「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ(132)「インターネット販売とネット電話利用による販売は違う」

今回は2024年1月24日発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 「有資格者によるネット電話での説明を条件に一部の薬の直接対面販売を義務としない」

 

メディアでは「医薬品のネット販売全面回解禁」と書くのはミスリードではないでしょうか。

販売時に専門家の目を通す、というのは変わっていません。購入者との対応の結果、販売するしないを決めます。

 この結果、ドラッグストアの薬剤師や登録販売者の雇用は減るでしょうか?私は、そう大きくは減らないと考えています。

 対面販売が必要な市販薬はまだありますし、第一類医薬品や要指導医薬品を販売するたびに対応が必要なため、それなりの人数の有資格者は必要です。むしろ、今までよりも有資格者が対応する数が増えるでしょうから、お客さんを対応のために待たせないようにするために、都心部での有資格者の採用はそれなりにあると考えています。薬剤師や登録販売者が一日中販売対応をすることになりそうです。

 

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緊急避妊薬、単なるOTC化でいいのか

  全国で緊急避妊薬の試験販売が行われていますが、ただ単に市販薬でいいのかという疑問が湧いてきました。

 

 性加害の問題です。

ただ単に販売しただけだと、背後にいる性加害やDV・不適切な男女間の関係・や反社会的勢力の問題への追及が断ち切られてしまうのではないかという心配があります。

 その場の問題はただ薬を飲めば解決するかもしれません。その場面の様子を思い出したくない、何も話したくない気持ちがあるのは理解します。根本的に解決するには、加害を行う人間が加害をしなくなることではないでしょうか。そのためには、その場の問題を表面的に乗り切る方法はベターではありません。

 

 緊急避妊薬を飲んで妊娠する可能性がかなり低くなり、恐怖が軽減されるので、性暴力をする人間から見れば「妊娠しなくなる」ことで支配欲が満たされる度合いが低くなるかもしれません。

 

 緊急避妊薬の販売を広げたくない人たちが主張するその中にも、「市販化は根本的な解決にならない」があると思われます。あまり表沙汰にしないのも、性加害をする人たちが倫理観を持たない、普通の人では太刀打ちできない人で、その人達にこちらの手の内を見せると攻略してさらに緻密に攻めてくるからではないかと思っています。議論を表にできないほど認識の歪んだ相手であるという認識を共有しておく必要があります。

 

 販売する側が警察や司法、行政と連携する体制が必要に思います。

 DVならシェルターや行政の自立支援の部署(就労支援)、弁護士との連携で自立して働けるように。

 

 もう一つ問題があります。

 ホルモン剤の服用が女性の体にとって害になると本気で心配している人がいることです。男性に多いのですが、「自分が保護してあげよう、自分の言うことを聞くなら守ってあげる」という心底思っている人です。緊急避妊薬の販売について話し合う人の中にもいると思われます。

 個人的な話ですが、「看護師や他の医療・介護スタッフが自分の指示の範囲内で動くなら、彼らをいくらでも守る」という医師の発言を聞きました。指示を出す責任という関係上、医療・介護スタッフ・患者に対してこのような思考になるのかもしれません。

 そこは科学的に考えろよ!と突っ込みたくなるのですが、「自分が他人を守っている」という充実感がものすごく心地いいんでしょうね。

 

 個人的には段階を踏んで

岡山で行われているアフターピルのプロジェクトのように産婦人科医と薬局薬剤師が連携して緊急避妊薬を処方・販売する

薬局薬剤師の前で薬を飲む(オンラインだと横に誰かいて、脅迫されている可能性も否定できない)

市販化だが、薬局のカウンター越しに買う(客が勝手に取れないようにする)

包装に工夫をしてトレーサビリティしやすくする

 

という形になればいいかと思います。

 

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(131)「新春SP 盛況!医療者BAR」

今回は薬局新聞2024/1/10発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

新年あけましておめでとうございます!2023年、大阪・梅田に開店したBAR「看護師と薬剤師がつくったBat Medista」。連日盛況です。今回は、昼間は訪問看護ステーション、夜はBarの経営と二足の草鞋を履く坂本恵美さんにお話をお聞きしました。
★バーを経営しようと思った理由は?
元々私自身が飲食店経営に興味があり、人が集まる場所を作りたいと思っていたんです。今まで様々な経験を積んできてコロナも落ち着いてことで、今ならできる!と思えたのが2022年で、様々な人に相談させていただいてました。その時に現在共同経営者の村島清貴(薬剤師)さんと出会い、「医療者が集まるBARを一緒にやろうよ」と言ってくれたことをキッカケにBARをオープンする流れになりました。

