「くすりや」の「現場」

薬屋が見た、聞いた、考えた、さまざまなことを書いていくブログ。「ブログに書いてある情報は一般的なものです。ご自身に合ったものにするにも、受診している医療機関のスタッフ、かかりつけの薬局の薬剤師に相談しましょう。」正論でぶっ叩かない医療者に!

薬剤師フィールドリサーチ(107)「ドラッグストアでの薬剤師常駐緩和?!」

今回は2023年1月25日発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 先日、オンラインでのカウンセリングをもって薬剤師常駐条件の緩和をするというs税付の方針が報道されました。 この報道に対し、いろいろな見方がされています。 ドラッ…

長生きするリスク

長生きするのもリスクと感じられる時代になってきました。 現在、健康寿命が73-74歳。70歳時点での平均余命を考慮すると男性16年、女性20年なので健康寿命経過後も10年以上は軽く生きながらえます。 kenkochoju.pref.miyazaki.lg.jp 健康寿命の定義 健康上の…

薬剤師フィールドリサーチ(106)「対面指導にはまだまだ可能性がある」

今回は2022/12/21掲載の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 Amazon薬局上陸で既存の薬局はどうなるか、という話題がSNS上で盛り上がった翌日、勤務先の薬局では対面指導の必要性を感じさせる患者さんがたくさん来られました。 怪我をしたばか…

保険診療ですぐさま治療にかかわらない薬を出すことに何があかんのか

業務で。本編の治療と関係のない処方を見ることがあります。 ・SARS-COV2のmRNAワクチン接種時の副反応対策としての解熱鎮痛剤処方 ・ついでのビタミン剤処方(皮膚科の場合はグレーゾーンという認識です。皮膚の疾患がもとでメンタルを病んでしまい、精神…

薬剤師フィールドリサーチ(105)「一包化調剤の外部委託について(施設調剤編その2)」

今回は2022/12/21発行薬局新聞掲載「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 施設の薬に関し、現場のスタッフ(施設側と薬局側)と運営・経営者側では何を優先するのか違っています。 施設のスタッフは、入居者の各種状況(急変、転倒な不穏などの…

医療情報をネットで公開する際に必要な配慮をすべて示したほむほむ先生

今回は、SNSで医療情報について伝えるときに必要な要素についてお伝えします。 何がすごいって、ほむほむ先生の「SNSを見る人全方位に向けた配慮」ですよ。 togetter.com SNSのやりとりを見る人は誰か やり取りをしている当事者同士だけでなく、そのやり取り…

緊急避妊薬の安全な使い方とは

某野球選手のおかげで、緊急避妊薬の連用を強制する男が実在することが見事証明されましたが。そもそも、避妊をしないことでどんな危険があるのでしょうか。この際なので言語化して、最も守られるべきは誰の何か、最も効果的でなおかつ確実に実行されやすい…

とやかく言いたいとやかく言われたくない

反ワクチン反マスクにかぎらず、医療者に対して「これを実際の生活で行ったらその医療機関での治療が終了になる(信頼関係を構築できないので)発言」をされている方に見られる傾向が見えてきました。 指図を受けるのは嫌だ むしろ自分が指図したい 医療は思…

薬剤師フィールドリサーチ(104)「一包化調剤の外部委託に対する現場感覚(施設調剤編その1)」

今回は2022/11/23発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 調剤の外部委託が」話題になっています。機械の設備的には効率化になるとは思いますが、人員や作業の効率化にはならないのではないかと考えます。一包化調剤といえば高齢者…

診断がつくのに時間がかかる問題

病気の診断に時間がかかるという問題について 患者から見れば、すぐに診断がついて(もしくは病名わからなくてもいいから)早くこの苦しい状況から解放されたいと思っているでしょう。 しかし、一つの病気への診断への道は長いです。 1.アホみたいな数の病気…

薬剤師フィールドリサーチ(103)「医療機関がサイバー攻撃に!薬局の現場では」

今回は薬局新聞2022/11/9発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 大阪急性期・総合医療センターの電子カルテがサイバー攻撃を受けて、診察が止まってしまいました。こちらの処方箋を応需している側で起こっていることをお伝えします。 手…

少子化社会の人手不足に関して

少子化社会で、若者の数が劇的に減っております。 www.stat.go.jp 2021年10月1日時点での23歳人口 127.7万人 この23歳時点での人口、年々減っていきます。 5年後の23最人口は10万人減ります。(18歳人口が113.1万人) 産業どころかインフラを維持する人手を…

薬剤師フィールドリサーチ(102)「病院への研修とドラッグストアの独立性」

今回は「薬局新聞」2022/10/26発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 薬剤師の初期研修として一定期間の病院での研修を義務付けてはどうか、という意見があります。これに関しては、 「安い給与で(もしくは研修を受ける側がお金を払っ…

薬剤師フィールドリサーチ(101)「軽症者や普段の健康相談の場を薬局やドラッグストアへ」

今回は薬局新聞2022/10/14発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 このコロナ禍で、ドラッグストアや薬局での市販薬や日用品についての問い合わせが増えたという話を聞きます。病院に行ったらコロナに感染するかもしれない、病院ではスタ…

緊急避妊用ピルやその他男女関係の問題について

リプロダクティブ・ヘルスという分野は、なぜか女性の先進的な人と守旧的な中高年男性の対立構造になりやすい。 1議論が喧嘩腰なので、普通の人が入りづらい。 特に女性側が勝ち気な人が多い印象です。戦略に工夫が必要に感じています。相手は年令が高く、批…

