判断したら、ブログやSNSではアップされます。
されると、世界中の人々からチェックが入ります。いわゆるクソリプから、これまた論文などのエビデンスを持ってのチェックまで様々です。
4.さらに新しい事実が出るなどして改良する
一旦書いた記事は、新しい事実が出たら改良します。改良するためには、新しい論拠を読み込みます。物によっては新しい記事を書くのと同じぐらいの労力になります。
記事を出せば出すほど、改定作業の量も増えるので忙しくなっていきます。
よって、書籍の場合でも寝る時間を惜しんで行っていたり、印税が入っても論文を買うのにお金がかかったりで思ったほどお金は儲かっていないし遊べてもいないというのが現状のようです。
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