★実際に開店するまでにこだわったこと、楽しかったこと、苦労したことを教えて下さい。
開店するまでにこだわったことは特にありません。2月10日に物件をリストアップして、2月13日に内覧して、2月21日には物件契約をして、3月1日から家賃が発生したので、ぶっちゃけると、なんとかオープンさせることだけに注力していました。
楽しかったことは、なんのお酒を仕入れるかだったり、どういう方向性で行くかだったりを悩みながらプレオープンさせたのですが、お客様がたくさんアドバイスしてくださったことで、どんどんお酒が増えていったり、スタイルができていった日々のことです。お店に来てくださったお客様と一緒にMedistaはできたと思っています。
苦労したことは、飲食経験が大学時代のアルバイトから止まっていたので、何もないところからルールを決めていかないといけない時に、共同経営者(薬剤師の村島清貴さん)と意見が食い違ったり衝突したりで苦労しました。

★そもそもなぜ現在の場所にしたのでしょうか?
梅田にするかミナミにするか考えた時に、人の流れだったり人の雰囲気だったりを考えて、梅田で物件を探すことに決めました。希望するお店の規模的に、サイトに登録されたら一瞬で埋まると言うことを教えてもらい、不動産サイトで物件を見つけて内覧して、ビビッと来たので「ここがいい!」と即決しました。

★お店は非常に繁盛しているように思いますが、期待したとおりでしょうか?
そうですね。コロナで一番制限されて大変だったのが医療者だと思っていて、コロナがひと段落してようやく交流できるようになったのではないかと思っています。医療者同士お店に来た人同士で会話ができるので、そういうスタイルを好んでくださるお客様が何度もリピートしてくださっています。毎日それぞれの場所でそれぞれの役割で頑張っている医療者さんが、ホッとできる居場所づくりをこれからも続けていきたいと思っています。
★ミナミに2号店を建てましたが、こちらの状況も教えてください!
10月からプレオープンしたミナミ店は、まだまだ告知をしておらず、梅田店よりはのんびり過ごせるかと思います。お店は梅田店より広いので、イベントを開催したり梅田とはまた違う空間を作っていこうと考えています。
★今まで行ったイベントはどんなものでしたか?
過去には医療者限定の飲み会だったり、私に関わりがある方だけ参加できるめぐみ会、ボードゲームをやるボードゲーム会など開催しました。
今後はワイン会や映画上映会、占いの会などなど、いろんな企画を考えてやってみようと思っています。

★今後の展望を教えて下さい。
全国に「看護師と薬剤師がつくったBAR Medista」を作ることです。またSNS上でもBAR的な企画をやりたいと考えております。実店舗でもSNSでも、全国各地で頑張っている医療従事者さんが楽しくなって、「明日も頑張ろう」と思える取り組みを続けていきたいと思います。

★この記事をご覧になって言ってみたいと思った方へのアドバイスをお願いします。
一人でいっていいですか??
もちろんです!スタッフは全員医療従事者ですし、その日その時いたお客様によってはお隣さんと仲良くなることも多いお店なので、「今日は誰がいるかなー」と楽しみにしてお越しください。

お酒飲めなくても差し支えない?
ソフトドリンクやノンアルコールカクテルも用意しておりますので、大丈夫です!飲めない方も多いと感じているので、もっと飲めない方が来やすいメニューを考えていこうと思っているので、アドバイスしに来てくださいー。

予約しておいたほうが確実?
そうですね。あまり広いお店ではないので、日によっては満席で入れないことも多々あります。
もし来る日が先に決まっているのであれば先に一報いただいておく方が確実だと思います。

坂本さん、ありがとうございました!
ミナミ店に続き、年末に名古屋駅前にも「看護師と薬剤師がつくったBAR Medista」オープンしました!東海地方の方もよろしくお願いします!

 

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災害対応と残薬

 2024年は正月から地震に見舞われて大変な年明けとなっております。災害時に薬を切らさないためのライフハックを紹介します。

 

1.お薬手帳を常時携帯する

 お薬手帳は災害で処方元ととの連絡がつかなくなった場合に処方箋のかわりとなる可能性があります。熊本地震の際にそのような通知が出されました。(お薬手帳、薬情、薬袋など医療機関側が作成した処方された薬に関する資料をもとに調剤可能)

 通知が出ていなくても、災害時や身内の不幸で遠方にいることになり薬が貰えない場合もお薬手帳を現地の医療機関に持参すれば同じ薬もしくは類似薬の処方で薬物治療の継続が可能になる可能性が高いです。

 この場合に気をつけるのは、冊子が新しくなった場合の対応です。

 ★服用しているすべての薬を閲覧できるよう、しばらくは新旧のお薬手帳を

 両方持ち歩く

 ★既往歴、アレルギー歴などの記録を書き写しておく

 ★現在飲んでいる薬をいつから飲んだか記載しておく(最初の1ページのみでよい)

 

2.継続して治療している疾患の薬は余裕をもっておく

 症状が安定している場合なら、1週間ぐらい手持ちに余裕を

災害だけでなく、遠方での葬儀、近しい身内の葬儀などでは1週間ぐらい受診が遅れるのはザラです。

 症状が安定していない場合で身内に不幸が起こりそうな状況のときは予め処方医に相談しておくことをおすすめします。また、抗がん剤治療など治療を行う日が決まっている場合も相談しておくことをおすすめします。

 