薬剤師フィールドリサーチ(100)薬局スタッフのコロナ感染

今回は2022/9/28発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 自分の所属する薬局でも、スタッフの感染が連続しました。COVID-19対応(発熱患者対応、自宅への薬の配達、検査キットの無料配布と販売と無料検査事業)で患者さんとのや硫…

介護施設での薬の管理方法

今回は薬剤師の仕事内容を紹介します。 介護施設で薬が適切に飲めるように薬剤師が行う業務手順についてお伝えします。 まず押さえておく基本 ・介護施設には複数の入居者がいる ・薬を飲む手伝いをする(飲ませる)のは家族ではない施設職員 ・医療・介護の…

薬剤師フィールドリサーチ(99)「薬局のカウンターでスマートフォンを駆使する高齢者たち」

今回は2022/9/14発行号の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を紹介します。 「高齢者は最新の機械に弱い」と言われがちですが、10-20年前の高齢者よりは確実に最新の機械に強くなっているのではないかと思います。 1.キャッシュレス決済薬局のレジ…

おそらく薬学と哲学を結びつけた初めての書籍「薬の現象学」

今回は書評というか、感想を紹介します。 この記事自体、読みながら感想を書いているので(垂れ流し状態)、文章の構成がおかしくなっている(これはいつも)にご留意ください。 青島周一著「薬の現象学 存在・認識・情動・生活をめぐる薬学との接点」 丸善…

「薬マネ」への挑戦状か? 自分ならこう書く

煽ったタイトルですが、実際の記事は非常にゆるいです。 「薬剤師になったら最初に読みたい 大学で教えてくれなかった お金の本」 honto.jp www.jiho.co.jp ここで敢えて楽天やAmazonのリンクを掲載しない点で、このブログ著者の考えが見えてきます。書店で…

薬剤師フィールドリサーチ(98)「抗原検査キット無料配布事業に思う」

今回は2022/8/24発行の薬局新聞「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 若年軽症者に対し、検査キットを配布する事業が開始されました。対象年齢が12歳から49歳となり、家庭内感染の場合でもある程度は対応できるようになりました。第七波は家庭…

薬剤師フィールドリサーチ(97)「ビジネスネームの積極的な活用を」

今回は薬局新聞2022/8/10発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 店員が顧客に付きまとわれ、店が襲撃される事件が起こりました。あくまで仕事上の礼儀として親しみのある態度で接しているのですが、それを個人的な好意と認識してしまっ…

不安と反発と

いわゆる反ワクチンの人の一部の人でこういう主張と行動がなされている。 ★行動 会話をしない 非対面での対応 換気 清潔 ★根本にある主張 ワクチンを接種した人に近寄るとその人の発する毒で体がやられる 主張は疑問を持つが、結果として正しい行動をしてい…

若年軽症者に対する販売キット使用の手引

軽い症状の出ているCOVID-19の低リスク者の治療に関し、検査キットを薬局で配布し陽性となった人はオンライン診療を受けるスキームができてきました。 ※年齢は都道府県に寄って異なります。 検査キットを受け取ったあとの流れを説明します。 1.使用するタイ…

薬局での無料検査キット提供事業

SARS-CoV2の検査キットを薬局で無料で配布したり検査したりする事業。 これ、現場としては仕事が増えててんやわんやですが、いろいろな視点で見るとなるほどと思うことがあります。 若年軽症者に対する販売キット配布 背景 医療機関の発熱外来がパンクしてい…

薬剤師フィールドリサーチ夏季スペシャル企画「薬剤師の共感読んだ”あるある感動作”「#100日後に辞める薬剤師」の作者を直撃」

今回の「薬剤師フィールドリサーチ」は、2022年のお正月にTwitter上で始まり、大奥の薬剤師の共感を呼びつつ先日感動のフィナーレを迎えた「#100日保に辞める薬剤師」の作者mokaさん(@Mokapple)を取材しました! 1.「#100日後に辞める薬剤師」を書こうと…

感染症対策法のグレードについて

なぜか「COVID-19を感染症法の5類にしろ」という世論が巻き起こっていますが、 根本的に誤解をされているケースが多いのでまず強調したいところはここです。 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第六条の8 この法律において「…

薬剤師フィールドリサーチ(96)「KDDIの回線障害に思う」

今回は2020/7/20発行の薬局新聞掲載「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 追記)71億円ガチャで保証金払っても面白かったのではないかと思いました。 (全く繋がらなかった人には多めに払っておいて、残りの額でガチャという手も) 先日、携帯…

根拠のない医療にも需要がある

いわゆる「根拠のない医療」ですが、それなりに需要はあるようです。 過去にも触れましたが、「医師の言動に傷つけたれた人、自分の見たくない事柄ばかり見せる医療者、医療という学問、科学的なものに敵意を持つ人」にとっては、「科学的根拠はないが、気持…

薬剤師フィールドリサーチ(95)生活を取り戻すコンサート

今回は薬局新聞2022/7/6発行号の「薬剤師フィールドリサーチ」の記事を掲載します。 こんにちは!今回は薬局の窓口で見た景色の話題ではなく、個人で体験した日常生活を取り戻すための取り組みについてお伝えします。 4月から6月にかけて、大人気バンド・Mr.…