 余裕のある薬も常時携帯してくと外出先でなにか起こっても当座の薬はある状態になります。

 

 

 

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薬剤師フィールドリサーチ(130)「今こそセルフメディケーションの推進を」

今回は2023/12/20発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 

 家族が痰の絡んだ咳が出るとのことで、出医療用医薬品が供給不安定だしいい市販薬はないかとドラッグストアに行きました。ここで勧められたのが去痰剤だけの薬。こっちも薬剤師なので併用等は心配ないと判断し、購入しました。

 

 セルフメディケーションの必要性が叫ばれて久しいですが、市販薬の中には色々な成分が入っていて「これは症状に合わないのではないか」と買うのに躊躇するものが多い中、有効成分が絞られているOTCは貴重です。何種類も買うと病院で診察したほうが安くなるのですが、今は薬がなくて対応できないことも少なくないので、OTCで対応するのも一つの方法ではないかと思います。

 しかし、このように考える人は少ないのか。今も市販の風邪薬は含まれている成分の種類が多いものが多いです。売る側としては、成分数が少ないほうが症状に合わせやすいし、相互作用も考慮して販売できるのに、と思うことがよくあります。

 

 スイッチOTCには成分が一つしか入っていないものも多く、医療用と同じ成分であることを前面に打ち出すとお客さんもわかってくれることが多いです。供給不安をOTCで乗り切って、セルフメディケーションと保険診療の使い分けを図るのが現実的な対応でしはいでしょうか。

 

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薬剤師フィールドリサーチ(129)「濫用のおそれのある医薬品の扱い」

今回は2023/12/6発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。

 

 濫用の恐れのある市販用医薬品について、一人あたりの販売数を制限がなされています。さらなる規制として該当成分を含む市販薬の販売中止が囁かれています。しかし、その前にできることがあるのではないでしょうか。

 該当成分を含まない類似の薬効を持つ薬は市販されているでしょうか?濫用をしない大部分の人のニーズを満たす必要があります。製造車が泡でできることは、依存性についてはかなり慎重に検討して、有効成分の含まれる市販薬を販売するのが一つの方法です。

 

販売者側で何ができるでしょう?本人確認と販売記録、問診と医薬品の陳列場所の工夫が必要です。

本人確認や販売記録を簡単かつ確実にするには箱ごとのトレーサビリティにITの技術を導入するのが良いと考えます。マイナンバーカードの活用も効果的ではないでしょうか。これはメーカーと行政との協力必要としますね。

顧客が取ることができない場所に商品を配置するのは法律がなくても販売者側でもできることです。業界全体での安全性に対する自主規制が行われ、これが効果をもたらすとなると、ドラッグストア業界をみる国民の目は良い方に変わっていくと思います。

 

 

 

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むしろマイナ保険証を推進すべき

www3.nhk.or.jp

「マイナンバーとひも付けの保険証情報 台帳と不一致 約139万件」とあります通り、

住民基本台帳の記載(住民票や戸籍の記載:こっちが役所が管理している情報)と

保険証記載の情報(本人や会社による手書き申請書を保険組合が手打ちで入力)が一致していないという報告です。

 

 健康保険に加入するときといえば、入社時が多いです。入社時の提出書類に、住民票記載事項証明書がないところもそこそこにあり、漢字が難しいなど、住民票と違う記載で名前を書いている場合、保険証と戸籍で名前の漢字が違うこともしばしばです。い最近ではマイナンバーカードの提示が必要なところもあるので、このようなエラーは減ると思われます。

 

 照合作業で発生す可能性があるエラー(保険証の側の間違い)

・保険組合や会社の人による入力ミス

・漢字の旧字体新字体の違い

・住居表示変更前の前の地名で記載した

 

 

住民基本台帳との突合で、修正される件数が139万件あるということで、保険証の運用に不備が多かったということを示しています。マイナンバーと保険証を紐づけすることで保険証関係の保険請求のミスが大きく減ります。

 

 

マイナンバーと紐づけで減るミス

・受診時本人確認が行われるので、本人以外の受診ができなくなる(写真入りの証明書であるため)

・本人による了承が得られれば、他の医療機関への受診情報がわかり、重複する治療が行われない(レセプトによる反映なので、1ヶ月程度タイムラグあり)

・加入している保険の情報の反映が早く、保険の更新前後に受診した際に保険が確認できず自費になる期間が短くなる

 

 これらのミスの解消で何が起こるか

保険証関連でのレセプト請求ミスが減る

ミスの処理にかかる時間が減る→その分他の仕事ができたり残業しないで済む

(保険事務所、医療機関双方)

ミスの処理にかかる費用が減る(通信費や紙代)(保険事務所、医療機関双方)

これで年間6000億円ほど削減できるそうですから、かなりのものです。

 

 社会保障費の効率化のためにもマイナンバーカードを保険証にするのを勧めていくのがいいのではないかと考えております。

 在宅医療の場で保険証を確認する手段の確立

 子供だけで受信した場合の本人確認

このあたりの対応が大事です。

 

 

 

 

 

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